親子体験2016

(食育企画)おいしい夏休みを体験しよう!~親子体験食味学習会2016を開催しました。

参加人数が多かったので、全体を半分に分けて、片方の半分は私の話しを聞いてから精肉体験、残りの半分は精肉体験をしてから私の話し。

最後に全員そろって、自分がカットした肉をすき焼きにして食べてもらいました。お疲れ様でした。

<以下私の話しの原稿です。ご覧ください>

はい、それではおじさんが、すき焼きっていう料理を、何でみんなが食べるようになったか、いつから食べているか、お話ししますね。おじさんの話しは、それほど長くなくて、時間は10分くらいですから、学校の1時限よりずっと短いです。クイズをやりながら進めていきますから、そのクイズの問題と答えだけ覚えれば、後でお友達に自慢できるようにしてあげます。ちょっと我慢して聞いてて下さいね。

いきなりクイズです。日本人は何時代から、お肉を食べるようになったか、知っている人は手を挙げて下さい!

 

お父さん、お母さんは知っていても手を挙げちゃだめですよ!(笑い)すごいね。たくさん手が挙がりましたね。たくさん、手を挙げてくれて、ありがとう。じゃあね、そこの元気のいい僕、大きい声で、皆さんに教えてあげようか。「明治時代です!」

 

はい、ありがとう。大正解ですね。皆さんわかりましたね。日本人が、牛肉を食べるようになったか、明治時代っていう時代からです。今日はまず、明治時代っていう、言葉を覚えて下さい。

 

はい、次のクイズです。その明治時代っていうのは、今から何年くらい前に始まった時代ですか? 正解は148年前に始まったんです。今、一番長生きしている、おばあちゃんが116歳だそうですから、そのおばあちゃんのお父さん・お母さんが生まれた頃に始まったのが、明治時代です。はい、どのくらい昔の話しか、わかりましたね。

 

では、なんでそれより前は、日本人がお肉を食べなかったか、わかりますか?それは、明治時代より前の時代に、政治家の人と、ある人達の仲が良かったからです。ここが3番目のクイズですが、その、政治家の人と仲が良かった人達っていうのは、誰ですか?はい、正解はお寺のお坊さんです。

 

明治時代の前は、江戸時代っていう時代でしたが、江戸時代には、政治家の人は、お坊さんの言うことを政治に採り入れていたんですね。

 

お坊さんは、生き物を殺して食べることを、「殺生」って言いますが、そういうことをしたら「ダメ」って、お坊さんはいつも教えていますから、それがそのまま日本の法律になって、全部の国民が牛肉を食べちゃダメっていうふうに決められていました。そういう風に決まっていたのが江戸時代っていう時代です。

 

さて、政治家の人とお寺のお坊さんの仲が良くて、政治家がお坊さんの言うことを良く聞くと、世の中が平和になりますよね。だから江戸時代はとっても平和な時代でした。

 

ところが、時代が変わって、明治時代になると、今度は政治家の人は、江戸時代の政治家と違って、たとえ、お坊さんの言うことを聞かずに、仲良くできなくなっても、日本人はお肉を食べた方が良い、って考えるようになったんですね。

 

そう考えたのは、なんででしょう?それは、その頃の日本人の体がとても小さかったからなんです。誰と比べて小さかったのか、はい、ここがクイズです。考えてみて下さい。

 

それは、西洋の人達です。江戸時代の最後の頃に、アメリカとかイギリスとかロシアとか、西洋の人達が、日本にやって来るようになったんですが、その人達とおつきあいするようになって、日本人は、西洋の人達はみんな体が大きい、っていうことに気がついたんですね。そして、これはどうもマズいって思ったんです。体が小さいとケンカをした時負けてしまいますね。

 

この頃、西洋の国は軍隊が凄く強くて、中国とか、ベトナムとか、シベリアとか、日本の隣の国を、どんどん征服してたんですね。だから、政治家の人は、日本も軍隊を強くしないといけない、そのために日本人の体を大きくしないといけないって思ったんです。

 

それで、なんで西洋の人は体が大きいんだろう、不思議だな、って思って調べてみたら、牛肉を食べているからだ、っていうことがわかったんです。お肉を食べないと、人間の体が成長しませんね。そういうわけで、明治時代に法律が変わって、日本人も牛肉を食べていいですよ、っていうことになりました。

 

そうすると、お坊さん達と仲良くできなくなりますけど、日本が征服されると、そっちの方が困りますから、しょうがなかったんですね。

 

