天晴れな甘さ

またまた元日に放送された「東京ミラクル」の件なんですが、あの番組には、私の旧知のご主人が何人も出ておられました。
弁当の日本橋弁松総本店さんもそうです。ご創業は1850年。
現代人で砂糖が高価と思っている人はほとんどいないと思いますが、江戸時代はまだ砂糖が高価でした。日本は日清戦争で勝って台湾を獲得するまで、砂糖を自給できなかったからです。明治時代になって甘いすき焼きが好まれたのも、それが高価=豪勢な感じがしたからです。
江戸っ子の中には散財自慢の一種として、見栄を張って、料理屋や弁当屋に甘い味付けで作らせることさえあったそうです。
下町で今でも濃い味付けが好まれる理由は、これです。
で、弁松さんですが、今もその味をしっかり受け継いでいて、健康志向・薄味ブームのトレンドに抗っておいでです。
昨今では「味付けがおかしい」と客からクレームがくることさえあると言います。しかし八代目の樋口純一さんは「味が濃いのも理由がある。今の風潮だからといって薄味にしてしまうと弁松の味ではなくなってしまう。一切変えるつもりはないです」と番組でキッパリ言っていました。
うむ、天晴れ!!
あ、間違えた、それは日曜の朝のスポーツコーナーのセリフだった・・・

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.615本目の投稿でした。本年3月1日まで無事連載が続けば10周年になる予定です。引き続きご愛読を。

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明日は大寒

明日は大寒です。
「ちんや」売店では今年も「大寒卵」を販売致します。予約受付期間は終了していますが、残数も少しあることから、24日から店頭売り(フリー販売)を致します。どうぞお求め下さいませ。
来年の「大寒」は1月20日です。風水は、大寒の日に産まれた卵を食べることを勧めているとかで、それを「大寒卵」と言うそうです。
これを、あながち迷信と片づけない方が良いと思います。 寒い時期に産まれた卵は栄養価が高いからです。 大寒は一年で最も寒さが厳しくなる頃です。鶏はその寒さで本能的に産卵数が少なくなりますので、その中でも産まれた卵は、必然的に栄養価が高まります。
寒い所の卵が良いわけですから、特に寒い所=日本海の風雪を浴びるような所で鶏を育てている養鶏場から卵を取り寄せることにしました。 その養鶏場は、新潟県村上市の「オークリッチ」さん。
ご期待下さい。

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海を渡ったスキヤキ②

『海を渡ったスキヤキ  アメリカを虜にした和食』(グレン・サリバン著)
という本がかなり面白かったので、昨日から書いています。
昨日はすき焼きの件にしぼって書きましたが、今日は日本人の洋食の件です。
明治時代、日本は未だ貧しく、一方アメリカ経済は黎明期でしたので、多くの日系移民が労働者としてアメリカへ渡ります。多くはひどい待遇で、特に鉄道建設の現場はド田舎だったので、食料が調達できません。
移民達は、ロクな食事を与えられないので自分で料理が出来るになり、その中からアメリカで料理店を開業する者が現れます。1909年の統計では381軒もの日本人オーナーの飲食店があったとか。日本人による和食店より日本人による洋食店の評判が良かったというから面白いです。
当時の雑誌は、日本人によるステーキ肉の柔らかさと焼き加減を褒め、日本人ウエイターが忙しく働く様子を「無限の力が感じられる」と称賛しました。
そして、日本人による洋食店の評判が良かったことが、なんと、日系移民排斥につながってしまうのです。
日本人の洋食店の客は白人でしたので、白人洋食店のオーナーは客を取られてしまいました。不満は溜まり、1909年に「ホースシューレストラン事件」という衝突が起きます。排斥同盟も出来てしまいます。
幸いなことに当時の大統領は親日家のセオドア・ルーズベルトで、この問題が大紛争にならないよう努力しますが、アメリカの日系人は長い苦難の時期に入って行きます。
今日本は豊かになり、移民を受け入れようかという状況ですが、日本人の料理が原因で、このようなことが起きていた歴史を、この本で知ることができました。

