友三角、上三筋
私が日頃お世話になっている、「浅草うまいもの会」のK子会長(=鰻「川松」社長)から、質問メールが来ました。
「ある焼肉店に行ったら、「座布団」とか「友三角」「上三筋」など部位がメニューに書いてあるんです。店の人から、モノ凄く貴重な部位と聞かされたんですが、どういう部位なんですか?」という御質問でした。
「友三角(トモサンカク)」「上三筋(ウワミスジ)」・・・ですか。
肉の業界で、一般に表示することを求められているのは、「もも」とか「かた」とか「リブロース」とか、そういう大分類でして、表示方法が決まっています。しかし、最近、さらに細かい、小分類の部位名を消費者に表示することによって、それがとても旨い部位であるかのように思わせる手法が、一部で流行っているようです。小分類の部位名が消費者になじみがないのを利用しているわけです。
もちろん、細かく表示して悪いわけではありませんし、「友三角」「上三筋」というのは、マズい部位ではありませんが、「友三角」は「もも」の一部、「上三筋」は「かた」の一部でして、たしかに焼肉向きの部位ではあるものの、「格別上等」の部位というわけではありません。
モノ凄く貴重な部位、というのは、チョッと言い過ぎでしょう。言葉のパフォーマンスのような気がします。
「座布団」「徳利」なども、やはり部位やパーツを示す隠語ですね。これも「格別上等」と言うのは、少し大げさと思います。
「友三角」(「もも」の一部)
「上三筋」(「かた」の一部)
と表示するのが、最も正確かつ正直と思いますが、そうはやらなそうですよね。
一般の方が、肉のことを体系的に学習する機会などはほとんどありませんから、こういう手法を考えつく業者がいるのだと思います。
「大人の食育」もしないとなあ、と思う今日この頃です。
特に、焼肉店などに行く機会の多いのは、男性ですから、「男が肉を学ぶ会」なんていうのを、やらないといかんのかなあ、と思ったりしています。
あ、しまった、K子大明神は女神様だったか!
「肉を学ぶ会」には、もちろん、御参加いただけるようにいたしますので、御許しを!
御気の短いのはいけませんよ。 乱暴なことは御考え直しを! ぎゃあああ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
*「浅草うまいもの会」については、こちらです。