究極の店選び

 今年の連休中は、ご法事のお客様が予約ナシで見えることがあり、チョッと慌ててしまいました。実は「ちんや」では、祝日には目出たいムードを出すため、箸を祝箸にし、箸置は日ノ丸模様の扇型の箸置を使い、コースターも赤いコースターを使っています。だから、ご法事のお客様の時は、普通の(=目出たくない)セッテイングに戻さないといけません。セット直しに少し時間がかかります。

 今年の連休は5連休で、4/30を休めば7連休ですから、まずこの間にご法事はなかろう、と思っていたのですが、そうではなかったようです。不景気で旅行には行かずに墓参りをなさったのか、事情はわかりませんが、読みが外れました。

  そう書いてあるのを読んで、「ちんや」は何か、法事客を獲得するための戦略をたてているに違いない、と思った方がおいでかもしれません。そういうことはありません。特別なことは何もしていません。

 それは、仏様が生前「ちんや」を好きだった⇒法事も「ちんや」で。という自然の流れでご来店いただくのが、ベストと思っているからです。

  もちろん、私も、法事需要を狙って、もう少し上手い集客作戦を練った方が良いのかな?と思ったりしたこともあります。最近、㈱IMCのI社長と進めている、販促作戦でも、実はこの、ご法事の件をチョッと議論しました。(3/15号参照)でも、やはりご法事については、それ専用の販促手法を展開するのでなくて、自然の流れがベストという議論になりましたし、加えて最近、よその店で、そのことを再確認させられる出来事がありました。

  少し前のことになりますが、友人のお父上のお通夜に出かけ、その後流れて、居酒屋で「お浄め」となりました。その時その店の女将さんが、最近、常連さんが亡くなって、その法事を、自分の店でやってもらって、とても感激した、と語って下さいました。こちらが、少し引いてしまう位の調子で熱く語って下さいました。

  やっぱり、そういう気持ちで、ご法事の仕事をお引き受けしないといけないですよね。仏様が生前「ちんや」を好きだった⇒だから法事も「ちんや」で。という自然の流れが最大の販売促進だと、この時あらためて思いました。

  ところで、自分が死んだ後の、法事の食事がどこの店で行われるか、気にしてみたことはありますか?

  私は、もちろん気にしてます。1軒だけを選ぶ、という意味で、法事の店選びは、究極の店選びですが、私の場合、世話になっている店が多すぎて、とても、1軒だけ選べません。

  7〜8回死ねると、好都合なんだけどなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。