島育ち~長期肥育と長期熟成
7週間熟成させた肉を食べてみました。
食べてみましたのは、個体識別番号:1334790070の牛。「隠岐潮風ファーム」産の「隠岐牛」のサーロインを、我が家の夜食としてステーキにしてみました。
この牛は隠岐生まれ、隠岐育ち。島内一貫肥育で育てられ、肥育期間は33カ月と充分です。
この位肥育されていない若い牛ですと、どうしても体内に水分が多く、熟成させてもしっかり乾かず、逆に状態が劣化してしまって⇒上手く行かないことが多いです。そう、充分肥育されていない牛は長期熟成に向かないのですが、この牛なら33カ月ですから、7週目でも良かろうと想像して食べてみました。
実は、この牛は「今週の特選牛肉」として8月21日から売っていたもので、そのことを今頃ブログに書いているようですから、
住吉も相変わらず商売っ気が足りないなあ!と言われてしまいそうですが、それは、まあ、さて置きます。
残りの在庫はだいぶ少なくなりましたが、まだ販売継続中ですので、どのような状態か試してみたわけです。
熟成に関して、私は元々4~6週間が好みでして、8週位になりますと脂に独特の風味が出てくることがあり、そこが好き・ずきで、私は4-6が好みです。
さて、7週目の隠岐牛ですが、なかなか美味でした。
長期熟成肉ですのでステーキにしますと、やはり少しスパイスを効かした方が良く、七味とかワサビが欲しくなりましたが、すき焼きなら、そのままでも旨いと思います。
隠岐に限らず、だいたい島の牛は、ミネラルをたくさん取り込みますので、味が複雑になる傾向がありますね。それが良いのです。
だから、是非ともそういう土地で牛を飼う場合は、この牛のように長期肥育をして欲しいものだと思います。
せっかく良い味が出る土地柄なのに、短期肥育では面白くないです。餌も地元由来のものに限れば、さらに良いと思います。
今時は、畜産経営の採算性を考えて、肥育はより短期で、ということになりがちですが、それでは土地柄が活きません。土地柄を活かして、面白みのある畜産日本にして欲しいと思うのですが、むしろ現状は逆のようで、私的には日頃不満を持っています。
長期肥育して、さらに長期熟成をさせると、採算上良くないことがさらにあります。
肉の色が濃くなり、見栄えが悪くなりますから、肉の知識をお持ちでない方から、
色が悪い!と嫌われたりします。
しかし、そういう見栄えばかりを気にする人は旨い肉を食えません。
この点は業界人だけでなく、是非一般の方にもご記憶いただきたいですね。
ともあれ、島育ちで長期肥育の「隠岐牛」を、私は今後も買っていくと思います。
追伸①
単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。
21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。
時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。
くわしくはこちら↓です。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.291日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。