寅さんの口上

テレビ朝日「継ぐ女神」の「お宝鑑定」の場面が、どうも私は嫌いだという件は、旧臘12/6の弊ブログに書きましたが、それは局側の興味本位なノリが嫌いなのであって、登場する老舗さんの考え方は参考になることが多いので、実はよく拝見しています。

あ、念のためおさらいしますと、「継ぐ女神」は朝の番組「モーニングショー」の中の日替わりコーナーで、「伝統を守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性に密着」という企画です。

さて先日登場していたのは、国民的映画「フーテンの寅さん」の実家として有名な、柴又「高木屋老舗」の六代目でした。

このお店の「お宝」は、高額な美術品ではなく、渥美清さんがお店の宣伝の為に吹き込んだというテープ。

さすがにこの品は「鑑定」できなかったようで、この回は嫌いな鑑定場面を視ずに済みましたが、その件はさて置きまして、「高木屋」さんが、この宣伝テープを三日間しか使わなかったという話しに私は、とても感心してしまいました。

映画の「寅さん」はテキ屋稼業ですが、その見事な口上で「高木屋」さんの宣伝をしているのです。渥美さんは映画撮影で世話になった御礼として、このテープを作ったのですが、あまりに見事なテキ屋ぶりなので、店先で放送したところ、人が集まって来て、大変な混雑になってしまったそうです。

放送すること三日間。

「高木屋」さんは、この口上テープを二度と使わないと決めました。

効果があり過ぎ、そして国民的存在である「寅さん」を一店舗のために使うのは、ずるい・良くないと考えて封印したのです。

渥美さんが亡くなって、1998年に『男はつらいよ』シリーズが終わると、柴又の街は一時寂れましたが、その時も使わなかったそうです。

「売れれば良い」「利益極大化」とは対極の姿勢が、この老舗さんにも在りました。多くの方に知って欲しいエピソードだと思いましたので、ここでご紹介しました。

 

ところで少し話しは逸れますが、渥美さんは「高木屋」さんだけのものでは勿論なく、柴又だけのものでもありません。

渥美さんは、浅草六区で長年活躍して芸を磨き、映画・テレビの世界に移って行った方ですから、渥美さんと言えば=浅草なのです。「寅さん」は戦後浅草に大勢いたテキ屋の再現です。

が、「寅さん」が遺作になったため、渥美さん=柴又と思っている人が多いようです。

この件は、「浅草演芸ホール」を運営する「東洋興業」の松倉久幸会長が書いた本『歌った、踊った、喋った、泣いた、笑われた』に詳しいので、是非お読みいただきたいと思います。

 

追伸①

CSフジテレビONEの

『寺門ジモンの肉専門チャンネル』に出演させていただきます。

芸能界一肉に詳しい男」寺門ジモンさんが送る肉料理に特化した待望の肉専門番組が、これです。出られて光栄です。

放送は、1/21(土) 9:00~9:30    です。

追伸②

今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。

追伸③

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.520日連続更新を達成しました。

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入院

昨年末のこと、予約の電話が鳴ったので取りますと、

「俺さあ、年始の4日から入院して抗癌剤を入れるんだよ。うまいもの食えなくなるから、その前にオタクに寄らせてよ」とお客様。

語彙貧困につき咄嗟に返す言葉が見当たりませんでした。

この件をFBに投稿しますと、

浅草のおでん「大多福」の若旦那が、

「ありますよねこの会話。出来るだけ笑顔で「具合がよろしくなりましたらどうぞまたいらして下さい。お待ちしておりますので。」と、言えるように心掛けております。でも、この会話をしてからまたお会いできる確率は5割強ですね。この会話が年々切なくなってきています。」

とコメントを入れてくれました。

弊店でも、退院後すき焼きに直行というパターンもありまして、そちらなら手放しで嬉しいんですけどね。

また鰻「いづもや」の若旦那は、

「三越でパタパタ焼いてる頃の話、厨房の暖簾をくぐってご婦人のお客様が涙ながらに「先日主人が亡くなりまして、今日は仏壇に好きだった鰻を上げるために参りました」と。私も焼きながらということもあり、言葉が咄嗟に出てこなかった記憶があります。でもよく最後の晩餐はお宅の鰻だ、とか仰っていただくことも多く、誰しも必ず最期は来ますからある意味これは有難いことと受け止めております。」

