御礼合戦
「ふるさと納税」が常軌を逸してきましたね。
教育熱心な土地だとか、先端産業を誘致してるとか、あるいは天災に遭ってしまったとか、そういう自治体にカネが行くなら、「ふるさと納税」は地域のためになっていると言えるのでしょうけど、今行われていることは、税控除を受けながら買える「オトクな通販」以外の何物でもありません。実に良くありません。
松阪牛が買いたければ普通に買えば良いのに、税控除を受けながら買うなんて無粋でアンフェアです。テレビに、
「ふるさと納税」でこんなにたくさん買いました!
控除もたくさん受けてホクホクです!
・・・なんて言う人物が登場すると、私は吐き気を催してきますが、そういう人生観が違う方の話しは、今日は止めておきます。
私が今日申し上げたいのは、「御礼合戦」は最終的には産地のためにならない、産地の評判を落とす可能性すらある、ということです。
考えてみて下さい。〇〇という産地の牛は全部美味しいですか?
だいたい、牛肉がおいしいかは、生産者の育て方と、その背後にある「お考え」で決まります。
産地の役所の人は「おいしい空気」をPRしたがりますが、牛の味には大して影響しません。三重県松阪市の空気が最高に美味しいですか?そんなことはないですよね。
産地の協会や協議会のコントロールが効いていて、そこから来た牛なら、かなりの確率で美味しいと私が思う産地も無いことは無いですが、私の知る範囲では非常に少数です。
大多数の産地協会は、味に関するコントロールを出来ていません。だって、色んな「お考え」の方が協会に入っていますから、民主的に運営すればコントロールは無理です。
そういう次第で、「ふるさと納税」で牛肉を買えば、色んな「お考え」で育てられた、色んな肉を買うことになります。その産地なら全部美味しいと思いますか?
実際問題、牛が美味しくない生産者の方が、どうも、「声が大きい」ように見えます。
地道に美味しい牛を育てている人は、従来から売り先を確保できているので、あんまり自己PRしないんです。PRしたがるのは、そうでない派。
「ふるさと納税」で牛肉を買えば、そういう派の牛を買うことになりがちです。
魚の場合、海流・潮流の影響を強く受けますから、産地が味と結びつくこともあろうかと思います。
しかし牛の場合、結局薬局、「御礼合戦」は産地のためにならない・産地の評判を落とす可能性すらある、と私は思うんですよね。
考えなおしませんか、この制度。
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