本物に会えるまちー台東区新観光ビジョン

  私の地元・東京都台東区の「新観光ビジョン」が制定され、区の「新観光ビジョン策定委員会専門部会」の委員をしていた、私の許へも届けられました。100ページを越す厚みのある本で、その他に概要版も付いていて、立派です。さしたる貢献もできませんでしたが、本が届くと、ひと仕事させていただいた感慨があります。

  この「ビジョン」の中で、台東区の目標とする姿は、「本物に会えるまち」と表現されています。いわく、

 「本物とは、心が作りだすものである。(中略)台東区には、心がある。だから台東区には、本物がある。台東区は、本物に会えるまちである。」と書かれています。

 行政のつくるペーパーとしては、結構つっこんだモノ言いですが、私はこれで良いのでは、と思っています。専門部会の席上でも、「ほんもの」という、厳密に定義しがたい表現を使って大丈夫なの?というご意見がありましたが、私は「ほんもの」という表現を入れることに賛成いたしました。

  ネット上にはあまり詳しく書けませんが、食べ物の世界には、「贋物」と言って構わないものが横行しています。人々が、「ほんもの」を求めて旅に出る(=観光をする)という風になったら良いな、と思います。いや、このままで行けば、そういう風になるのが必然かもしれません。  

  その時、良心的な職人さんが今でも多数住む台東区は、きっと訪ねてみたい土地の候補の、上位に入ると思います。他の委員の皆さんに、そう申し上げたところ、おおむねご賛同いただけたようでした。

  ところで話しは逸れますが、専門部会の部会長だった、東京工業大学准教授のS先生と雑談をしている中で、奇縁が判明しました。S先生のお父上と、湯島のすき焼き屋「江知勝」さんの先代が、とても親しく、先代の生前は家族ぐるみのおつきあいをしていたので、先生自身何度も「江知勝」のすき焼きを召し上がった、というのです。

  「先代が亡くなってから、かれこれ8年くらいたちますけど、その後女将さんやご家族がお元気か、住吉さん、ご存じですかね?」と先生からお尋ねがあったので、

 ええ、まったくお元気でいらっしゃいますよ。しばらく会っておられないのなら、先生、是非今度一緒に、「江知勝」さんへ食べに行きましょう、ということになりました。

  そう言って、お別れした後、S先生との「江知勝」行きは、まだ実現していませんが、「ビジョン」発表を機に、是非先生をお誘いしないといけません。「ほんもの」を訪ねて「江知勝」へ!

  あ、そうか、「江知勝」さんは文京区だったか。 マズイぞ、それは。

 「ほんもの」に会えるかなあ?  

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*台東区の「新観光ビジョン」については、こちらです。

*「江知勝」さんついては、こちらです。