まったく在り難いことですね。美味しいお店さんには、どこも絶大に支持して下さるお客様がいるのですね。

そして、これが和食の大前提あるいは支持基盤だと私は思っています。最近一口に「和食文化」と言いつつ、それを支えて下さるお客様のことがあまり語られないような気がしますが、こういう機会に投稿などして行こうと考えています。

追伸①

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気分の問題

<ネットで見つけた、とある肉屋さんのボヤキです>

明けましておめでとうございます。

旧年中は、公私ともに大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いします。

さて、なぜか今年に限ってお肉の変色や匂いに関する、はなからクレームの様な問い合わせが増えました。皆さん普段どんなお肉を食べてらっしゃるんでしょうか。

変色しない、匂い(香り)もない若齢の牛の肉を食べてるんでしょうね。

切り立ての肉、しばらく時間を置いた肉、包んで重なった部分や包装当りの部分、色は変わりますよ!匂いもしますよ!

肉に対するおかしな知識が広まってるのか、知らなさすぎるのか。手元に届いて、包装したままご自宅の冷蔵庫で23日経ったお肉が食べれるかどうかは、自分で判断して下さい。ナマモノですから!!

熟成肉ありますか?なんて聞かれると、全部熟成です!と答えます。そもそも熟成してない様な肉は普通、販売してませんから・・・

こちらの肉屋さんは「ちんや」と似た仕入れ方針を採っているお店さんですが、さて、これに対する私のコメントは、

「この投稿にコメント殺到してますね(笑い) ウチにも、ほぼ同じ趣旨の電話が大晦日に1件ありました。おそらくスーパーの肉しか知らない人が、年末年始だけ我々の所に来るのでしょう。年末年始はデンジャラスとみなして防御線を張るしかないと思います。嘆かわしいですけどね。」

この件を解説いたしますと、そもそも熟成させた肉は、生鮮食品ではありませんから、濃い色をしています。一方スーパーの肉は、屠畜後数日で販売してしまうので、浅い色をしています。

それ以前に、若齢の牛は色が浅いですが、しっかり肥育すると色が濃くなります。しっかり肥育した牛を熟成させれば、ダブルで濃くなります。

綺麗な色がお好きな方は、スーパーでお求めになれば結構毛だらけなのですが、熟成させていませんから、旨くないですよ。それに若齢だと脂肪の融点が高いからモタレますよ。

この傾向は、牛の性別で違いがあります、メス牛の方が濃い色になるのです。理由は分かりません。

「メス牛の方が濃い色」というよりは、熟成を重視する肉屋さんがメス牛を好む傾向にあるので、結果的にメス牛の方が色が濃いように感じているような気がします。今時のオス牛は肥育月齢の短い牛が多く、熟成させ甲斐がないので、熟成を重視する肉屋さんは仕入れず、メスを熟成させるのだと思います。

それから、肉の部位でも違いがあります。モモなどと保水率の高い部分が、濃い色になる傾向があります。

そうした部位が折り重なると、空気に触れないわけですから、濃い色です。それが不潔だ!と言われてしまうのですが、食べても問題ないです。気分の問題です。

さて、この程度のことで文句をたれている方には、我が福澤先生の『肉食之説』(明治3年)を捧げたいと存じます。(原文のママだと読みにくいので、少し読みくだして引用しますと)

「よく事物の始末を詮索すれば世の食物に穢き物こそ多からん。」(中略)

「或は牛肉牛乳に臭気あるといはん乎。松魚の塩辛くさからざるにあらず、くさやの干物最も甚し。先祖伝来の糠味噌樽へ むかでうじと一処にかきまぜたる茄子大根の新漬は如何。」

「皆是人の耳目鼻口に慣るると慣れざるとに由て然るのみ。慣れたる物を善といひ、慣れざる物を悪しといふ。自分勝手の手前味噌だになめる其口へ、肉の「ソップ」が通らぬとは、あまり不通の論ならずや。」

