要望書
ようやく「ブラック客」が批判されるようになり、私は結構なことだと思っています。
「ブラック客」とは、過度の安さや便利さを要求して止まない、日本の消費者のことを言います。
東大出の美人社員さんが過労自殺した広告大手D2社では、金曜の夕方に「ブラック客」から電話があり、
企画内容を変えたいので、月曜の朝までに企画書を作り直して!
と言われることが頻繁だったそうです。そしてD2社の社員さんは、それに応えるのが普通だったとか。
火曜の朝まで待てば良いのにね。「ブラック企業」を創っていたのは実は「ブラック客」だったという経緯が手にとるように分かる話しです。
そして今時の公立図書館の客も、またブラックだと私は思っています。
無料でベストセラー本・話題の本を読みたいという「ブラック客」の要求に応えるために、各地の図書館が新刊本、特に芥川賞や直木賞を獲った本を大量購入していると聞きます。
ベストセラー本を読みたいという客が多ければ、待ち日数は当然長くなりますが、長くても待てば良たせて置けば良いのです。一銭も払っていないんだから、早くしろとか言えない立場だと思うんですよね。
ところがです、選挙で票が一票でも欲しい市長さんが、「行政サービス向上」と称して、ベストセラー本を大量購入させているようです。ベストセラー本をじゃんじゃん貸し出せば、自然と貸し出し点数が増えて、見かけ上図書館のサービスが向上したように見えますが、購入した本の話題性がなくなったら、どうするんでしょう?廃棄?
実は拙著『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』を6冊買って下さった、喜徳な図書館があるのですが、時期が来れば廃棄でしょうねえ。廃棄するなら、私に譲って欲しいです。
さて、このような事態を受けて、全国の出版社などが加盟する日本書籍出版協会は、このような大量購入を止めて欲しいと訴え出たそうです。報道によれば、
「公共図書館での文芸書の取り扱いについて配慮を求める要望書を、全国約2600館の公共図書館の館長あてに送付した。図書館に要望書を送るのは異例という。」
とほほです。
ただでさえ、ネットの普及でどんどん本が売れなくなっていると言うのに、これでは本当に出版産業が滅びます。
「ブラック客は日本を滅ぼす」という認識で、早く皆が一致しないといけないと、私は思っています。
追伸①
追伸②
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
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