秘訣

老舗の取材をしたいと色々な方が見えます。
139年店が続いた「秘訣」を言え、と。
そんなこと分かれば誰も苦労はしないと思うのですが、お答えしますと、
・割り下の味を守ること
は当然大事です。
関西の出汁文化に対して、関東はタレ文化と言われますが、そこがポイントであることは当然です。
が、それだけでは足りないと思います。
・その割り下の味を多くのお客様の舌が認知していること
が極めて重要です。ここは技術というより、マーケティングの話しになるのかもしれませんが、多くのお客様が、「ちんや」の味を覚えていて下さることが極めて重要です。
浅草は20世紀に、関東大震災、太平洋戦争、1970年代の衰退と3回の危機を経験しましたが、どの場合でも復興できたのは、店を支持してくれるお客様がいて下さったからだと思います。
さらに申せば、その「お客様」とは、一世代の特定の方ではありません。
お爺さま、お婆さま、お父様、お母さま、お孫さん
と家族ぐるみで複数世代にわたって、「ちんや」の味を認知して下さっている方がおいいで、全体を「お客様」と言っています。
だから、お爺さま・お婆さまが、もし亡くなっても、次の世代の方が、お正月・お彼岸などの機会に見えて下さるのです。
よく質問をいただくのは、
世間の味覚の変化に合わせて、「ちんや」さんも味を変えますか?
という質問です。
世代を超えて味を認知してくれているお客様がいないのであれば、味を変える手もあるかもしれません。
しかし、世代交代しても同じ味を支持して下さる方がおいでなのであれば、味を変えるということは、その方々のご期待を裏切ることになります。その方々に対して、来ないでいいよ、と言うも同然ですね。
世間の味覚の変化に合わせて、味を変えますか?
という質問は、その店に世代を超えた支持者がいないことを前提にした質問で、質問者の理解の浅さが、それですぐ分かるのですが、まあ、そこは面と向かっては言わないことにして、ブログに書くようにしています。悪しからず。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

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御会食場

とらんぷさんが来日されました。
令和最初の国賓だとかで、宮中晩餐会も開催されたそうです。
では令和から四代さかのぼる明治最初の宮中晩餐会は、どういう様子だったのでしょう?
それを研究した本が、
『天皇のダイニングホール 知られざる明治天皇の宮廷外交』です。
この御本は、山﨑鯛介さんなど何人かの学者のさんの共著。日本で宮中晩餐会というものが成立した頃、明治天皇と昭憲皇太后が、どのように外国からの賓客や国内の要人をもてなしたかを、「建築」「テーブルアート」「人物」という三方面から描いた御本です。
実はこの御本には、『くらべる値段』で「ちんや」を採り上げて下さった、おかべ・たかしさんが「編集協力」で製作に参加されていたので、拝読したのでした。
おかべさんは明治天皇の生涯を描いた絵画を展示している「聖徳記念絵画館」のオフィシャルガイド本を編集した経験がおありで、当時の図版に精通しておいでで、そうした図版がこの御本にふんだんに使われているので、この御本は、学者さんの本ではあるのですが、カラフルで読み易い御本でした。
さて、この御本に詳しく書かれている通り、明治最初の宮中晩餐会の主な会場は「赤坂仮御所御会食場」でした。
「御会食場」は宮廷外交の場として使われた後、大日本帝国憲法を制定する会議の場所として使われ、その為「憲法記念館」と呼ばれていた時期もありましたが、昭和22年からは明治神宮の結婚式場として使われるようになりました。
それが「明治記念館」です。
その「明治記念館」さんで、先日「国際観光日本レストラン協会」の関東支部総会が開催されたので、私は久しぶりに訪問しました。
オーソドドックスなお料理で、安心して食べられるのは良いですね。ご馳走様でした。

追伸
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七回忌

お若い時は毎月のように、ご夫婦で見えていた常連さん、
奥様が亡くなられて、もう、七回忌だと言う。
ご法事のご予約ありがとうございます。
遺影という形であっても、奥様がまた見えて下さるのは嬉しいことです。

