なぜテレビに登場する訪日外国人は、欧米人ばかりなのか
北海道大学大学院准教授で観光社会学を専攻されている岡本亮輔さんという方が書かれた、
「なぜテレビに登場する訪日外国人は、欧米人ばかりなのか~「気持ちのいい物語」づくりに走る、メディアへの違和感」
という文章を面白く読みました。
訪日外国人旅行客の行動パターンを解析した結果、
「やって来る人たちは移動の楽さと撮れる写真の面白さで目的地を選ぶ。日本の文化や社会にとりわけ強い関心があるわけではないし、お金や時間にもっと余裕があれば、本当はヨーロッパに行きたかったのかもしれない。」
「実際には「安・近・短」という理由で日本が選ばれているのだが、何か日本の文化や社会そのものに外国人が興味を抱いているという「都合の良い誤解」がないだろうか。そうだとしたら、ゲストにとっては鬱陶しい状況であるし、政府のお題目の国際理解や異文化理解とは真逆の傾向だ。」
つまり、テレビ番組『YOUは何しに日本へ?』に登場する、
第113回 宮本武蔵を敬愛するメキシコ人
第114回 ラジコン大会に参加するフランス人親子
ような人たちが2.000万人入国して来ているのではなく、大多数は
「安・近・短という理由で日本が選ばれている」のであって、
日本国内での目的地の選び方も、
「移動の楽さと撮れる写真の面白さ」で決めているというのです。
例えば、日本人にとっては聖地である伊勢神宮は、写真に撮っても見栄えがしないので、外国人には人気が今市なのだとか。
テレビに出てくるような人が多数いたら、それは日本人としては嬉しいかもしれないが、現実は違うと、岡本先生は言うのです。
たしかに、私もそう思ってきました。
この文章には胸がすく感じすらしました。
実際街を歩いてみますと、自店が提供している料理や食べ物について深く探求した形跡のないお店さんに長蛇の行列が出来ているのを見かけませんか?
いったい誰が並んでいるのかと観察すると、外国人。
実に不思議ですが、「移動の楽さと撮れる写真の面白さ」で決めていると思えば、合点がいきます。
この調子では「観光立国」が「軽薄立国」になりかねないと、私はかなり心配です。
それにつけても、
「なぜテレビに登場する訪日外国人は、欧米人ばかりなのか」っていうタイトル、
浅草在住の某氏の某著書のタイトルに、似てませんか・ね?
追伸、
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
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978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
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