近江牛らしい近江牛
先日、近江肉牛協会の関係者の方々が来店されました。
方々とは、協会の役員でN畜産のNさん、全農滋賀のYさん、S牧場のKさんで、近江から牛を積んで東京市場に搬入し、セリにかけた後で、浅草へまわって下さったようです。東京への搬入は、最近では月に3回行われているそうです。
近江牛は、その昔「近江・松阪」と並称されたトップブランドでしたが、いつの頃からか、松阪に圧倒されるようになりました。
さらに、平成15年に牛トレサビ法が導入された時、松阪サイドが、法律の上を行く独自のトレサビ体制を採ったのに対し、近江サイドは熱心な対応を採らず、水をあけられてしまいました。
今回見えたのは、その失地をなんとしても回復したい、と頑張っておられる方々です。
なるほど、頑張っておられるのは了解ですが、松阪があそこまでになった以上、松阪の後追いはキビシいと思いますよ。何か独自性が要るんじゃないですか、と私。
それは、わかってます!
私たちも、近江は近江らしい牛を育てようってことを毎日考えてます。近江には鈴鹿山系の水があって、それから四季がハッキリしてるんで、独自の近江らしい牛を出すことができるんです。
ほうほう、なるほど、でも、その「近江らしい牛」っていうのを、もう少しわかりやすく言えませんか。
それはもちろん、質の高い牛ってことです。
あのですね、今どきはワンフレーズ・ポリテイックスの時代ですから、
「聖域なき構造改革!」とか、具体的でないと困るんです。
うーん、具体的となると、脂の融点が低いってことですかね。近江は、水があって四季がハッキリしてるから、脂の融けが良い牛が出せるんです。近江の生産者は、みんな脂の融けが良い牛を狙って育てていますよ。
なるほど「融けが良い牛」ですか。でも今度は具体的過ぎて、一般の方には、とっつきにくい用語ですよね。そういう肉屋用語じゃない方が良いんですよ。
うーん、じゃあ「サシがあるのに、もたれない牛」って感じですかねえ。融けの良い牛は食べた後に消化が良いでしょ。近江牛はもたれないって、言っていただくことが多いですよ。
おお、「もたれない」ですか。それなら消費者目線で、わかりやすいですね。
でも「牛」はやめましょうよ。消費者サイドから見れば「もたれない牛」じゃなくて「もたれない肉」ですから。せっかく消費者目線になったんだし、「もたれない肉」にしませんか・・・
ーなんていうこと、ひとしきり4人で話しました。やる気のある人と話すのは楽しいですよね。
近江の「もたれない牛」に期待しましょう。じゃなかった、間違えた、「もたれない肉」に!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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