民主党の新成長戦略

 6/18付の主要各紙は次のように伝えました、

 「政府は18日、今後10年間の経済運営の指針となる新成長戦略を閣議決定した。「環境・エネルギー」「健康」「アジア経済」「観光」の主要4分野で、123兆円の市場と500万人の雇用を創出・・・」

  これが管政権の、いわゆる「新成長戦略」で、民主党は、この政策を掲げて、参議院選挙を戦うそうです。

 この中で、「観光」分野の具体的施策として、「休日取得を分散化する制度を、早ければ12年度から実施」するそうです。

  話しは聞いていましたが、本当にやるんですね、「休日取得の分散化」。しかも、12年度と言えば、随分近いです。

  私がこの制度に賛成であることは、このブログの5/25号に書きました。

 別に、管さんに代わったから賛成、というわけではなく、「休日分散化」のことは、自民党政権時代から、検討されていた話しです。党派に関係なく、推進していただきたいです。

  今回こうして、政府方針に大きく採り上げられたことで、この政策が、参議院選の結果に左右されないか、逆に心配になってきました。観光のことは、超党派でお考えいただき、選挙の争点にしないよう、お願いしたいところです。

  話しは少し逸れますが、「ちんや」は、雷門から50メートル(徒歩30秒)という場所にあるので、雷門の広場で大音量の選挙演説が始まると、ウルサくて仕方ありません。

 投票日前日の夕方は、毎回特にウルサいので、その時間に予約を入れようとなさる方には、あらかじめ「選挙演説がウルサいかもしれません」とお伝えしています。

  政治家の皆さんにも、演説する前に、周りの人間に、ご高配を賜りたく、お願い申し上げます。

 「ちんや」さんで、美味しいすき焼きを召し上がっている、お客様に申し上げます。大きい声で、ご迷惑おかけしてます!」って挨拶する位のご配慮がある方なら、1票入れてもいいんだけどねえ。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 *「休日取得の分散化」については、このブログの5/25号をご覧下さい。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 10:20 AM  Comments (0)

大江戸清掃隊 夏の陣

 6/18は、雷門横丁一斉清掃の日でしたので、朝から出動しましたが、気合が入りません。

 このところ気温・湿度とも上昇ぎみだからです。前夜も暑さで、朝6時前に目が覚めてしまい、寝ぼけ眼で参加しました。

  アクビを噛み殺しながら、路面を掃いていると、横丁会長のU子ちゃんが、

 「住吉さん、「Y野家」のダストボックス、放置されてますよね。置いて行ったんだと思いますけど・・・それに、凄く臭いんですよ。」

  「Y野家」とは、言わずと知れた、牛丼チェーン最大手の店ですが、このところ業績が悪いらしく、リストラの最中のようです。「ちんや」の2軒隣を借りて営業していた店も、5/28に閉店となり、そのダストボックスが、撤去されず、路上にそのままになっているのです。

  ああ、これねえ、撤去し忘れでしょうね。家主さんに頼んで、始末してもらいましょうよ。でも、たしかに随分臭いね、開けてみようか、と開けてビックリ! 眠気は完全に吹き飛びました。

  まず、息が困難なくらいの、悪臭。

 そして、ハエの航空隊と不意の遭遇。最近、どうもこの辺にハエが多いと思ったら、ここが原因だったのか!

  この状態では、「Y野家」が撤去に来るまで待っておれません。大江戸清掃隊、一気に戦闘モードに突入、夏の陣の開戦となりました。

 ダストボックスを路上に放置して、鍵を掛けておかなかったため、通行人がゴミを放り込んでいったようです。それを取り除かないといけません。

  そして、さらにゴミを掘り進んで行って、もう一度、ビックリ!

 「住吉さん、こ、これ、紅生姜ですよね。しかも3キロはありますよ」

 おえええええ、これが悪臭の原因か!

