マッコリブーム、にごり酒
御酒の「菊正宗」の、営業マン氏が見えました。何のご用かと聞けば、新商品「にごり」を買って欲しいとか。
「どぶろく」気分!?の甘酸っぱくて濃厚なお酒です。」とキャッチコピーがついています。
サンプルを試すと、うーん、本当に甘酸っぱいなあ。「濃厚」と書かれていますが、アルコール度数が7〜8%と低いので、カクテル感覚の飲料ですね。酒の分類としては「リキュール」です。
どうして、この酒を開発したんですか?と聞けば、「いやあ、マッコリがブームなもんですから・・・」
そうか、マッコリがブームなら、そいつには「ちんや」も、是非乗らせてもらおう!と、私が思うハズもなく、酸味の強い酒は、すき焼きには合わないので、丁重にお断りしました。
「そんなことおっしゃらないで下さいよ。これをキッカケに日本酒に入って来てくれる若い人もいると思うんですよ。」
うーん、そうですかねえ。現存の、他の酒と比べて味の開きが大きいと思いますよ。
むしろ、そっちよりも期待できるのは、酒に弱いが、宴会には出たい、あるいは出ないといけない、タイプの人じゃないですかね。
「低アル商材」っていうことですか?
そうそう、そうですね。そういう売り方なら、有りかもしれませんけど・・・
「低アル商材」とは、アルミニウムの含有量が少ない酒のこと、では勿論なく、普通の日本酒(度数:15〜17度)に比べて、アルコール度数が低い酒のことです。最近の若者は、酒に弱くなってきたので、メーカーとしても、対応が必要ということです。
私などは「最近の若者は、酒に弱い」というより、「鍛えられなくなったのでは」と思ったりします。私が20歳代前半のころ、つまり今から20年前には、アル・ハラ全開のハードな飲み会を、数え切れなく経験し、相当飲めるようになりました。
でも、昨今の若い人は、簡単に「ボク、飲めないんですよ!」などとぬかします。
なにい、そちは余の下す酒が飲めぬ、と申すか! 腹を切れい!(この行だけ時代劇)
などど言えば、今時訴えられかねません。要注意です。
そういう場合に、「低アル商材」があれば、弱い人は、そっちを頼めば良いわけで、そもそも、そういう悶着がなくて済みますね、たしかに。
先日も、とある若手経営者グループの飲み会が開かれた居酒屋に、ハイボールに蜜柑をしぼって入れたドリンクがありました。わざわざ、メニューを1枚、そのドリンクのために別に用意して、「是非売り込みたい」という風情です。
そのメニューを見て、もともとハイボール懐疑論の、私は叫びました、
ウイスキーは、それだけで美味いものなのに、炭酸を入れるなんて、如何なもんかと思うね、そこにさらに蜜柑を入れるなんて、アンビリーバブルだよ、誰が飲むんだろう?
と、わめいていたら、私の隣に座っていた、宗教用具店ご経営の、H恵女史があっさり注文しました、
「アタシ、これ下さい! 蜜柑の入るハイボール!」
あ、いいんですよ、もちろん、姫様は。
兵隊どもは、許さんぞ、ちゃんとした酒を飲めえ!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。