『続すき焼き ものがたり』

 向笠(ムカサ)千恵子先生が突然店に見えました。「電話もしないで急に来てゴメンナサイ、浅草に用事があったもんだから、住吉さんが私の、すき焼きの新連載を読んで下さったかしらと思って・・・」 そりゃ、先生、読みましたよ。読んだどころか、今このブログにそのことを書こうと思っていたところです・・・

 実は、向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』が、月刊「百味」誌上にて、5月号より始まり、その第一回が先日届きました。「続」というからには、その前に最初の『すき焼き ものがたり』がありまして、それは平成18年3月から20年4月まで、やはり月刊「百味」誌上に連載されました。

 その当時、平成17年のことですが、すき焼きについてまとまった本がないことを残念に思っていた私が、どなたか高名な方が、すき焼きのことを書いて下さらないかなあ、と思っていたところ、それを聞いて書いて下さったのが向笠先生でした。それが最初の連載です。

  この連載はその後、加筆・修整されて、平凡社新書『すき焼き通』としてまとめられました。そして、平成20年10月15日のことですが、この御本の、出版のお祝いの会を私の店「ちんや」で開いたことが、すき焼き屋とすき焼き愛好家のグループ「すきや連」の発足へとつながっていきます。

 このお祝いの会の時、初めて全国からすき焼き屋さんが集結し、せっかく面識が出来たのだから、1回コッキリで終わらせるのはモッタイない。「すき焼きを味わいながら、日本の食文化を語り合う会をつくりたい」との話しが期せずして盛り上がり、「すきや連」が発足しました。

  その後「すきや連」は順調以上の活動ぶりで、例会を、21年2月に新橋「今朝」さんで、7月に「浅草今半」さんで、10月に湯島「江知勝」さんで、22年3月には横浜の「太田なわのれん」さんで、という具合に続けて開催してきました。毎回50人くらいの方が参加され、定員オーバーでキャンセル待ちが出るくらいの勢いでした。

 また、例会以外にも、21年9月には、「日本記念日協会」に申請して、毎年10月15日を、『すき焼き通の日』として正式に認定してもらいました。また、すき焼き業界の長老を集めて対談してもらい、その対談を月刊「dancyu」22年1月号(プレジデント社発行)に掲載していただきました。「すき焼き劇場」という題の特集記事で、この対談には、私の父(=ちんや会長)も参加させていただきました。また、すき焼きを題にした句会もしました。

 以上が、向笠先生と、「すきや連」と、私の、五年間の「すき焼き物語」です。あっ、と言う間に過ぎたような気がします。

  そんな活動を続けている内、21年の秋頃だったと思いますが、向笠先生が、『すき焼き ものがたり』の続篇を書き、連載したいと言い出されました。この時は、最初の時より嬉しかったような気がします。以前にも増して、さらにすき焼きに興味を持ち、すき焼きのことを書いて下さる、というのは有り難いことです。

  世は不景気ですが、この連載が始まれば、すき焼き業界にも少しは良いこともあるでしょう。調子が良くなってくれば深甚です。

  いいぞ、すき焼き!

  立ち上がれ、すき焼き!

  おっと、「立ち上がれ、すき焼き」じゃあ、どっかの新党と同じだなあ。そんな党名じゃあ、3議席くらいしか獲れないぞ。何か他のを考えなきゃ。

 「うまいもの実現党」とか「開化倶楽部」とか、どうだろう?

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*平凡社新書『すき焼き通』については、こちらです。

*新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、株式会社ビジネス・フォーラムへお問いあわせ下さい。(電話:03-3288-9180)