奥州牛

 「ちんや」の「今週の特撰牛」が変わりまして、5/2から「奥州牛」(個体識別番号:08316-25274)をお出ししています。黒毛和種の牝牛で、19年9月生まれですから30ヶ月肥育、と畜は22年3月25日ですから、今が食べ頃です。生産者は、阿部長純牧場さんです。

  データが旨そうなのはわかったけど、そもそも「奥州牛」って何? という方もおいでと思います。疑問はごもっともです。

 そういう方には、たぶん、岩手県の胆沢の牛と言った方がわかりやすいのかもしれません。「平成の大合併」で、奥州市が出来たわけですが、胆沢もその中に入りました。そして水沢地区・衣川地区・金ケ崎地区とともに「奥州牛」という名前に統一して、平成18年に誕生したのが、このブランドです。

 安全な低農薬栽培による、自然にやさしい稲ワラを十分に牛に食べさせ、農家の熟練した飼育技術で、一頭一頭丹念に仕上げることを、セールスポイントにしています。

  ややこしいのは、奥州市の中でも、旧前沢地区は、以前から有名な「前沢牛」ブランドを引き続き使っていることです。つまり、奥州市の牛の内、「前沢牛」でない牛が「奥州牛」となるわけです。

  「大合併」で、さらなる「?」のケースも誕生しています。松阪市に隣接していて、松阪牛の産地に指定されていた町が、津市に編入されてしまったのです。この町は引き続き松阪牛を産出していますので、これにより、津市出身の松阪牛というのが存在するのです。

  行政は合併した方が、能率的かもしれませんが、食べ物は土地に根ざしたものです。野菜などは、100メートル歩いただけで作物の出来が違うという話しを聞きます。牛の場合は野菜ほどではないでしょうが、合併は、ほどほどにしてもらいたいところです。

  お客様との間で、「奥州ってどこですか」「それはですね、平成の大合併がありまして・・・」という応酬をするのも面倒ですし。

 はい、奥州の応酬ってことでゲス。お後がよろしいようで。 「ちんや」亭プチ彦でやんした。

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 9:16 AM  Comments (0)