入院
昨年末のこと、予約の電話が鳴ったので取りますと、
「俺さあ、年始の4日から入院して抗癌剤を入れるんだよ。うまいもの食えなくなるから、その前にオタクに寄らせてよ」とお客様。
語彙貧困につき咄嗟に返す言葉が見当たりませんでした。
この件をFBに投稿しますと、
浅草のおでん「大多福」の若旦那が、
「ありますよね⋯この会話。出来るだけ笑顔で「具合がよろしくなりましたらどうぞまたいらして下さい。お待ちしておりますので。」と、言えるように心掛けております。でも、この会話をしてからまたお会いできる確率は5割強ですね。この会話が年々切なくなってきています。」
とコメントを入れてくれました。
弊店でも、退院後すき焼きに直行というパターンもありまして、そちらなら手放しで嬉しいんですけどね。
また鰻「いづもや」の若旦那は、
「三越でパタパタ焼いてる頃の話、厨房の暖簾をくぐってご婦人のお客様が涙ながらに「先日主人が亡くなりまして、今日は仏壇に好きだった鰻を上げるために参りました…」と。私も焼きながらということもあり、言葉が咄嗟に出てこなかった記憶があります。でもよく最後の晩餐はお宅の鰻だ、とか仰っていただくことも多く、誰しも必ず最期は来ますからある意味これは有難いことと受け止めております。」
まったく在り難いことですね。美味しいお店さんには、どこも絶大に支持して下さるお客様がいるのですね。
そして、これが和食の大前提あるいは支持基盤だと私は思っています。最近一口に「和食文化」と言いつつ、それを支えて下さるお客様のことがあまり語られないような気がしますが、こういう機会に投稿などして行こうと考えています。
追伸①
CSフジテレビONEの
『寺門ジモンの肉専門チャンネル』に出演させていただきます。
芸能界一肉に詳しい男」寺門ジモンさんが送る肉料理に特化した待望の肉専門番組が、これです。出られて光栄です。
放送は、1/21(土) 9:00~9:30 です。
追伸②
今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。
追伸③
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.519日連続更新を達成しました。