  これを見た清掃隊一同、アドレナリン全開です。怒涛の勢いでゴミを始末し、ダストボックスの内と外を水洗いし、こびりついたゴミもこそぎとって、さらに消臭剤をふりまき、本日の夏の陣は、終結しました。

  うーん、久しぶりに気合が入ったな。

 ハエの原因も分かって良かった。

  それにつけても、あの紅生姜、だいぶ賞味期限過ぎてたなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*雷門横丁一斉清掃については、このブログの4/17号をご覧下さい。

*「大江戸清掃隊」については、こちらです。

Filed under: 浅草インサイダー情報,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:04 AM  Comments (0)

尾花沢市産「山形牛」 No.02452-40599

 「ちんや」の「今週の特撰牛肉」が、6/13より変わりました。山形県尾花沢市産の「山形牛」で、黒毛和種の牝牛、個体識別番号は02452-40599です。

 尾花沢市と言うと、ピンと来ない人もいるかもしれませんが、銀山温泉のある所、と言えば、すぐわかるかもしれません。銀山温泉は、「大正浪漫の湯の町」として有名ですよね。銀山川の両岸に、大正末期から昭和初期に建てられた、洋風木造の旅館が軒を並べていて、独特な景観がロマンテイックな所です。

 今回の牛のファームは、その近所でして、寒暖の差が大きく、冬には雪が2メートル近く積もるそうです。

 早速、ファームのホームページを開けてみました。「スカイファームおざき」さんという所です。見れば、堆肥のリサイクルに熱心で、堆肥撹拌プラントが2基あり、袋詰めロボットまであるそうです。

 堆肥づくりのため、牛舎の中には、「バーンクリーナー」という機械も入れていて、この機械で自動的に、牛の糞尿を搬出できるしくみになっているそうです。堆肥のリサイクルに取り組む結果、牛舎が清潔になるのは、大変結構です。             

 最近、生産現場では、リサイクルに熱心な方が多いですね。人件費の高い日本で農業を続けるには、産出したものを、ゴミにしてはゼッタイにダメで、リサイクルして商品にするのが、至上命題なのだそうです。

 先日、向笠千恵子先生の紹介で「ちんや」へ見えた、「沖縄さとうきび機能研究所」のT社長も、同じことを考えておいでで、さとうきびの皮から出来る繊維で、洋服を作ったりされています。料理屋は、リサイクルに関しては、とてもとても遅れていますので、反省ですね。

  一方、牛の育て方については、企業秘密なのか、「スカイファームおざき」さんは、さほど詳しく、ホームページに載せていません。

 前回の「みついし牛」の時は、飼料について、詳しい資料がもらえて有益でした。「みついし牛」には、飼料の中にビタミンや貝化石等のミネラルを添加しているそうで、そのせいか、複雑な味でした。隠岐牛にも通じる大人の味で、かなり旨かったと言って良いと思います。

 今回の山形牛も旨いですし、コンクール等の実績もあるファームさんですから、味のレベルとしては、いい勝負ですが、できれば、もう一声情報公開があっても良かったかもしれませんね。

  実は、銀山で採れた銀を、牛に与えているとか・・・

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

追伸、このブログを、会社に置いてあるパソコンの、「お気に入りサイト」に登録されている方に申し上げます。是非、ご自宅のパソコンにも登録お願い申し上げます。

 アクセス解析していると、毎週、日曜日の数字が寂しいんですよ。ご高配を。

*「スカイファームおざき」さんについては、こちらです。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 9:40 AM  Comments (0)

梅雨入り、変わりザク③

 東京も梅雨入りしたようです。週間天気予報を見て、ビックリ。23日まで雨マークが付いています。気温も上がってきて蒸しますね。

 と、いうわけで、変わりザクも少し変わりました。

 3/6よりスタートした、春バージョンは、

 たけの子、山うど、長せり の3種盛り合わせでした。

 5/3スタートの、初夏バージョンは、

 丸ナス、小松菜、さやえんどう の3種でした。

 今回は、夏野菜ということで、

 丸ナス、蓮根、伏見の甘長とうがらし の3種です。

 ナスは、評判が良く、引き続き入っています。

  定番のザクに加えて、季節感たっぷりの、野菜類もお召し上がりいただければ、と思います。

 ナスと蓮根には、割下が良くしみ込みます。

 一方、甘長とうがらしの、控えめな辛味は、すき焼きを召し上がる間の、食い味直しになると思います。湿度のある時期ですし、少し辛味のあるものも良いかと思います。

  思い起こすと、子供の頃は、暑くなりかけの、この季節にジュースを飲み過ぎて、よくおなかを壊したものでした。

 ブログ読者の皆様もご自愛下さいませ。

 おっと、しまった、真面目なこと書いちゃった。暑さのせいかな?

