風邪をひいても、すき焼きは旨い
インフルエンザがもう流行入りしたとか報道されていますが、今シーズンの私の風邪履歴は、今の所11/29から12/2にかけて鼻風邪にかかっただけです。
咳や発熱はなく鼻水だけで終わったのですが、悪いことに、この間に国際観光日本レストラン協会の納会がありました。
会場は新橋の「今朝」さんですから、料理は当然すき焼きです。問題は鼻水だけでしたので、出席しました。
「今朝」の御主人・藤森さんはワインにお詳しい方です。ですので結構なワインが出て来て、それを周りの皆さんが絶賛するのですが、私は、
???
ああ、自分は今風邪をひいているのだなあ、と感じざるを得ませんでした。
しかし、すき焼きが始まると、
!!!
あれ、治ったのかな?
しかし、ワインは美味く感じません。そこが?です。
以前から、
風邪をひいても、すき焼きは旨い
ということは感じておりましたので、この際少し調べてみました。
この現象は、「感冒後味覚障害」の主な原因が、鼻粘膜の腫脹(鼻づまり)や、においを感じる嗅上皮粘膜の炎症がひきおこす、嗅覚低下だから、ということで説明できるようです。そう、味覚でなくて嗅覚の低下が主だということです。
そもそも味と申すものは、五味を感じる基本的な味覚だけでなく、いくつかの感覚で出来上がっています。
1.狭義の味覚=甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の五基本味。
2広義の味覚=辛味、渋味、こく、広がり、厚みなど味覚に皮膚感覚を伴ったもの。
3風味=味覚に嗅覚による香りが加わったもの。(これは香り物質が口の中から鼻腔に抜けた時、嗅覚細胞を刺激して得られます)
4食味=口の中で感じる食感、温度感覚。視覚から入る食物の色・光沢・形。聴覚から入る咀嚼音。
5その他=外部環境(食事をしている場所の状況)や、生体内部環境など(その時の体調・空腹か否かなど)
この内、鼻づまりが起きると3がおかしくなる、という次第です。
もちろん風邪が重篤だと1や2もおかしくなりますが、今回そちらは大したことはありませんでした。3だけやられていたので、ワインの香りは分からなかったものの、健在だった1が甘塩旨=すき焼き三味を感じていたのだと推測されます。ですので、
すき焼き屋の皆さん、
風邪をひいても、すき焼きは旨い!
は都市伝説ではなかったのです。
是非喧伝しましょう。
追伸、
一冊丸ごと「すき焼き大全」とも申すべき本が出ました。
タイトルは『日本のごちそう すき焼き』。11月19日平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.753日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。