履物供養
ある日「東京新聞」の一面に知人が大きく出ていて驚きました。
出ていたのは、浅草の和装履物店「辻屋本店」の四代目・富田里枝さんです。
昨年出版した私の対談集『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』で、私と対談してくれた方です。
その里枝さんが、浅草神社(三社さま)で「履物供養」を開催するというのが、今回の記事の内容ですが、それにしても大きく、カラーで目立つ記事です。
目だったのは、「履物供養」が今回初めて開催されるからです。「針供養」が以前から浅草寺境内の淡島堂で開催されていたので、FBで彼女が「履物供養」を告知する投稿をUPした時も、私は詳しく読まずに、
ああ、今年も「履物供養」があるのか・・・
と思ったのですが、実はこれが初めてだったとか。不勉強でした。
この記事が大きかったのは、その「初めて」の件だけではなく、浅草花川戸の履物街の歴史をも伝えていたからです。
記事を引用しますと、
「浅草は日本最大級の「履物の街」だ。明治時代に鼻緒を作る店が集まったことで問屋もでき始め、戦前の最盛期には、花川戸と呼ばれる地区に草履や下駄を扱う問屋が二百五十軒もひしめいた。」
その後、草履や下駄を履く人は少なくなって、スリッパに転換、そのスリッパも生産が外国にシフトして、かつての活気は失われましたが、今でも四十軒ほどが頑張っています。
その中で「辻屋本店」さんは、かつての履物屋の形態を色濃く残しているお店さんです。
「かつての履物屋の形態」とは、客の足に合わせて下駄に鼻緒を取り付ける作業を、店先でやってくれるということです。この作業を「すげる」と申します。
「すげる」作業が店先で、いつでも出来ることを「辻屋」さんは重要と考えておられて、これは大変立派なことと私も思います。
それで私の本『何故浅草は・・・』の、里枝さんに出ていた章のタイトルは、
「履物の町」浅草で職人がいる履物店
にしました。
今回の記事と私の本で、履物という浅草の地場産業のことが、より知られるようになれば幸いです。
追伸①
今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。
追伸②
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.527日連続更新を達成しました。