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*春バージョンについては、こちらを、初夏バージョンについては、こちらをご覧下さい。

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 9:25 AM  Comments (0)

1.000円ランチ@浅草

 先日、知人から「浅草で@1.000円で、何か他の場所になくて、旨いランチを食べたいので、教えてほしい」と言われ、困ってしまいました。

 浅草は一応、天下の一等地ですので、天丼とか天蕎麦でも、1.400円〜1.500円くらいする所です。「@1.000円で」となると、もんじゃ焼きかモツですかねえ、とお答えすると、その方は、そういう食べ物はあまりお得意でない方のようでした。

 実は「ちんや」でも、「ちんや亭」という、リーズナブル値段の、系列の飲食店をやっていまして、ハンバーグなら、@1.200円です。当然そこを、おススメしたいところですが、あいにく、「ちんや亭」はカウンターだけの店でして、ゆっくり長居できる、というタイプの店では、ありません。

 残念ながら、今回のランチは、「ゆっくり」がメインの趣旨とのことでしたので、結論として、ご質問にバッチリフィットした、お答えにはなりませんでした。

 @1.200円で、旨くて、ゆっくり長居できる、という店があれば、繁盛するに違いありませんが、「ちんや亭」で優先しているのは、「ゆっくり長居できる」ことではありません。

 本家の「ちんや」の方は、店として「ゆっくり長居して、すき焼きを食べていただく」ことを優先していますが、「ちんや亭」で店として優先しているのは「出来立て」であることです。

 「ちんや亭」は、カウンターだけで、16席しかない、小さい店ですので、焼いたハンバーグを即座に、ご提供できます、5秒以内に。

 肉が旨くて、出来立てのアツアツを5秒以内に食べれば、マズイわけはありません。そこを大事にしている店、ということでご理解いただきたいと思っております。

  ついでに宣伝しておきますと、「肉が旨くて」の理由ですが、肉が「ハンバーグ用の肉」でないから!です。

 すき焼き用の肉を精肉する時にできる切れ端を保存しておき、あとでミンチして、ハンバーグを作ります。もともとが、すき焼用の上等な肉で、熟成させたものですから、すき焼き同様の、旨味のあるハンバーグができます。「ハンバーグ用の肉」(通常はランクの低い肉)は仕入れていないのです。そこが、旨い理由です。是非、お召し上がり下さい。

  そう言えば、先日、「国際観光日本レストラン協会」で御一緒する、N社長が新しく、開店させた、「神田仏蘭西料理聖橋亭」さんを見学させていただいたのですが、そこには、なんとお客様用の、「お昼寝部屋」がありました。「ちんや」の、はるか上を行く、ゆっくり度です。

 「聖橋亭」さんは、もともとが、一戸建ての民家で、上層階もあるのですが、料理を上げ下げするリフトがないため、食事のスペースとして、上の階は使いにくく、それなら、思い切って、「お昼寝部屋」にしてしまって、くつろいでもらおう、ということのようです。

 N社長に、お客さんが本当に寝込んでしまって、いつまでも帰らなかったら、困りますよね、と聞くと、

 「イヤ、そうでもないよ。寝ていいよ、って言うと、逆に以外と人間寝ないもんだよ」と呑気なお答え。

 うーん、それならウチも、今使っていない、店の上の、高い階を「お昼寝部屋」にしてしまうか!

