伊勢参り③
お伊勢さまについて、少しは真面目なことも書きましょう。
「神饌」つまり神様のお食事について、その供給体制については、知っておく方が良いと思うからです。
さて、神様に「神饌」をお供えする儀式のことを「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうのおおみけさい)」と言うそうです。
毎日朝夕二回厳かに行われるのですが、調製を含めると約4時間ほどかかる儀式です。その儀式が、戦時中や台風による冠水を受けても、約1500年途切れることなく続けられてきた、というから驚きます。
そして、さらに驚きますのは、ご飯、野菜、果物、鰹節、鯛、海草、お酒、お塩といった食材を、神宮が自給してお供えしていることです。
水は境内に浄水が湧きます。
田畑を持っているのは勿論、塩も「御塩浜」で作ります。
塩は、昔ながらの、今となっては非常に珍しい「入浜式」で作られます。伊勢市二見町にある五十鈴川に隣接した場所に、御塩浜はあると聞きます。
さらに!土器(かわらけ)も、すべて三重県明和町蓑村にある「神宮土器調製所」で焼かれる、と言いますから、徹底しています。
魚だけは、さすが領地内では獲れませんが、御縁のある漁師さんが代々その仕事を継いできました。
その昔は、全国に1.000か所以上の神宮領があって、食材を献上して来ましたが、1871年(=明治4年)の「神宮改革」で領地は全廃され、以降原則として神宮自ら御物を賄う、自給自足の制度へと改められたのだそうです。
伊勢の人々の、食への情熱の源泉が、ここに在ります。
食に関するこだわりが並大抵でない理由が、これで分かると思います。
神様にお供えする食事、その食事こそが日本の食の原点と申せましょう。そのことは決して忘れてはなりません。
今回は、そう再認識する機会を得ました。
在り難や。
追伸①
単行本『東京百年老舗』に載せていただきました。
21人のフォトグラファーたちが、歴史と伝統を現在に伝える「老舗」の魅力を余すことなく写しだした写真集です。
時代が変わっても、変わることのない老舗の魅力が、ここにあります。
くわしくはこちら↓です。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は361人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.277日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。