長寿国
「東都のれん会」主催の講演会で黒川由紀子先生のお話しを伺いました。
黒川先生は、臨床心理学者で上智大学教授。慶成会老年学研究所所長。長年に渡り、老人を専門に研究なさってきて、お年寄りの「豊かな最晩年」を実現することをめざしておられます。
思いまするに、日本は世界一の「長寿国」と言われますが、長生きが「寿」という感じは全然しません。「介護疲れ」という言葉に代表されるように、ネガテイブなイメージを持つ人が多数でしょう。
介護・医療の場で、人生経験や個性を尊重されず、「単なる老人」として扱われた結果、心が荒んでしまうお年寄りも多いと聞きます。
しかし、お年寄りの心を理解するための訓練を受けた専門家が、お年寄りに丁寧に寄り添いながらケアをしていけば、つまり、嫌なことを強いられない・大切にされている・必要とされていると感じられる毎日をお年寄りに提供すれば、症状の重い方でも、「惨めな長生きよりも、豊かな一日」を実現できると言います。
そして、それだけでなく、多くのお年寄りと接して得た知見は、今後のビジネスの役にも立つと言います。
例えば、お年寄りの悩みとして、俺俺詐欺の電話がかかってくることがありますが、指定された声の人間しか通話できない電話が開発されれば、被害に遭うことはなくなるわけで、実際に、黒川先生と提携して製品を開発したいという企業は少なくないとか。
寿命が世界一の日本は、この分野で世界をリードできるに違いないということでした。そうなれば日本はようやく「長寿国」と呼んで良いのかもしれません。
投資家の皆さん、日本橋や渋谷のビルに投資してる場合じゃないと思いますよ。そんな投資はバブルを産むだけ。
ビルではなく長寿に投資する人はいませんかねえ。
おっと、そう言えば、今日はトチジ選でしたっけね。
政治家の皆さんも、この件、とくとお考え下さいまし。
追伸
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
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