   *「ちんや亭」については、いったんこちらを開けた後、「関連店舗ご紹介」を開けて下さい。

すき焼きパーテイー

 私は、昭和40(1965)年生まれなので、40歳代も半ばに入りました。気は若いつもりですが、年は争えません。最近世代の違う方との間に、ギャップを感じることがあります。特に、ギャップを感じるのは、日本語の使い方、口のきき方です。

  先日も、予約の電話を取り、営業時間の話しになったので、「夜9時半で閉店させていただきます」と、その若い方(男性)に申し上げると、

 「え? っていうことは、9時半で店を閉めちゃう的な感じですか?」

 こういう口のきき方を聞くと、ムカっとくるんです、ワタクシ。40歳代も半ばに入ってるもんですから。そこで、

 「閉めちゃう的な感じ、じゃあございませんで、閉めます! 夜9時半には!」と断然申し上げると、その若い方は、

 「じゃ、いいです。やめます!(ガチャン)」だって。

  「時間のことは知りませんでしたので、そういうことなら、もう一回検討します」くらいのことは言えないのかね、けっ。と悪態を吐きつつ、でも、口のきき方が変でも、お客様はお客様だからなあ、と反省の気持ちも、まあ、有ります、3分の1くらいは。

  しばらく前ですが、もっと変な予約もありました。やはり若い男性ですが、

  「すき焼きパーテイーの予約なんですが」

⇒「はい、(パーテイーと言うからには30人位かな、と期待しつつ)何名様でしょう?」

⇒「4人です!」

よ、4人で「パーテイー」ですか・・・

4と言えば、1の次の、その次の、すぐその次の数字ですよね。

  この電話以来、我が家の、私とヨメだけの夜食のことも、「パーテイー」と言うようになりました。

 「今日のパーテイーは何が食えるの?」

 「アボガドがあるから、アボガドのレモン醤油と白ワインかしら」

  そういう経緯ですので、「ヨメと二人でパーテイー」と申しておりますが、それは夫婦ラブラブだからというわけではありません、じゃなくて、ラブラブです、はい、間違いありません。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 9:15 AM  Comments (0)

すきや連―日本短角牛のすき焼きを食べる会

 私は、「すきや連」(=すき焼き屋と、すき焼き愛好家のグループ)の事務局長ですので、「すきや連」の例会が開催される時は、事務全般をとり仕切らないといけません。

 この7月にも、例会を予定しているので、今、案内状の発送・申し込みの受付作業が急ピッチです。

  さて、「すきや連」は今まで5回の例会を開催しましたが、今回はいつもと少し趣向が違います。今回は、日本短角牛の生産者・「北十勝ファーム」さん(北海道足寄町)のご協力により、「日本短角牛のすき焼きを食べる会」を開催することになりました。

 大勢の、すき焼き関係者が集合して、短角牛のすき焼きを食べるのは、たぶん初めてではなかろうかと思います。当日は「北十勝」のファームマネージャー・上田金穂さんも参加されるので、まず開宴に先立って、20分程度卓話をしていただき、それから宴会にしようと思っています。

 このファームは、飼料の99%を国産飼料で賄っていて、牛の排泄物もリサイクルしているとかで、なかなか立派です。そういう御話しも多分、皆さんのご参考になるものと期待しています。

  逆に今回、気が重いのは、会場がウチつまり「ちんや」だという点です。

 今までの「すきや連」は、各地のすき焼き屋さんで順番に開催し、その御店がベストと思うすき焼きを出していただく、という企画でしたが、今回は趣向が違って、日本短角牛のすき焼きを食べる、という企画です。

 日本短角種というのは、和牛の一種なのですが、北海道・青森・岩手で、ごくごく少数が飼われている、珍しい品種です。霜は降らないものの、独特の旨味があります。

 すき焼き屋で使われる肉は、ほとんどが「黒毛和牛」の肉ですので、「短角」の御取り扱いの経験のある、すき焼き屋は、あまりないと思います。

 よその御店に、普段扱い慣れない肉を扱わせることは、非常に頼みにくかったので、結局、自分の店で開催することとなりました。

  そういう次第ですので、例会当日私は、開催店の主人兼「すきや連」事務局長、という二重の役割を兼任することになります。6回目の開催ですので、事務の方は、だいぶ熟練してきましたので、まあ、なんとか二役、やってやれないことはないだろう、と思ってはいますが、超ハードなのは、今から目に見えています・・・

  最近ニュースで新内閣の顔ぶれをやっていますが、党政調会長兼公務員制度改革担当大臣の方が楽チンそうですね、私より。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「すきや連」については、こちらをご覧下さい。