そういう不通の論者は、

「必ず身心虚弱に陥り、不意の病に罹りて倒れるか、又は短命ならざるも生きて甲斐なき病身にて、生涯の楽なかるべし。」

流石は先生、この「言い切り感」が私は好きです。

この文では肉食を勧めるために、伝統的醗酵食品と比較しているのですが、私は、現代の濃い色の肉に慣れていない人にも、このセリフを申し上げたいと思います。

肉の色なんかでビクビクしていると、生涯の楽なかるべし、ですぞ。

 

追伸①

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大晦日

大晦日に、30年以上前から毎年「ちんや」へ見えているお客様がおいでです。

今年は、そのお客様の予約の人数が減ったので、

もしかして、お婆ちゃまが・・・

と案じておりましたが、

見えました、90ん歳。

杖はついているものの、お元気。芽出たいです。

肉を召し上がっていただいて、良い年をお迎えいただきたい、来年もお越しいただきたいと願うのでした。

 

追伸①

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追伸③

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反響

適サシ肉宣言」「貿易摩擦から「適サシ」へ」の反響が、まずまずで在り難いことだと思っています。

 

大手メデイアMさん

面白いです。素晴らしいです。部員に都合を聞いて、一緒に早急に伺います。ありがとうございます。

 

大手メデイアKさん

いいですね。その心意気、応援します!

新しいメディアを立ち上げるんですが、その一本としてお願い出来ればと思います。A4にするというのは誤解を招かないようにしないといけませんが、まさにそこがキモですね。あらためてご連絡します。

 

ネットメデイアKさん

世を挙げて肉ブームの今、住吉様の掲げるテーマ、興味深々です!

 

酒の専門雑誌Yさん

まだ予約入れてませんが、伺おうと思っています。楽しみです。

 

食のジャーナリストKさん

ブログ拝見しました。サシが入りすぎ問題を語ることはあれど、実行された人はほとんどいらっしゃらないですよね。お肉屋さんはもちろん、すき焼き屋さんなんてもってのほか。ぜひ試食したいです

 

食のジャーナリストSさん

適サシ肉宣言!大賛成です!さすがです!今月はかなりタイトになってしまっており、動けるのが来月になってしまうのですが、うかがいたいと思います。

 

北陸の焼肉店Tさん

納得です!!

 

東北の酒醸造元Yさん

全く同感です。素晴らしいと思います。

 

花巻市Sさん

ブラボー!ですね(^_^)学ぶところばかりで、ほんとに尊敬します。

ちんやさんに行きたくなりました。

 

静岡県Kさん

変化する老舗、かっこいいです!すきやき文化を愛してらっしゃる、住吉さんならではですね!

 

台東区Nさん

私も「霜降り離れ派」です(笑)子供の頃に美味しい!と感じた和牛が再び食べられる様になると嬉しいですね。応援します!

 

皆さん、ありがとうございました!

 

追伸①

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『寺門ジモンの肉専門チャンネル』に出演させていただきます。

芸能界一肉に詳しい男」寺門ジモンさんが送る肉料理に特化した待望の肉専門番組が、これです。出られて光栄です。

放送は、1/18(水) 8:30~9:00

1/21(土) 9:00~9:30    です。

追伸②

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貿易摩擦から「適サシ」へ

昨日の弊ブログでは、弊店が「適サシ肉宣言」をしたことを申し上げました。

今日は、そこまでの経緯つまり、この国で「霜降り」が行き過ぎてしまった経緯をお話しします。

 

・消費者に調査しても、肉の専門家に聞いても「おいしい」と感じる肉は、

脂肪(サシ)の割合が、肉全体の30%くらいになっている肉です。

ところが現代の「霜降り」は、それをはるかに超える割合になっています。ロースの平均は50%、最高では75%にまで達するものもあるとか。

どうして、こんなに行き過ぎてしまったのでしょう?

