昔のトレサビ、「今朝」

 皆さん、おはようございます。さて、「今朝」っていう漢字は、何と読みますか?

 「けさ」と読まずに、即座に「いまあさ」と読んだ人は、ちょっとビョーキな、すき焼き通です。

  その「いまあさ」という屋号の、すき焼き屋さんのことが、向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』の最新号に載っていました。この連載は、月刊「百味」誌上にて、5月号より始まったもので、今回は7月号ですので、その第三回です。

 読むと、私も旧知の「今朝」のF会長・F社長のご先祖様が、店を創業した頃の様子が良くわかります。また、すき焼き屋の屋号に、なんで、よく「今」の字が付くかもわかります。

  くわしくは、「百味」をご購読いただきたいのですが、さわりだけ書きますと、

 その昔、牛の と畜場が、東京郊外の今里村にあり、「今」の字が付くということは、今里村から牛を仕入れている、優良店であることを示していたのです。

 逆に、今里村から仕入れていない場合は、正規の流通ルートでなく、怪しい肉である可能性があったわけです。畜産業がしっかり確立していなかった当事のことですので、すき焼き屋は、そういうPRの仕方をしたのだと考えられます。

 考えてみまするに、畜産の業界は、今でもトレサビに必死になっています。6/23にも、小島商店による、トレサビ法違反事件、つまり産地偽装事件がありました。

 明治13年からあまり進歩していないと思うと、かなりザンネンですね。

  「ちんや」は、トレサビをちゃんとやってますから、そのことをPRするために、この際、屋号をマイナー・チェンジして、

 「とれちんや」とか「ちんとれ屋」とかに変えますかね。

 でも、この名前だと、ちんどん屋に、間違われるかなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*『続すき焼き ものがたり』については、このブログの5/2号をご覧下さい。

*新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、株式会社ビジネス・フォーラムへお問いあわせ下さい。(電話:03-3288-9180)

*牛トレサビ法については、このブログの6/26号もご覧下さい。

*「今朝」さんについては、こちらです。