路上弁当②
大手メデイアの、庶民の味方ぶりっ子には辟易します。
「危うし、路上の弁当屋さん 衛生面懸念、都が規制強化へ」という5/21の朝日新聞の記事もそういう、ぶりっ子系の記事でした。
路上弁当問題については、弊ブログの2013年12月3日号に書きましたので、ご記憶の方もおいでと思いますが、都心のオフィス街に車を止め、大量の弁当を積み上げて売っている、あの行商人の問題です。
日本の一極集中化が進み、都心でオフィスビル建設が進んだのに合わせて、この10年間で業者数が倍増、その他に無届け業者も多数参入しているようです。
その路上弁当業者に対して、このたび東京都が衛生上の規制を強化することになったのですが、それについて朝日さんは「危うし」と書いているのです。
この規制を、私は良かったと思っています。
この記事の記者さんは「ほぼ毎日買っているという会社員の男性(51)」による「近くに安い飲食店はほとんどない。並ばずに買えるのもありがたい」というコメントを引用して、路上業者の味方と、それを利用している庶民の味方をしていますが、私は規制強化で良かったと思います。
2014年5月2日号の「浅草の老舗天麩羅屋の差別問題」で、やはり私は朝日さんの批判をしましたので、
また住吉の朝日批判かよ!
と思ったかもしれませんが、違いますよ。庶民の味方ぶりっ子についてはたいていのメディアも似たようなことをしています。
テレビだって連日「激安の店特集」をやってますね。そういう番組の視聴率って良いのかもしれませんが、そういう番組が流れるたびに、まともな店が困ります。
話しを戻しまして路上弁当です。路上弁当について慎重に考えていただきたいのですが、路上業者は、衛生上の規制を免れて、さらに公道をタダで使っていますから、二重の意味で不公正です。
固定店舗の弁当業者なら、保健所のキチンとした御指導を守って営業しますが、路上は違います。だから不公正に安いんです。
弁当と言えば、色々な食品の中で一番食中毒が起こりやすいものなのに、夏場の炎天下で、保冷設備無しで売るなんて、在り得んテイーな話しです。
道交法違反もしてます。
固定店舗なら負担している、家賃や固定資産税を負担してないんですから、規制しても「弱いものイジメ」じゃあないと思いますよ。
むしろ不公正を正すだけのことです。
昨今はルールを守らずに安いモノを売る業者は「ブラック」と評されますが、例の居酒屋さんだって、あれだけ批判されても喜んで利用している人がいます。
労働者を酷使して安い価格を実現するのはブラックです。船荷を過積載するのもブラックです。でも値段が安いのですから、利用者サイドから見れば「庶民の味方」です。
この際メデイアの皆さんに申し上げたいのですが、「庶民の味方」を採り上げる場合は、その店がブラックじゃないのか、必ず確認して下さい。
現状調べているのか、非常に疑問に思います。だってウチは調べられたことが一度もないですもん。
例えばです、飲食店が消防署の御指導を全部守るのって、とってもお金がかかります。未だ稼働している設備でも、旧くなると取り代えるよう指導されます。これを「型式失効」と申します。ご存知でしたか?
ホワイトでいるとどうしても値段が高くなるんですよ。
おっと、仕入れ先を泣かして原価を下げるっていう手がありました。
この方法は、自分の社内は一応ホワイトに出来ますから一見良いようですが、下請けさんだって、いつまでもその仕打ちに耐えられるか分かりません。ある日反乱が起きるかもしれませんから、永遠に泣かせ続けるのは無理でしょう。
ブラックじゃなくコストを下げられるのは技術革新だけな筈です。技術が無いのに安い店が在れば、裏か下がブラックな可能性がありますよね。調べないと。
メデイアの皆さんにクドく申し上げたいのですが、「庶民の味方」を採り上げる場合は、その店が本当にブラックじゃないのか、必ず確認して下さい。