追伸
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古美術

「ちんや」の開化絵を取材したい、という御依頼がありました。古美術の番組を創るんだとか。
古美術は身近なもので、趣味として気軽に始められる
というテーマだそうで、結構と思います。
「ちんや」の開化絵は趣味というより、店の実用なので、そこは少し違うのですが、博物館・美術館の美術より身近であることは間違いないです。
私が明治時代の開化絵を集めだしたのは、20年ほど前のこと。それ以前は客室に日本画をかけていました。祖父が集めたものでした。
生前はそれなりに知られた画家さんの絵もあるのですが、時間が経過し、後の時代になっても有名であり続ける画家さんとなると、ごく少数です。時代を超えて有名なのは、大観とか玉堂くらいでしょう。
そうでもない絵は、知識のないお客様から見ると、
ただの富士山の絵、
ただの鶴の絵、
ただの鯉の絵、
にしか見えず、面白がっていただけなくなりました。
で、明治の開化絵に転換しました。
中には、渋沢栄一が設立した第一国立銀行の絵もあります。お札が出回れば話題にできますから、在り難いことだと思っています。
「ちんや」の開化絵はネットでも見られますから、こちらからどうぞ。

追伸
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横並び

世の中には、
止めたくて仕方ないのに、何故だか、どうしても止められない、
ということが多々あると思います。
コンビニの食品ロスもそうだったようです。
が、最近、急転直下、業界横ならびでロス削減に向かうことになりました。食品ロス削減法が成立したのがキッカケですが、その際に報じられていた、ある社長さんのインタビューには驚かされました。
その社長さんは、大手3社の一角ですが、今後、
「うなぎや恵方巻といった季節商品を完全予約制にする」
と答えています。うなぎも恵方巻も、コンビニによる食品ロスのシンボルですね。
これに続けて、予約制にした場合、驚いたことに、
「加盟店の売上が3割程度減る恐れがある。それでも売れ残りの廃棄が減るので、利益は4割程度増えるとみている」
り、利益が4割増えるですって?!!
それを今まで止めなかったのが不思議ですし、複雑な想いを抱えながらうなぎの廃棄作業や恵方巻の廃棄作業に従事した人達の心情を想うと
なぜ
の二文字しか浮かびません。
世の中には、
止めたくて仕方ないのに、何故だか、どうしても止められない、
でも、ある日スッと止められることが多々あるようです。

追伸
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ウチの肉

定期的に肉の試食会をしています。
店のスタッフは勿論、肉の問屋さんにも加わってもらいます。
その際にやるべきことは「食べ比べ」。
「ちんや」のスタッフは「ちんや」の肉に慣れてしまっているので、それだけ食べると、
うん、うまいね、これがウチの肉だね。
だけで終わったしまいがちです。
そこで、おそらくマズいと期待される(?)肉をスーパーなどで購入してきて、比べます。
今月の試食に登場したのは、100g=950円ほどで売られていた、すき焼き用の肉でした。部位はリブロース。30か月飼ったメス牛の肉で、熟成期間は2週間弱。
「ちんや」の基準からすると、熟成期間が短いですが、まずまず乾いています。
さらに凝視しますると、
脂が、なんか、硬いですねえ。
メスで30か月飼ったはずですが、脂が身割れしそうですらあります。ケンネ脂みたいなマテリアルです。リブロースの肉の間の脂なんですけど。
さて割り下で煮て、
肉が縮んでしまいました。
加熱して縮む理由はカンタンです。薄~くスライスしているからです。スーパーさんは利益追求がキビシいですからね。
ここで問題なのは、スライスの薄さはパックの上から見て良く分からないことが多いことです。今回もリブロースを折り畳んで、パックに入れてあったので、ビニールを外すまで薄さがわかりませんでした。巧妙と言うか、消費者を惑わす手口と思います。
肉が薄いわけですから、当然旨みも薄口になります。熟成が短いですから、さらに旨みが薄口です。
脂が硬いことで即大ダメージはなかったようですが、旨い肉に特有の「脂の甘味」は確認できませんでした。
総じて、期待したほどマズくはなかった(笑)ですが、まあ、普通。「美味しい!」という感激はないです。普通。宴会料理の一部としてこれが出て来るなら、まあ、まあですが、この肉を目指してわざわざ食べには行かないでしょう。
その後で、「ちんや」の肉を食して一同、安心。
うん、ウチの肉だね。
関係者の皆さんのおかげで、今週も、まずまずの肉が仕入れられました。誠にありがとうございます。

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Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

修学旅行

若者よ、
修学旅行で浅草に来たのかね。それは嬉しい。
楽しそうなのは、さらに嬉しい。
でもね、
路上で歩き喰いは止めてくれたまえ。
(まあ、学生さんより売る方が悪いのだが)

