日本食肉加工情報
日本の食肉加工の黎明期に「ちんや」がお役にたったと聞き、嬉しくなりました。
「ハム・ソーセージで町興し」を推進している千葉県横芝光町商工会の方が知らせてくれたのですが、「日本食肉加工情報第254号」に「ちんや」が登場するのだそうです。
「日本食肉加工情報」は、その名の通り、食肉加工の新技術などを紹介する雑誌でして、大正時代に農林省畜産試験場の技師だった中原重樹が、そこに駆け出し時代の思い出を寄稿しているのですが、その一場面として「ちんや」が登場します。
中原が大学時代に学んだのは畜産は畜産でも羊毛。ところが畜産試験場に赴任して担当することになったのが食肉加工。困った中原が肉の取り扱いを学ぶべく、「当たってくだけろ」の勢いで直談判したのが、「ちんや」だったという次第です。
畜産試験場は、その後1980年に筑波学園都市に移転、2001年に草地試験場と合併して、今は「畜産・草地研究所」と言っていますが、発足当時の大正時代は千葉市に在りました。千葉から浅草ならさほど遠くありません。
で、中原は勤務の後、夜の8時頃に京成電車で浅草へ通ってきました。記事を引用しますと、
「すき焼き屋は大抵夜8時ごろでお客向けの板間の仕事は終わって、あとは翌日用の肉を枝肉から卸して適当な肉塊として筋や膜を除く作業(中略)その夜の仕事を手伝うのが私の目当てであった。」
「こうして私は夜、約一か月、誰にも語らず密かに浅草へ通い続け、夜半に疲れて帰宅した。」
・・・といいますからド根性に感心せざるを得ません。
そして「ちんや」の側にも感心するところが。
「これはアルバイトではない。逆に先方に月謝を払うべきだったが、それは受け取っては呉れなかった」といいますから、粋ではないですか。
その後、中原は食肉加工の分野で、国内最高の技術を有する人と言われるように成り、「日本食肉研究会」の初代会長も務めたたとか。
我が先祖ながら、G.J.と言ってやりたいです。
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978-4-7949-6920-0 C0095
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株式会社晶文社 刊行
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