遠隔攻撃
料理屋ですので、たまには音頭というものについて考えてみたいと思います、イヤ温度というものについて考えてみたいと思います。
物質の温度が高くなると、その物質中の粒子の運動は激しくなり、低いと粒子の運動は緩慢になります。
なります、と言っても勿論受け売りですけどね、私は見たことはないので。
さて粒子とは、分子、原子、電子のことです。
ですので、そうした粒子の動きを激しくすることが出来れば、その物質を熱くすることはできるわけです。
電子レンジは食品内部の物質にマイクロ波を照射し、粒子を振動させることで温度を上げます。
この方法は、「輻射」による熱の移動と呼ばれますが、その他にも、熱の移動のさせ方には、「伝導」と「対流」があります。
「伝導」は鍋とかフライパンによる加熱のことで、「対流」とは水や酒や海水が循環して温度が均一になることですが、まあ、釈迦に説法でしたね。
さてさて、色々書きましたが、ここからが本題です。
本題は、食べた時に「輻射」と「伝導」と「対流」で、味が違うのか?ということです。
調理の中で、「輻射」による調理が最も上手く行く、と言われているのは、日本酒の燗つけです。結構美味い!という人がいます。
酒は液状なので、すぐに対流も起きて温度が均一になりやすいですね。ですから、他の物質をレンジでチンした場合のように、表面の水分が蒸発して⇒パサついてしまう、という問題が起きません。
また、せいぜい60℃くらいまでしか温度を上げませんから、チンのやり過ぎで⇒分子が振動し過ぎて壊れてしまう、という問題もあまり起きません。
しかし、ですよ、私は味が違うと思うのです。湯煎の燗酒とチンの酒では。
特に、いったん湯煎の火を止めて、温度が下がって行く途中の湯を使って湯煎した酒は、かなり違います。酒が戦っていない印象で柔らかいのです。
土鍋を使いますと、実に保温が良いので、火を止めても長時間湯音が下がりません。その湯で燗をつけて飲みますと、ほとんど極楽です。
そして極楽であるばかりか、大量の電力を使用しない、という意味で今時です。お勧めしたいと思います。
ここで、話しは少し飛びますが、面白いネタを入手しました。
戦前、大日本帝国海軍・海軍技術研究所はマイクロ波を照射して敵を遠隔攻撃するための研究を行っていたそうです。
初の攻撃対象はサツマイモ。攻撃して焼き芋にすることに成功したそうです。
次いで5mの距離からウサギを攻撃して殺害することにも成功したそうです。ひええ、でしょう。
そして、その技術は戦後、マイクロ波でコーヒー豆を炒る機械の製作に活かされたそうです。実際、東京のコーヒー店に、その機械が納入されたのだとか。
それ、敵だ! 何が敵って酒じゃ。 攻撃開始!
追伸①
日本橋三越本店の催事「味と技の大江戸展」に出店しています。是非御来店下さい。
2月27日(水)から3月4日(月)まで。7階催事場にて。
イートインではなく精肉販売の出店です。
くわしくは⇒http://www.mitsukoshi.co.jp/store/1010/event10.html
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は336人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて、3年間連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。