 

・そもそもは「貿易摩擦」でした。

1985年にアメリカの対日貿易赤字が500億ドルに達したことをきっかけに、アメリカは日本市場の閉鎖性を批判するようになりました。アメリカは日本から自動車を買っているのだから、日本はアメリカから農産物(米・牛肉・オレンジ)を買え!と言ってきました。これが「日米貿易摩擦」です。日本政府は、米だけは守りたかったので、牛肉・オレンジを受け入れることを決定、こうしてカウボーイの国アメリカから肉が入ってくることになりました。

 

この大変な状況で、日本の畜産農家が身を守るために「霜降り」重視の発想が強まりました。サシが多い肉=高級な肉、という格付けを創ってしまえば、霜降に成る牛が多い日本側に有利です。そういう次第で現行の格付けが導入されたのは1988年でした。

 

それから、おおよそ30年。日本の畜産業界は「霜降り」一直線で走ってきました。そして行き過ぎてしまいました。

 

・「霜降り化」の為の技術

「霜降り」を推進した技術はDNA鑑定と「ビタミンコントロール」でした。

まずDNA鑑定でサシの入り易い血統を選抜します。昔は交配という悠長な方法で血統を選んでいましたが、今は違うのです。

 

それから「ビタミンコントロール」つまり牛の体のビタミンAを欠乏させることで、霜降を創るのです。この手法を「コントロール」と称するのは、後ろめたい気分を誤魔化すためです。実際、この方法をやり過ぎると牛の健康を損ねてしまい、サシは入っても不健康な=まずい肉が出来てしまいました。

 

・今度は逆の極端へ

やがて日本人も行き過ぎた「霜降り」が美味しくなく、それ以前にモタレて仕方ないことに気づきました。それが近年の「赤身ブーム」です。つまり逆の極端に振れたわけです。どうも日本人とは極端に振れる国民です。

 

・私は「適サシ」主義。

しかし私は純粋に美味しさを基準にした場合、適度なサシつまり30%程度が良いと考え、「適サシ」宣言をさせていただきました。詳細は昨日の弊ブログの通りです。

両極端を止めて、塩梅を大事にすると思っていただいても結構です。

 

・懐かしい!

「適サシ」主義で牛を選び、それが盛られた皿を見た時、私を、ある感情が動かしました。

懐かしい!

お爺ちゃん(ちんや四代目・住吉清)が生きていた頃の肉みたい。

あの頃は、これでも「霜降り」と言っていたっけ。

そう、「適サシ」を求めることは、昭和50年(1975年)当時の「霜降り肉」に回帰することでもあったのです。

 

・「霜降り」の名称を放棄することは勇気が要りました。

しかし日本人の極度の「霜降り志向」は、たかだか30年程度のことです。しかも、そもそもは美味しさとは別次元で、政治が創り出した事態です。戻ることは出来るはずです。

そして、戻るべき以前の美味しい肉を、私はまだ覚えていました。在り難い。

今後、多くの方々に、この肉を召し上がっていただきたいと熱望します。

追伸①

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追伸②

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「適サシ肉」宣言!

「ちんや」では、本日より肉の内容、表記の仕方、提供方法を変更させていただきます。価格も改定させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 

<表記の仕方>

(従来)「霜降肉」と表記→(今後)「適サシ肉」と表記

<内容>

「適サシ肉」とは言うまでもなく、適度な霜降肉のことで、サシの入り方が過剰でないことを意味する、私の造語(商標出願中)です。具体的には、

*脂肪の量が4等級(5等級は今後不使用)

*脂肪の融け方が良い、つまり脂肪の融点が低い=充分な月齢(30か月)まで肥育した和牛のメス牛の脂。

*「小ザシ」=サシの入り方が細かい。加熱すると、サシと赤身の境界線から「和牛香」が発生しますので、「小ザシ」が良い香りの出る肉です。

これにより、赤身の旨味と脂の甘味がバランスして、胃モタレせず、そして香りも良いすき焼きを実現できます。

(「適サシ肉」宣言をした背景)

・近年一部の生産者や地方自治体が過度の霜降り肉を生産・宣伝してきた結果、味が落ち、消費者の間に「霜降り離れ」現象が起きてしまいました(特に年配の方)。

その詳しい経緯は、明日の弊ブログでお話ししますので、是非お読みいただきたいですが、適度のサシが入っている肉=昭和50年頃に「霜降り」と言っていた肉が、やはり美味しいです。私達はそこに回帰し、その肉を「適サシ肉」と呼ぶことに致します。