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生姜パウダー

おばんざい・カフェバルの「ベジミカサ」に行ってきました。このお店の親会社「三笠産業㈱」さんが手がけている野菜パウダーに興味があるからです。
お店では勿論、その野菜パウダーが売られていたので、購入してきました。順次すき焼きの卵に入れて試して行きます。
さて最初に試しましたのは、
生姜パウダー。
私が「ベジミカサ」さんに行った日にはサラダのドレッシングに入れてありました。
開封しまして、
お、香りが結構来ますね。まさに生姜。乾燥・粉砕しても香りは健在です。
しかしながら、卵に溶くと香りはあまり感じなくなりますね。
そして肉を溶いて食べた時のインパクトも意外と、小。それだけ肉の卵の、食べ物としてのインパクトが強いのでしょう。
匙でパウダーを足して行って、結構入れて、うん、うまい。
吉野家さん風の牛丼には生姜が入りますからね。当然と言えば当然です。これは合格。
しかしパウダーが「ダマ」になって、上手く溶けないのは課題ですね。取り組んでまいります。

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Filed under: すき焼きフル・トーク,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 11:10 AM  Comments (0)

野菜パウダー

おばんざい・カフェバルの「ベジミカサ」に行ってきました。
申し訳ないことに、おばんざいにもカフェにも、あまり関心がないのですが、行ってきました。場所は目黒川ぞいで桜の季節なら人ごみが大変なのでしょうが、今はもう初夏。季節は最高ですが、季節を楽しみに来たわけではないです。
おばんざいにもカフェにも、季節にもあまり関心がないのに行ってきましたのは、このお店の親会社「三笠産業㈱」さんが手がけている野菜パウダーに興味があるからです。
「三笠産業」さんは、創業者の方が昭和の戦争後に日本の食糧事情の厳しさを痛感し、農業資材・薬品を売るために興した会社さんです。微粉砕技術を応用して野菜パウダーを造り始めたのは今世紀に入ってからのようです。
その野菜パウダーに何故私が興味を持ったかた、もちろんすき焼きの溶き卵に入れるためです。
これまでも私は卵にカレー粉を入れて「変わり卵」を造ったりしてきました。また浅草のどぜう屋さんに行けば、山椒をかけるのは普通です。そう、よって、パウダーを試さない手はないです。
で、「ベジミカサ」さんです。
ランチはビュッフェスタイルのおばんざいで、複数のおばんざいをお好きなだけ選べます。
そのおばんざいには、勿論パウダーが使われていて、
サラダにかけるドレッシングは、生姜パウダー入り。
ラザニアは、ホウレン草パウダー入り。
という具合です。
こうした料理をご家庭でつくる場合に、パウダーは時短・手抜きの手法として便利そうです。
物販コーナーもあって色々のパウダーを売っていたので購入し、鋭意すき焼きで実験したいと思います。請う御期待。

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災害報道

箱根の噴火警戒レベルが「1」から「2」に上がったそうです。
屋久島では「50年に一度」の豪雨が降ったそうです。
で、私はそうした事を伝える「災害報道」にイラっとしています。
ここで災害に「」を付けたのは、地元に住んでいた方が亡くなったわけではないからです。
屋久島では縄文杉を目指して山に入っていた方々300人以上が孤立して、バスの中で一夜を明かしたそうで、もちろんお気の毒と存じますが、家にいた大勢の方が亡くなった昨年の西日本豪雨とは意味合いが違うと思います。この災害は「観光災害」つまり、好き好んで安全ではない土地に入って行った方々と、その世話をしていた観光業者の話しだということです。
こういう場合、メデイアはそれぞれの土地の観光業者を追いかけて、インタビューを取ろうとします。観光客を不安がらせてしまったわけですから、どちらの土地でも業者さんは、先行き不安を口にします。その哀れな様子を電波に載せて喜ぶのがメデイアという人種です。イヤですね。
そもそも登山って、観光よりスポーツに近いものではないでしょうか?初期の登山は勿論スポーツでした。
ついでに申せば、マリオ・カートで浅草を疾走している外国人がいますが、あれも危なくて仕方ないです。だって、公道を、遊園地にあるようなカートで走っているんですから。人体が「むきだし」なんです。
話しを戻しますが、いくら観光客を誘致したいからって、安全を大前提にするのは、いささか無理があると私は思います。
現地の業界では保険を研究している・・・とか報じるなら生産的ですが、ただ哀れな姿を流すだけでは、なんだかなあと存じます。

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