8/21に、「ちんや」で「おいしい夏休みー親子体験食味学習会」を開催しました。
昨年に続いて2回目の食育企画ですが、29人の親子にご参加いただき、また地元のヒノデ新聞さんの取材も入って、盛況でした。
今回は、シュートボクサーでSカップ2006世界チャンピオンの緒形健一さんをお招きして、「強い体づくりと食事」について、お話しいただきました。
なにしろ、あのアンデイ・サワーを倒した男です。子供たちもチャンピオンの話しを興味津々で聞いていました。
大変良い御話しでしたので、このブログでも公開しようと思います。ご覧下さい。
<以下、お話しの録音>
ただ今ご紹介頂いた、シュートボクシング協会の緒形健一です。
シュートボクシングは、パンチ、キックに加えて、投げ技や立っている状態での関節技が認められた立ち技何でも有りの格闘技です。
シュートボクシングには日本をはじめ世界各国に色々な選手がいますが、シュートボクシングのS-cupという世界トーナメントで3回、そしてK-1MAXでも2回チャンピオンになっているオランダ支部のアンディ・サワーが、皆さんが一番知っている有名な選手だと思います。
僕は2006年のS-cupで、そのアンディ・サワーを決勝戦で倒してチャンピオンになりました。
今後、皆さんにシュートボクシングをより深く知っていただいて、若い頑張っている選手たちを応援していただければと思います。
今日は「食育」ということですが、あまり長く話しても、今から折角すき焼きが出てきますし、小一時間位ゆっくりと話をさせていただければと(笑)―それは冗談ですが、大体10分くらい、いやいや、それも冗談で5分くらい、5分だけ話しますから集中して聞いて下さい。
僕たちは格闘技という身体を使うスポーツをやっているので、その必要性から栄養については色々と勉強をしています。まず食べ物には「三大栄養素」というものがあります。
「三大栄養素」には、まず炭水化物=ご飯や蕎麦、饂飩などのいわゆる主食。2つ目に脂肪=油、マーガリンとかバターなどの脂分があります。そしてタンパク質=お肉やお魚、豆などがあります。
まず炭水化物というのは、簡単に例えると、車で言うところのガソリンの役目です。そのガソリンを入れなければ車が動かないように、人間も炭水化物を摂取しないと活発に動けません。
そして脂肪は、そのガソリン=炭水化物が無くなった時に使われるエネルギーで、必要のない時は摂取し過ぎるとお腹の肥満などにつながってしまうのですが、必ずしも悪いものでは無くて、人間が生きていく上では実は重要な成分なのです。でもあくまでも摂り過ぎは禁物です。
最後にタンパク質は、身体、車でいったらボディーを作る成分で、筋肉になります。より強くたくましい身体を作るためには、効率よくたくさん摂取しなければなりません。
僕たちは試合前には減量というのがあって体重を10キロぐらい落とすのですが、その時に脂肪をとると太ってしまうとか痩せないんじゃないかと思ってしまわれるお母さん方もいらっしゃると思うんですが、そうじゃなくて、ある程度減量していくと、今度は少し脂肪分を身体に入れてあげないと逆に脂肪が燃焼しないんです。
炭水化物もタンパク質も脂肪も完全に摂らないようにするのではなく、上手にバランス良く摂取しないと身体の動きが悪くなって代謝が落ちて元気も出なくなってしまいます。
その中でも減量中に僕たちが一番大切だなあ、と思ったのは肉です。お肉って食べると太ったりするイメージがあると思うんですけど、それは逆で、食べないと脂肪は燃焼しないんです。脂肪燃焼にはお肉に含まれるカルニチンという成分が非常に重要なんです。
僕たちの練習サイクルは、昼に3時間、夜に3時間の一日約6時間程度で、試合前の減量中などは水も控えた状態で凄くキツい練習をやります。一回の練習で3キロぐらい落ちるので、2回やれば約6キロぐらいの水分が身体から汗となって出て行くんですが、試合前は肉体だけではなく精神的なプレッシャーや不安との闘いで気が滅入りそうになったりすることもあります。
その時に多少でもお肉を食べると、やっぱりタンパク質は勿論、色々なビタミンも含まれているので凄く元気になれるんです。
皆さんは、恐らく一日に2回から3回食べたい時に食べる普通の生活をされてるので分かりにくいかもしれないですが、僕たちは約一カ月の減量期間中に10キロぐらい体重を落としていく中で、食べたり飲んだりする口に入れる物に対して「あ!これってこんな効果があるんだ」とか「これはこのタイミングで食べると太るんだ」ということを実体験として体感できるんです。
感覚が研ぎ澄まされていくので、極端な話、ただの水でも美味しかったり不味かったりを凄く敏感に感じとれるようになります。
ご飯も美味しいし油を使った料理も美味しい。それぞれ全て身体に必要な栄養分なのですが、その中でもやっぱりテキメンに効果を感じるのはお肉です。さっきも言いましたが、お肉というのはビタミンやミネラル、アミノ酸の成分などが凄くやる気を出させてくれますし、スポーツマンにとって必要不可欠な筋肉も作ってくれるのでとても重要です。
今日は、小さいお子さんもたくさん来てますけど、皆さん成長期で一番重要な時期ですから、とにかく偏らずにバランス良く栄養を摂ることを心がけてください。例えば、いい大工さんがいてもいい材料がないと家を作れないのと同じで、とにかく成長期にお肉を食べて栄養を摂取してたくさん練習しないと強い体を作れませんからね。
最期になりますが、僕は山口県というところの出身で、8歳までは下関市という、山口県でも都会に住んでいたのですが、9歳からは海と山しかない、長門市の油谷町というところに引っ越しました。
それまでは、お父さんお母さんに「食べ物を残しちゃダメ。食べられない人もいるんだから、感謝して食べないとダメだよ」と言われて、「うん、分かった」とは返事しながらも、自分が毎日何不自由なく食べることが出来ていたからそのありがたみを良く理解してなかったんです。
食べものは、なんでもスーパーで出来て売ってる物だと思っていたし、袋や箱に詰めてあるのが当たり前だと思ってました。
だけど田舎に越した時に、お父さんお母さんが農業をやり始めたんです。種植えをして、稲穂を育てて稲刈りをして米を作る。みんなで汗かいて、僕も頑張ってお手伝いをしました。最初は疲れるし嫌で嫌でしょうがなかったんですけど、そのうち、自分で植えた種から芽が出てきて、それを育てて獲って精米して苦労して作った米を口にした時に、すごく美味しくて感動したんです。
その時に「食べ物って本当にありがたいなあ」って心から思ったんです。食べ物って始めから袋やパックに詰められて売ってる物なわけじゃなくて、こうやって色んな人が苦労して育てて作るものなんだな〜って理解して感謝する心が生まれたんです。
今、シーザージムのキッズ練習生たちにも農業体験を希望する子たちには参加してもらってますけど、年に数回ですが、そういうことを是非学んでほしいなと思ってます。それで食べ物に対して感謝する心を養ってもらえたら最高です。だからみんなも、ご飯を食べる時はいつも感謝の気持ちを持つようにしてください。
そして好き嫌いなく、色んな食べ物をバランスよく食べて、ジムでたくさん練習して強い身体を作ってほしいと思います。ちょっと短いですけど、以上、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
<緒形さんのお話し終わり>
なお8/21当日は、緒形さんに続いて、私が「すき焼きを、何でみんなが食べるようになったか、いつから食べているか」を、お子様向けにお話ししました。その内容は、このブログの8/22〜8/24号で公開済みです。あわせてご笑覧下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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*シュートボクシング協会については、こちらです。