*「すきや連」については、このブログの、3/2号3/3号3/4号3/5号5/2号もご覧下さい。

*「北十勝ファーム」さんについては、こちらをご覧下さい。

東京人と坂本龍馬

 雑誌「東京人」8月号(7/3発売)に出てほしい、ということで、編集部の人が見えました。

 「いろいろ、お話しを聞かせて下さい」とおっしゃるので、私は、すき焼きの歴史と未来について、さらには浅草の歴史と未来について、取材嬢相手に、小一時間かけて、縦横に語ったのですが、結果、出来てきた校正は、ごく通常の「ご主人紹介記事」でした・・・

 良く考えると、それは当然ではありまして、私が出ますのは、Kビールさんが持っている、広告枠の一部です。つまり、いわゆる「記事広告」の一種でして、しかも、60mm×50mmの寸法に、納めないといけないので、そう変わったことも書けません。

 まあOKでしょう。今回お話ししたことが、いつか将来の、どこかに載る記事に反映されれば、良しとしましょう。

  ところで、私が出るのは「東京人」の8月号ですが、6月号の特集記事は「坂本龍馬の江戸東京を歩く」でした。取材嬢が「これは見本として差し上げます」と下さいました。

 NHKで龍馬のドラマをやっていて、ブームですから、便乗したのでしょう。今まで龍馬に強い関心を持たずに来て、龍馬初心者である私も、乗せられて読んでしまいました。

 読んで再度確認したのですが、どうも龍馬には、うらやましい要素が多すぎて、いまひとつ私は共感できないのです。非業の最期を遂げたことまで、うらやましいくらいです。それで今まで、強く惹かれてこなかったのだと思います。

 司馬遼太郎でも「竜馬がゆく」はまだ読んでいません。同じ司馬作品でも、徳川慶喜を描いた「最後の将軍」や、幕府の最後の典医だった松本良順を描いた「胡蝶の夢」、最後の土佐藩主・山内容堂の「酔って候」などは、繰り返し読んでいるのに、です。

  どうも、私は歴史の負け組に惹かれるのです。特に、龍馬と同じ時代に、同じ土佐藩に生きたのに、龍馬とはほとんど接点のなかった人物・山内容堂には惹かれます。

 容堂は、才気と豪腕を持ち合わせ、ポエジーまであり、しかも稀代のヨッパライ大名でした。幕末の激動の政局の中で、空中分解しそうになる藩を、豪腕をもって統率し、一方、中央政界では、幕府と倒幕勢力が正面衝突しないよう、必死に奔走しました。

 しかし、それだけの才覚をもってしても、歴史の流れには勝てず、結局薩長と幕府は開戦、融和的な政権を造る望みは叶いませんでした。

 歴史を回天させたのは、ご存じの通り、容堂のもとから脱藩した、龍馬と

中岡慎太郎、加えて脱藩してはいないものの、龍馬や慎太郎と通じていた、後藤象二郎、板垣退助などでした。

 容堂は、最終的には、しぶしぶ薩長方に加わりますが、そうせざるを得ないことが確定した日、つまり王政復古の、その日に痛烈な酔態を演じます。天子の御前の会議の席で、ヘベレケとなり、悪態をつきまくった様子が、司馬の「酔って候」に、鮮やかに描かれています。

  痛烈な酔態ー自分が演じる日が来るでしょうか。

  それに比べると、テレビの龍馬は、どうもねえ、という感じです。

 だいたい、役者が福山某じゃあねえ。浅草のすき焼き屋の方が、数段イケてますから。

 ねえ?

