農人形
JA東びわこさんは「近江米のおいしさを知ってもらう目的で」おにぎり早食い競争を開催したそうです。
しかし事故が起こり、その件の取材に対して、
「お茶を用意するなど安全に気をつけたが、事故が起こり残念。今後このようなことがないようにしたい」と答えたそうです。
が、ここで「事故」とは死亡事故です。京都新聞によれば、
「彦根総合地方卸売市場で開いた農産物PRイベント「ふれあいフェスティバル」で「おにぎりの早食い競争」に参加した滋賀県甲良町の男性(28)がおにぎりを喉に詰まらせて救急搬送され、3日後に死亡」
「おにぎり5個を用意し、3分以内に食べられる量を競うルールで、男性は5個目を口に入れ終わった後に倒れ、たまたま居合わせた医師や看護師が救護して救急搬送され、16日に亡くなったという。」
コメントが「今後このようなことがないように」ではなく「今後二度と早食い競争はやらない」なら理解できるのですが、今後も早食いをやるのでしょうかね、JAさん。食べ物を粗末にする発想に暗澹とした気持ちになります。
たまたまですが、先日私は早食いと対極のものを鑑賞する機会を得ました。
幕末の水戸藩主・徳川斉昭公が所持していた「農人形」です。
「徳川ミュージアム」に収蔵されているものですが、高さ5センチほどの小さな農夫の像で、笠を広げています。
光圀公(テレビで有名な黄門様)の教えにより、水戸徳川家では代々「農」を尊んできましたが、斉昭公も朝夕の食事には膳の隅にこの人形を置き、笠の上に初めの一粒を供えて、農作業の労苦をしのんだと申します。
その際によんだ歌が、これ↓
「朝な夕な飯くふごとに忘れじなめぐまぬ民にめぐまるる身は」
この歌をJA東びわこさんに捧げます。
追伸①
追伸②
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.467連続更新を達成しました。