できれば商標も獲りたいなと思っております。

 

なお、牛の選定に当たっては、有名産地の出身であるかどうかはまったく考慮致しません。牛一頭本位で検討します。

 

<提供方法の変更>

・タマゴは2個付いていますが、2個目のタマゴを「変わりタマゴ」に出来るように致します。

「カレーオイル入り」または「ヨーグルト入り」または普通のタマゴ

味の幅を拡げて、甘・辛・旨・苦・酸の五味を全部揃えることで、飽きずにすき焼きを食べられます。

 

(カレーオイル入り卵)

・カレー粉と若干のスパイスをオイルに入れて溶き、それを生卵に加えます。 

・すき焼きに足りない「苦味」を補い、アクセントを付けます。

・カレー風味のすき焼きは映画監督の小津安二郎(おづ やすじろう、1903-1963年)が好んで食べました。小津が愛した旅館「茅ヶ崎館」さんで今でも食べることが出来ます。

・ただし小津方式は、カレー粉をそのまま、鍋の中の具材に振りかけるところが、「ちんや」方式と違います。オイルに溶かす「ちんや」方式は吉田裕一調理長が平成26年に発案しました。

・豆腐とシラタキに良く合います。(キンピラに七味をかけると美味しいのと同じ原理です)

・金彩の器に入れてお出しします。

・風水によれば、カレーのウコン色は、運気・パワーが上昇します。目出度い会合、あるいはご商談にピッタリです。(会社の新年会、創業記念日、ご接待)

・使い残したら、ごはんにかけて食べると美味しいです。

 

(ヨーグルト入り卵)

・ヨーグルトを生卵に加えます。

・すき焼きに足りない「酸味」を補い、味を中和させます。(「味の抑制効果」と言います。)

・甘辛味と酸味とがバランスして、信じられないくらいサッパリ、マイルドに感じます。(酢の物に醤油を加えると美味しいのと同じ原理です。)

・どの具材もサッパリと食べられます。

・日本料理店「バサラ」さんが開発した「トマトすき焼き」にヒントを得て、「ちんや」六代目住吉史彦が平成27年に発案しました。

・ただし「バサラ」方式では、トマトを鍋の中に入れて、全てを酸っぱくするのに対し、「ちんや」方式では、玉丼の中だけを酸っぱくします。

・酸っぱいヨーグルトが苦手な方でも「抑制効果」で中和することで美味しく食べられる。ヨーグルトの新しい使い方でもあります。

・柿釉(かきゆう、朱色)の器で提供します。ヨーグルトの白色がよく映えます。

・理屈はさて置いても「牛つながり」だから、肉と良く合いますよ。

 

どうぞ、御期待下さい!

追伸①

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心底みたり

ふるさと納税サイトの皆さん、
カニを買えとか、
肉を買えとか、宣伝してないで、
糸魚川のことを伝えたら、どうなんでしょうね?
単なる通販サイトの「心底みたり」って感じがしますな、まったく。
・・・とFBに書きましたら、知人からは、こんなコメントが。
故郷や縁のある自治体を応援するのはいいことかもしれないけれど、納税者に特産品を送るために納税されたお金を使っちゃって、それが正しいふるさと納税の使い方だろうかと疑問です。特産品もない貧しい自治体の住民が、特産品を求めて他の自治体にこぞってふるさと納税したら、自分の住んでいる自治体の税金が減ってますます貧しい自治体になっちゃいますよね。いい循環とは思えない制度ですよね。」
いや、まったくです。

追伸①

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追伸②

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もう1枚無料!

「ちんや」精肉売店での正月用肉予約販売の受付は、年末28日まででした。29日からは店頭が大変混みあいますので行列せずに済む予約を、28日までに申し込んでいただくよう、お勧めしておりました。

29日以降は、予約済みの方の受付場と未予約の受付場を用意して、それぞれ対応いたします。未予約の方は「売り切れ御免」です。

この締め切りは毎年28日までなのですが、それを忘れてしまうお客様がおいでで、29日を過ぎてから申し込もうとなさる方がいます。もちろん、それは謝絶するわけですが、

え、えー、28日までだっけ?!