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海を渡ったスキヤキ

かなり、面白かったです、この本。
『海を渡ったスキヤキ  アメリカを虜にした和食』(グレン・サリバン著)
すき焼きに限った本ではなく様々な和食が採り上げられているのですが、後半の盛り上がる部分は、すき焼きの件です。
まずは明治時代の話し。
この頃日本は未だ貧しく、一方アメリカ経済は黎明期でしたので、多くの日系移民が労働者としてアメリカへ渡ります。多くはひどい待遇で、特に鉄道建設の現場はド田舎だったので、食料が調達できません。
そこで移民達はなんと、近所の野山に出かけて獣を打って来ます。
で、すき焼き。この本では「すき焼き」と表現されていますが、これに匹敵するのは日本の江戸時代の「ももんじや」の料理と言えるでしょう。
野獣の臭みを抜く方法が「穴に埋めて置く」などリアルです。
移民達は、ロクな食事を与えられないので自分で料理が出来るになり、その中からアメリカで料理店を開業する者が現れます。1909年の統計では381軒もの日本人オーナーの飲食店があったとか。日本人による和食店より日本人による洋食店の評判が良かったというから面白いです。
しかし、そうした店も移民排斥法、そして太平洋戦争で壊滅的ダメージを受けます。
戦後、まったく違う形でスキヤキ・ブームが起きます。
GHQの日本統治に参加した米兵は駐在中たびたび開催していたすき焼きパーテイーをしていました。長期に渡る滞在ですから、気分を盛り上げる為にパーテイーをするのですが、盛り上がるのはすき焼きだ!と、すき焼きがハレの食べ物だということがアメリカ人にも分かったのですねえ。
彼らは帰国後もしばしばすき焼きパーテイーを開催→それが1960年頃には一大ブームとなり、スキヤキと言えば日本風全般を意味するところまで行きます。
坂本九ちゃんのヒット曲『上を向いて歩こう』がアメリカで『スキヤキ』と呼ばれたのは、日本の歌という位の意味で、内容とすき焼きが関係無くてもおかまい無しだったのです。
・・・このように、「アメリカを虜にした和食」と言っても、2020オリンピックに引っかけて和食を売り出そうという話しではありません。波乱の日米関係史の中でアメリカで生き残ってきた、和食の話しです。だから面白いと言えます。
著者がハワイ出身なだけに、ハワイに土着した和食の件も面白いです。
出版社: 中央公論新社
ISBN-10: 4120052508
ISBN-13: 978-4120052507
発売日: 2019/11/19

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住吉史彦の十大ニュース2019

大晦日は例年「住吉史彦の十大ニュース」の日です。
詳しい内容を知りたい方は、アンダーラインのある所をクリックして下さいね。よろしくお願いします。さて、
2月「卵を食べるための、すき焼き会」を開催し、「大寒卵」ですき焼きを食べていただきました。

3月「台東区芸術文化支援制度」の10周年を記念して、これまでの活動を振り返るアーカイブ展が開催されました。区の「アートアドバイザー」である私もトークイベントに参加しました。

3月 令和時代の肉の仕入れ方針を明確にするため「肉のフォーティエイト宣言」をしました。これが2019年の一番重大なニュースです。

4月 慶應義塾「料飲三田会」の総会を、大森海岸の「松乃鮨」さんで開催し、会長として再任されました。任期は2年間です。

6月 大阪で開催されたG20の、首脳配偶者プログラム二日目の昼食に肉を提供させていただきました。大森海岸の「松乃鮨」さんが配偶者つまり奥様方に鮨を握ったのですが、そのネタの一つとして提供させていただきました。

9月「すきや連」の第31回例会を、昨年新装なったばかりの「東京会館」さんにて開催致しました。

11月 台東区役所から「したまちTAITO産業賞」を頂戴しました。誠に在り難く恐縮なことでした。

11月 東京都食品衛生協会が創立70周年を迎え、私は食品衛生功労者・協会会長表彰をいただきました。誠に在り難く恐縮なことでした。

12月「東商オリンピック・パラリンピック アクションプログラム」の一環だとかで、東京駐在の外国大使館員の方々が東京の魅力に触れるツアーが開催され、その昼食を「ちんや」が提供しました。大使閣下ご本人も何人か見えました。

12月 令和二年元日放送の、NHKスペシャル「東京ミラクル」第4集 老舗ワンダーランドー佐藤健・物々交換の旅 に出演させていただくことになり、その撮影や打ち合わせがありました。

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食の十大ニュース

「食生活ジャーナリストの会」が「2019年食の十大ニュース」をまとめ、公表しました。私は毎年これに注目することにしています。
十大ニュースの順位は、
①食品ロス削減推進法の施行
②ゲノム編集食品 厚生労働省の届出受付開始
③相次ぐ台風で甚大な農業被害
④豚コレラ発生でワクチン接種開始
⑤タピオカ大ブーム 「タピる」も流行
⑥ストローなど、プラごみ削減の動き広まる
⑦日本がIWC脱退 商業捕鯨再開
⑧消費増税 食品の軽減税率で混乱
⑨コンビニ24時間営業に限界
⑩食料自給率37% 冷夏の93年度に並び過去最低
選考基準は、
▽会員の投票数
▽各種メディアのニュースに登場した頻度
▽歴史的観点から見たニュースの価値・重要性――の3点と言いますが、どうも「歴史的観点」が重視されていて、その結果、「食」にとどまらない項目~⑥プラごみ問題とか~が多めになっているように感じます。
私個人は肉関係ですので12月に承認された日米貿易協定で畜産業界が大きな影響を受けると心配していますが、この選に入らなかったのは発行日が来年始だからでしょうか。
なお「住吉史彦の十大ニュース」は、このブログで大晦日に発表する予定です。お楽しみに。

