リニア礼賛
オリンピックに続いて、リニア新幹線の計画が発表されまして、奉祝ムードが高まっています。
技術大国・日本の威信を世界に誇示できる、という点では、たしかに気分が良いですね。
しかし日本国中全面礼賛とはいかないようです。
まず、先日一緒に飲んだ、名古屋の社長さんの御意見。
この方は名古屋が地元ですが東京に支店を置き数人の社員さんを常駐させています。リニアができれば支店を廃止して、その維持経費が削減できますから喜んでおいでかと思いきや、
まあ、たしかにウチの経費は削れるかもしれませんですけどね、その逆もあるわけで、名古屋にある支店が廃止になる方が数としては多いと思うんですよ。
そうするとですね、名古屋経済の一部は支店経済なわけで東京から転勤して来ている人がペイする金が名古屋にたくさん落ちているわけですけど、それがなくなります。そのマイナス分が馬鹿にならないとみてるんですんよ、私は。
なるほど、たしかに、そういうことはあるかもしれません。
一方、私が懸念しますのは、途中の通過県で「一番」とか「高級」とか評価されている料理屋さんのことです。
1時間以内に東京に行けるとなれば、何かの記念日とか美味しい物を食べたい時は、リニアに乗って地方から東京に出て来る人が増えるに違いありません。
食と申しますものは、地方・地方に根差しているからこそ素晴らしいのですが、そういう文化を担う御店に落ちる金が減るのも、また確実でしょう。懸念されます。
政策学の立場から反対を唱えている先生もいます。
千葉商科大大学院客員教授の橋山禮治郎さんは、東京湾アクアラインに必要性や採算性が乏しいことを指摘し、ズバリ当てた方だそうですが、今回も強い懸念を表明しておられます。
この巨大プロジェクトについて、
「夢を見るのもいいが、覚めてしまえば夢は終わる」
「速さだけが夢なのか」
「リニアは確かに速い。だが、優位性はそれだけだ。事業の失敗は目に見えている」
速くて、しかし失敗した事例として「コンコルド」があることを、私も忘れておりましたが、この先生に指摘されて思い出しました。たしかに「速い」は、優位性の一種でしかないことに気づかされます。
作り手の夢というものは浪漫をかきたてますが、芸術作品ではない以上、そこに採算性を付け加えないといけません。
この件で、私は勿論何も出来ませんが、JRさんには、よほど知恵を出していただきたいものだと思います。
追伸①
単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。
21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。
時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。
くわしくはこちら↓です。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.300日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。