鬼十則①
弊店のお客様であり、学校の先輩でもある柴田明彦さんが本を出されました。
題して『ビジネスで活かす電通「鬼十則」』
柴田さんは広告大手・電通で要職を務められた後独立。企業人の人材育成をなさったり、大学でビジネスを教えたりなさっています。
さて「鬼十則」とは、電通の四代目社長で「中興の祖」と言われる吉田秀雄が1951年(昭和26年)に制定した、社員の行動規範です。
「取り組んだら放すな、殺されても放すな」
「周囲を引きずり回せ」
「摩擦を怖れるな」
といった激しい言葉が目を引きます。
私の知人にも電通社員はおりますので、この十則のことは以前に聞いたことがありましたが、「鬼」とか「殺されても」という文言に、私は良い印象を持てませんでした。今回も正直申して、気が進まない心持ちで本を開きましたが、結果は読んで良かったです。
この御本は、もちろん「鬼十則」の10条を解説していく本ですが、柴田さんなりのビジネス経験、洞察をベースにして語っているので合点し易く仕上がっています。
この本では「十則」が、単なるモーレツ一方ではないということが指摘されます。
激しい言葉の合間に柔和な表現がひょこっと出て来るのですが、それについての解説に、私はとても共感できました。例えば第2条は、
「仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない」で、
一見攻撃的なビジネスを推奨しているように見えますが、それは違うと柴田さんは言います。
営業先に対して「利他」の心・協業して行く心を持つことが「働き掛け」だと言います。相手と一緒に無から有を創りだすことを勧めているのが、この条文だと解釈されるのです。
この解釈を、私は深く頷きながら読みました。
現在私は社外のビジネスマンから営業を受ける立場ですが、彼らはとにかく「専門家としての独自面」や「あるべき論」が多いです。「お手伝いさせて下さい!」と言いつつ、その気は全く無くて既存商品を売り込みたいだけ。
浅草の商店や飲食店は彼らの草刈り場です。小銭を持っているからですね。
そういう場面を目撃する度に、私は日本経済の将来を悲観しておりまして、このような御本が参考にされるべきだと思う理由は、そこです。
若きビジネスマンに読んで欲しいものです。
追伸①
年末年始の営業案内です。
年末=11月26日から12月31日まで休まず営業致します。
年始=1月1日のみ休業し、2日から12日まで休まず営業致します。
どうぞ御利用下さい。
追伸②
一冊丸ごと「すき焼き大全」とも申すべき本が出ました。
タイトルは『日本のごちそう すき焼き』。11月19日平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.762日連続更新を達成しました。