アン・ジャービスの日
今年の5/11「母の日」は忙しく営業させていただきました。
GW連休中より、客数は少ないものの、売り上げが上回って少し驚きました。
実際私の知人二組が「母の日」をするために御来店、その次の日に「母の日」しに見えた、浅草の天麩羅屋のMさんを入れれば、知り合いの「母の日」は3件でした。その他のお客様も「母の日」らしきムードの方が多いと観察できました。
え? 「母の日」はカーネーションでしょう! すき焼きなんて変だよ!
と考えるのが普通と思うのですが、意外に「母の日」はすき焼きという方がいらしたのです。
本来の「母の日」が、家族で外食する日ではないことは、私だって知っています。
念のため確認しますが、最初の「母の日」はアン・ジャービスを顕彰する日でした。
アン・ジャービスはアメリカのウェスト・ヴァージニア州の人。公衆衛生や社会的弱者のために活動した社会運動家でした。特に南北戦争中に、負傷兵を敵味方の区別なく介護したことが知られています。
そのアンの死後2年経った1907年に、アンの娘のアンナが亡き母親を偲んで、教会で記念会を催したのが、そもそもです。
アンが白いカーネーションを好きだったので、「母の日」はカーネーションと成ったわけです。
ジャービスの「母の日」が日本に導入されたのは、第二次大戦後のことのようです。
以来60年あまり、今の日本の「母の日」は「主婦の休業日」といった様相です。
お母さんがこの日位は主婦業を休ませてもらえる日なのですから、勿論食事は作りません。外食するか、お父さんが食事を作らないといけません。
お父さんが家で食事を作るのがベストでしょうが、なかなか大変です。それに洗い物も面倒ですね。
で、結局外食をするわけですが、そうなりますと、お父さんが家で食事を作るパターンと比べて、手抜き感が感じられてしまいます。座って運ばれてきたものを食べるだけですからね。
そこで、すき焼きなのです。
すき焼きなら食べるだけの料理より、お父さんが活躍できる余地がありますからね。
ジャービスの「母の日」が日本で「主婦の休業日」に変質した結果、すき焼き屋が繁盛するようになったわけで、「風がふけば桶屋が・・・」のような話しですが、まあ、日本人は他国の文物をアレンジするのが好きですからねえ。
バレンタイン・デーだって、チョコの件は和製でしたよね。
不思議な国です。
追伸
日本橋三越の催事に出店します。
第10回「味と技の大江戸展」
日時:5月21日(水)~26日(月)
会場:日本橋三越本店・本館7階催事場
精肉の販売をいたします。どうぞお出かけ下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.541日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。