不当な圧力
これはブランドというものを考えさせられる事件だと思います。
「ブランド」と申しましても、グッチやフェラガモのことではありません。
日本の地域名に食材名を付けた「ブランド」のことです。ブランドという言葉を狭く考えれば外れますが、この国ではこれも「ブランド」と言われています。
さて、事件となったのは大分県の「味一ねぎ」。
報道によりますと、
「大分県農業協同組合(JAおおいた)が、特産のブランド小ネギ「味一ねぎ」を生産する組合員に対し、全量を農協に出荷するよう強制した疑いがあるとして、公正取引委員会は独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで同農協に立ち入り検査に入った。」
「味一ねぎはJAおおいたが商標登録している。ホームページによると、2008年に県北部3市で生産される小ネギの銘柄を統一し、生産部会を設立。09年に集出荷施設を完成させ、皮むきや袋詰め作業などを一本化した。近年は年間1400トン前後を東京や大阪などにも出荷している。」
「関係者によると、同農協は他業者に出荷しようとする組合員に差別的な取り扱いをした疑いが持たれているという。」
「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)発効を前に、公取委は農協への監視を強めており、農協との取引で不当な圧力を受けた農家からの通報を受け付ける情報提供窓口を4月に設置。取り締まりの専門チームを作って対応している。」
・・・なのだとか。
ブランドを造る際には、規格外のものを排除する力つまり統制力が必要ですが、それを農協が持つ、というところが、根本的に難しいところです。
一般論ですが、個々の生産者はブランドの知名度の恩恵だけは享受して、しかし取引の仕方の面では、自由を望むでしょう。他の地域の他の食材では、指定地域外で生産過程のほとんどを行って、最終過程だけを地域内で行うという、つわものの生産者もいます。
そこを統制しないとブランドに成りませんが、それを「不当な圧力」と見做されるのであれば、今後こういう「ブランド」は維持できないと私は思います。
そして、そうなっても仕方ないのではないか?と私は思います。
ブランドは、そもそも単一法人だけが作れるものであって、地域を主体にしては作れないのではないか、私は最近そう思います。
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