追伸、テレビ出演の告知です。
2020年元日放送の、
NHKスペシャル「東京ミラクル」第4集 老舗ワンダーランドー佐藤健・物々交換の旅
に出演させていただきます。
「東京ミラクル」は、2020オリンピックをひかえて東京の魅力を紹介するシリーズですが、今回は東京の老舗を紹介します。
東京は、関東大震災、東京大空襲で二度にわたり壊滅的な被害を受け、焼け野原となったにもかかわらず、世界最多の老舗店があります。
番組では、俳優・佐藤健さんが「長寿の秘訣の象徴」である老舗のとっておきの商品を、物々交換しながら訪ね歩き、伝統を受け継ぎながら進化を続ける常識外れの商売哲学を探って行きます。
*放送予定は以下の通りです。
<本放送>
1月1日(水)夜10:15〜11:04
<再放送>
1月2日(木)午前4:10〜4:59
<NHKオンデマンド>
本放送から1年間配信されます。

予告動画は、こちらです。

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大寒卵2020

好評につき、「大寒卵」が戻って来ました。
来年の「大寒」は1月20日です。風水は、大寒の日に産まれた卵を食べることを勧めているとかで、それを「大寒卵」と言うそうです。
これを、あながち迷信と片づけない方が良いと思います。 寒い時期に産まれた卵は栄養価が高いからです。 大寒は一年で最も寒さが厳しくなる頃です。鶏はその寒さで本能的に産卵数が少なくなりますので、その中でも産まれた卵は、必然的に栄養価が高まります。
風水が面白いのは、それを金運と結びつけたところです。 「大寒の日に産まれた卵を食べると金運が上昇する」と言うのだそうです。 ただ「健康に良い」と言うより、そちらの方がそそられますね。上手いことを考えたもんです。会社の社員さんに一個ずつ配るとかしたら面白いと思います。
さて今年も「ちんや」精肉売店で、この大寒卵を販売します。
寒い所の卵が良いわけですから、特に寒い所=日本海の風雪を浴びるような所で鶏を育てている養鶏場から卵を取り寄せることにしました。 その養鶏場は、新潟県村上市の「オークリッチ」さん。
ご予約は、既に受け付けを始めていますので、「2020年こそは一旗・・・」と心に決めておいでの方は、どうぞ「ちんや」売店へお急ぎ下さい。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
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民謡酒場

三ノ輪の「鈴木酒販」さんが創業60年を迎え、記念誌を出されました。
「鈴木酒販」さんは1959年のご創業。台東区北西部を中心に多くの飲食店に酒を卸している会社さんです。弊店の取引先ではないのですが、記念誌を頂戴して拝読しておりますと、高度成長期の、この辺りの飲食業の歴史を知ることが出来て面白く読めました。
例えば、民謡酒場が何故このエリアに多いのか?
しかも何故東北地方の民謡酒場ばかりなのか?
それは、集団就職で「金の卵」と言われて東京にやって来た若者たちが憩える店だったからです。
当時の東京の北の玄関口は上野駅でした。東北地方から東京へ着く列車は東京駅へは乗り入れておらず、全て上野駅発着でした。そういう形で東京で働き始めた大勢の若者が、方言丸出しで飲める場所が民謡酒場だったのです。
そして鈴木酒販の創業者・鈴木藤吉自身も山形から出て来た人でした。
当時は数十軒の民謡酒場が大繁盛していたそうで、今も台東区千束にのこる、有名な「追分」さんなども、そうした一軒です。
中には吉原の遊郭を業態転換?した民謡酒場もあったとか。1957年に売春が禁止になったからです。吉原の遊郭には大きな物権もあり、それが転換して300畳敷の大会場のある民謡酒場になったそうな。
全盛期には、その300畳が人で満杯になり、酒場の店員だけでは下足取りが間に合わず、鈴木酒販の営業マンが下足番を手伝っていたと言います。
朝は早くから働き始め、夜はこうして飲食店の手伝いまで買って出たのに営業の人達は何も辛くなかったと言います。
高度成長ですねえ。東北の若者達の青春時代で、日本の青春時代でもあったのが、この頃です。

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水たき日本一

新宿の「玄海」さんをお訪ねしました。国際観光日本レストラン協会のの、今年の納会でした。
「水たき日本一」で有名な鶏の水たきのお店です。いつもながら絶品でした。
「玄海」さんは九州出身の初代が昭和3年に創業、最初は九州の郷土料理という感覚でしたが、二代目の時に「伊達鶏」へと変更。全国の鶏を調べ、試食し、「伊達鶏」がもっとも玄海に合うという確信を持って採用したそうです。
現在では日本の鶏料理を代表する存在と言って良いと思います。水たきばかりでなく、胸肉の低温調理などにも取り組んでいて、そちらも素材の味わいを堪能できるものでした。
ご馳走様でした。

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弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.568本目の投稿でした。

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お宝食材

「すきや連」でお世話になっている向笠千恵子先生の新著
『ニッポンお宝食材 風土がつくり、人が育てる郷土のお取り寄せ帖』
が出ました。
47都道府県のよく知られた名品から、隠れた絶品まで。「宝」というのは「本気で未来に残していきたい食材」という趣旨で、そういう食材が集められています。
元々はJR東海のPR誌『ひととき』の連載で2013年11月から5年にわたって生産者やその食材を使った料理店を取材したものです。
「すきや連」メンバーも近江牛、千住葱、下仁田コンニャクなど登場しています。
皆様、是非ご購読を。
刊行:小学館
ISBN:9784093887373

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弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.560本目の投稿でした。