29日までと思ってたのよ!

困ったわー!

どうしよう?!

あとは、並ぶしかないの?!

いやだわー!

寒いしー!

どの位待つのかしらー?

なんとかならないの?

・・・大変恐縮ですが、なんとかなりません。なるべく、朝一とか空いている時間にお越し下さい。

かたくなに断るのは、クリスマスのドミノ・ピザさんみたいになりたくないからですドミノ・ピザさんが「お持ち帰りでピザ1枚買うともう1枚無料!ドミノ・ピザのBuy One Get One Free!でメリークリスマス♪」という、無謀なキャンペーンを行ったところ、クリスマスイブに、

予約注文がさばけずに大混乱し、客がキレ、店員が泣き出し、警察まで出動する事態になったそうです。ツイッターでは、

「志木のドミノピザやベー笑笑笑 店の外まで並んでるし、警察きてるし、ピザ作れてないし笑笑 混み過ぎてキャンセルも出来ない笑」

「ドミノピザ地獄絵図ww 20時に受け取り予約してたけど、 まだ焼きあがってもないし、 レジも50人くらい並んでる(笑) 寒いし1人だしやばめだな」

1750予約が受け取りは19:30! 一時間半待ったのに!なのに! 『注文とちがうピザで申し訳ありません』 『はい?』 18時前後の予約の皆さんみんなそう。焼きやすいピザから焼いたのか。『意味わかんないんですけど!!! 』」

ドミノ・ピザジャパン社は翌日公式ホームページ上で謝罪しましたが、

「この結果を深く反省して、今後よりよいサービスを提供できるように、スタッフ一同で取り組んでまいります。」

という一文が更なる反発を招きました。

「スタッフ一同」に責任はなく、むしろ被害者であって、このキャンペーンを行った幹部だけに問題があると考えるのが自然だからです。

さばき切れないほどの予約を受注し、その後でも、さらに注文を受け続けていた企業姿勢に驚くほかありません。実際、私も26日の朝に「もう1枚無料!」のテレビCMを視ました。

そういう次第で、次回は「28日締め切り」をお忘れなく。

追伸①

CSフジテレビONEの

『寺門ジモンの肉専門チャンネル』に出演させていただきます。

芸能界一肉に詳しい男」寺門ジモンさんが送る肉料理に特化した待望の肉専門番組が、これです。出られて光栄です。

放送は、1/13(金) 11:30~12:00

1/18(水) 8:30~9:00

1/21(土) 9:00~9:30    です。

追伸②

今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。

追伸③

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.512日連続更新を達成しました。

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

つぎ、停まります。

小さな子がボタンを押した。

ちょっと大きめにアナウンスした、「つぎ、停まります。」

これは広告です。ある日私が乗った京急電車の社内に掲示されていました。

何の広告か、お分かりですか?

京急バスの運転士募集の広告です。この文言に、お母さんに連れられた女の子が「つぎ停まります」ボタンを、まさに押そうとしている写真が付けられていました。

私は、この広告を見て、

ああ、この業界も人手不足がひどかったよなあ。

と思うと同時に、この広告を企画した人の気持ちが、とても良く分かりました。

人手不足の時代だけれど、運転士という仕事に使命感を持つ人が応募してくれるはずだ、応募して欲しい、という気持ちです。

広告会社さんが、その気持ちを汲み取ったのが、この広告でしょう。

どこのどなたか存じませんが、広告会社の人、G..

追伸①

CSフジテレビONEの

『寺門ジモンの肉専門チャンネル』に出演させていただきます。

芸能界一肉に詳しい男」寺門ジモンさんが送る肉料理に特化した待望の肉専門番組が、これです。出られて光栄です。

放送は、1/13(金) 11:30~12:00

1/18(水) 8:30~9:00

1/21(土) 9:00~9:30    です。

追伸②

今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。

追伸③

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.511日連続更新を達成しました。

 

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