日本は世界一の鰻大国だ!
と、鰻業界人のみならず、日本国民の大多数がそう考えていると思います。私もそう思ってきました。
しかし、こと資源保護に関しては、イタリア北部のコマッキオ市や地中海沿岸の各国に、日本は相当の遅れをとってしまっている、そう「田舎庵」の若旦那から聞かされました。
アドリア海沿いにあるコマッキオ市は「世界一ウナギを食べる町」と言われます。しかも天然ウナギ。
食べ方はトマトソース煮やグリル(和風に言えば「白焼き」ですが、開き方は違います)など色々あり、オイル漬けの缶詰や酢漬けの瓶詰も生産しています。
毎年10月には盛大な「うなぎ祭り」も開催され、世界中から大勢の人がウナギを食べにやって来るとか。ちなみにイタリア政府観光庁が日本語でも、この祭りのPRをしています。
で、コマッキオが本当に素晴らしいのは、ウナギの生産量・消費量の多さではなく、その資源保護や環境保全への取り組みです。
コマッキオは有明海のような遠浅の海で、ウナギはそこで小海老などを食べて暮らしているのですが、その入り江全体が市の管理下にあるのです。
伝統漁法でウナギを獲る漁師は市役所の職員。だから乱獲はありません。密漁者が侵入することもあるそうですが、取締船も市が持っているそうです。
地中海のウナギはニホンウナギより先に「絶滅危惧種」指定されたので、もういなくなったと思っている日本人が多いかと思いますが、コマッキオ市や沿岸各国の努力により勢いを盛り返しているのだそうです。
対する日本では、天然ウナギだけで「うなぎ祭り」など到底不可能です。シラスの密漁もやみません。
天然ウナギを護るために、「養殖を食べよう!」と言う人もいるようですが、そうすると伝統漁法が滅びてしまいます。
生態系を護り、伝統漁法を護り、食文化を護らんとしているイタリアに、日本は数段遅れているのが実態と申せましょう。
そう言えば日本では、ウナギの養殖が盛んな鹿児島県志布志市役所が、ウナギを黒いスクール水着姿の少女に擬人化した、エロい動画を制作して、「性差別だ!」と批判されるという呆れた一件もありました。意識の違いに呆然となります。残念なことです。
最後に「田舎庵」さんのことですが、北九州市小倉北区鍛冶町の老舗うなぎ屋さんです。
今週開催されているデパートの催事『dancyuフェスティバル』(玉川髙島屋6階催し会場)で、「ちんや」と御一緒させていただいているのですが、その若旦那がコマッキオの「うなぎ祭り」に招待されて、日本式の蒲焼を提供して来たのだそうです。
素晴らしいことですね。その様子はテレビ局に取材されて、やがて放送されるそうですから、弊ブログでもご紹介しようと思います。
追伸①
デパートの催事に出店し、精肉の販売を致します。
『dancyuフェスティバル』
玉川髙島屋 6階催し会場
10月26日(水)~31日(月)までの6日間
どうぞ、お立ち寄り下さいませ!
http://www.takashimaya.co.jp/base/tamagawa/top/img/info_monthly_1610.pdf
追伸②
CSフジテレビONEの
『寺門ジモンの肉専門チャンネル』に出演させていただきます。
芸能界一肉に詳しい男」寺門ジモンさんが送る肉料理に特化した待望の肉専門番組が、これです。出られて光栄です。
放送は、11/04(金) 11:30~12:00 です。
追伸③
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.437連続更新を達成しました。