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「東京人」について、詳しくはこちらをご覧下さい。8月号は7/3発売です。

Filed under: ぼやき部屋,今日のお客様,憧れの明治時代 — F.Sumiyoshi 9:13 AM  Comments (0)

恒仁朗さんと二宮尊徳ー「商人心」②

 私の学校の先輩・恒仁朗さんが出された、御本「商人心」(あきんどごころ)のことは、このブログの4/9号に一度書きました。その後書いてこなかったので、忘れてしまった、ブログ読者の方もおいでかと思いますが、「ちんや」の店では、忘れておりませんで、朝礼で、皆で読んでいます。

 良いことが書いてあるのです、ここには。

 今、この御本の中の、二宮尊徳の教えを紹介した下りを読んでいますが、とても心にしみる箴言が多いですね。曰く、

 「商売は売って喜び、買って喜ぶようにする。売って喜び、買って喜ばないのは道ではない。利をもって利とせず、義をもって利とする。」

 「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。」

  最近、尊徳の見直しが盛んだそうで、特に尊徳に御縁のあった、小田原・相馬・今市などの地で盛んなようですが、恒仁朗さんも今市の人です。「恒仁朗」というのは実はペンネームで、本名はFさんとおっしゃる、食品関係の社長さんです。私が幹事をしている、「料飲三田会」という会で日頃ご指導いただいています。

  「台彪会」をご指導いただいている、二条彪先生も、日本人は江戸時代に書かれた、商売についての教えを、もう一度読み直すべきだ、と最近言っておられましたので、私も気になり出しています。

  もっとも、勉強しても、この意地悪な性格は、直りませんけどね、たぶん。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*このブログの4/9号もご覧下さい。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 9:24 AM  Comments (0)

浅草寺の大工事壁―「平成本堂大営繕」②

 「ちんや」の屋上へ登り、北の方角を向きますと、浅草寺の大屋根が良く見えます。と申しますか、正確には、大屋根を覆っている、巨大な工事壁が見えます。

 この工事壁は、現在実施されている、浅草寺の「平成本堂大営繕」(=主に屋根の葺き直し)のために設置されているもので、本堂周囲を完全に覆っています。

  その工事壁に、このところ変化が見えます。数人の作業員の人が屋上に登り、天蓋を1枚ずつ外しているのです。この様子に私が気づいたのは、6月に入ってからなのですが、作業は、どんどん進んでいて、既に今日の時点で、ほとんどの天蓋がとり外されました。今は、工事壁の骨組が露出しています。

  工事壁が骨組だけになったということは、雨が降れば、その下の大屋根、つまり新しい大屋根が濡れるわけで、「大営繕」の工事が相当進んだと想像できます。11月完成、と聞いていたのですが、順調のようです。

 この工事壁に彩色された、川端龍子の「龍之図」 のことは、このブログの、5/24号に書きました。工事壁が巨大なので、金龍の絵も巨大で、縦:10.2m×横:32.7mもあって、かなり見ごたえあります。

 工事は順調なようですので、この期間限定の龍を見たい方は、はやめに浅草へお出かけいただいた方が良いかもしれません。ついでに?東京スカイツリーの建設中の姿も見えます。さらに、水上バスの船つき場も完成間近です。この3軒の写真を撮って周るだけでも、ちょっとした観光になりますよね。

 私が役員をしている、浅草料理飲食業組合の、6/7に開催された総会に、浅草観光連盟の永野章一郎会長が見えたので、お話しを承りますと、浅草寺と水上バス船つき場と浅草観光センターの3箇所が同時に工事中にも関わらず、浅草への人出は、減ってはいないそうなのです。

 地元人の予想では「工事があるから、観光客は減るに違いない」ということだったのですが、世間の人は、建設中の、期間限定の姿に、むしろ関心があるようです。

 このブログへも、「浅草寺」+「工事」とか「浅草寺」+「龍ノ図」というキーワード検索で入って見える方がいます。ですので、このブログでも、その辺りをなるべくご紹介しようと思います。

 ①浅草寺と②スカイツリーと③浅草観光センターと④水上バス船つき場の、4箇所が同時に工事中って、歴史上、後にも先にもない事態です。是非ご見物を!

 それにつけても、天蓋取り外し作業をやっている人は、メチャメチャ怖そうです。強風が吹いたら、落ちそうなんです、大屋根から。

 それでどうも、風が吹いてきたり、急に雨が降ってきたりすると、私は怖いもの見たさで、じゃなくて、心配で、屋上に見に行ったりしています。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

このブログの5/24号もご覧下さい。

Filed under: 浅草インサイダー情報,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 9:25 AM  Comments (0)