ATP検査
「ATPふき取り検査」というのが導入されたようです。技術は進歩するもんです。
弊店は定期的に保健所さんの御指導をいただいていますが、今秋の御指導の時に、担当の方が持って見えたのが「ATP測定器」でした。
「ATP」とは、高校の生物で習わされた、あの「生体のエネルギー通貨」ことアデノシン三リン酸(Adenosine triphoshate)のことです。リン酸 1分子が離れたり結合したりすることで、エネルギーの放出・貯蔵の役目を果たしているとかいう、あれのことです。この辺りから理系がキラいになった方も多いのではないでしょうか。
さてエネルギーの件は分からないままでも結構なので、先へ行きますが、その「ATP」は、微生物でも人間でも牛でも魚でも、生物であれば持っているものです。なにしろ「生体のエネルギー通貨」ですから、どんな生物でも持っています。ここがポイントです。
で、「ATP測定器」は、その性質を利用して、汚れを測定するのです。
食材が器にこびり付いていた場合、食材はそもそも生物が変質したものですから、ATPも必ず残っていて、それを測れば器の汚れ具合が分かる、とか。
それでは、どのように測るかですが、ルシフェラーゼ (luciferase) とかいう発光酵素を使います。発光酵素とは、蛍や発光バクテリアを光らせている物質のことで、これと「ATP」が在ると光を放つことから、汚れにルシフェラーゼを加えて、その光り具合を測れば、「ATP」がどの位たくさん在るか分かるという次第です。はい、インタレステイングでしたねえ。
「ATP測定器」のスゴいところは、すぐ測定できることです。
今までの汚れの検査法は、器のふきとりを行ってから、それを研究所に持ち帰り→細菌数を出す、というものでしたが、結果がしばらく出ません。
ところが、「ATP測定器」は、2~3分で結果が出るので、汚い店には、すぐに、
汚いぞ!!
と指導することができます。桑原、桑原。
もっとも、「ATP」が在る→即食中毒だ!というわけではありません。食中毒菌が汚れに付いて繁殖して、それを生で食べて初めて食中毒です。
ですから、食中毒のリスクを、直接ではなく間接的に測っていると申せましょう。
え? ウチの結果ですか?
これまで菌数の問題を指摘されたことは、ほとんどありませんでしたが、「ATP」は少し残っていました。
完璧に綺麗なつもりでしたが、弊店はすき焼き屋で脂が多いことから、器の細かい傷などに見えない脂が残っていたようです。
気をつけたいと思います。
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株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.436連続更新を達成しました。
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