さて、そういうわけで、牛肉を食べていいですよ、っていうことになったわけですが、ここで日本人が困ったのは、お肉をどういう味つけで食べるか、ということです。今までお肉を食べてなかったので、食べ方を発明しないといけなかったんです。

 

この時はちょっと困ったんですけど、うまいことに、この時代の人で、すごく発明の上手な人がいて、牛肉のおいしい食べ方、それも日本人がスゴクおいしい!って感じる食べ方を発明したんですね。誰が発明したか、というのは、実はよくわからないんですが、それがすごく良いやり方でした。

 

さて、ここで次のクイズですが、明治時代に発明された、お肉のおいしい食べ方っていうのは、次の内のどれでしょう? ステーキですか、しゃぶしゃぶですか、すき焼きですか?

 

はい、その食べ方がすき焼きなんです。どういう風に作るかって言うと、お肉と、醤油と砂糖を一緒にして、火にかけるっていうやり方です。そうするととてもおいしい料理になります。例えば、親子丼を好きな人はいますか!はい、親子丼も、鶏という動物の肉と味付けは醤油と砂糖ですね。だから、この味付けとすき焼はだいたい同じ食べ方です。

 

江戸時代に、牛肉は食べちゃダメ、っていうことになっていたんですが、鶏肉は食べても良かったんですね。だから日本人は鶏肉のおいしい食べ方を知っていて、その食べ方を大好きだったんですね。

 

だから、明治時代になって、牛肉を食べてよい、どんどん食べましょう、っていうことになった時に、日本人は、日本人が昔から好きだった料理の仕方を応用して、牛肉を食べるようになったわけです。食べ物以外のことでも、日本人は江戸時代から勉強家で、いろんな基礎の勉強ができていましたから、明治時代になって、西洋の人から新しく、知らなかったことを教えてもらった時に、それと組み合わせることができたんですね。つまり、応用問題もできたんです。スゴいでしょう?

 

これが日本人の偉いところです。

 

ステーキは西洋人と同じ食べ方ですが、最初日本人はあまり好きでなくて、すき焼きの方が好きだったようです。しゃぶしゃぶは、ずっと後になって始まった食べ方です。その前に日本人は、昔からやっていた、料理方法の応用問題で、すき焼っていう食べ方を発明したんですね。ここが、今日のポイントですから、覚えて帰りましょう。

 

日本人は、明治時代になって、昔から知っていたことや知っていたことやり方と、新しく西洋人から習ったこととを結びつけました。これがスゴクうまくいったんです。いろいろな分野でそういうことがありましたが、一つの見本がすき焼き、っていう料理の発明でした。覚えましたか、ここが日本人の偉かったところです。

 

今、おじさんがお話ししたことは、クラスのみんなは、たぶん知らないでしょうし、大人でも知らない人がいっぱいいると思います。みんなは、せっかく覚えましたから、夏休みが終わって、学校が始まったら、このこともクラスのみんなに、どんどん教えてあげましょうね。きっと「もの知りだねー」って褒めてもらえます。

 

これからも、学校の勉強以外にも、どんどんいろんなことを習って、もの知りになって下さい。おじさんの話しはこれで終わります。

 

聞いてくれて、どうもありがとう。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.367連続更新を達成しました。

 

Filed under: 食育ナウ — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

新知事の「すき焼き思い出ストーリー」

おお、小池百合子・新知事に「すき焼き思い出ストーリー」があったのですねえ。

『プレジデント』に掲載された「幸せな老親介護、私の体験」という記事によりますと、知事は、

「3年前、肺がんの母を自宅で看取りました。母が『私の好きなすき焼きは病院では出てこない』と言ったからです。」

ということなのです。

お母さまは「大好きだったタバコを一服して、庭のバラを見ながら旅立ちました。」

「愛犬や介護をサポートしてくれる人たちに見守られながら亡くなったのは、彼女にとっての幸せな終わり方だったと思います。私自身、たくさんのことを学ばせてもらいました」

自宅介護を決めたのには、すき焼き以外にもいくつか理由があり、

・お父様の最期を看取れなかったことへの後悔。

・お母さまご本人が『最期まで好きなことをしたい。不自然な方法での長生きはしたくない』と言ったこと。

・お母さまが病院での検査疲れで弱ってしまったこと。

・末期がんは、患者が旅立つまでの期間が短く、短期決戦なので看取りまでの予測が立てやすいことから、さまざまな病気の中でも自宅療養に向いていると言われていること。

・・・だったそうです。

お母さまにとっては、「最期まで好きなこと」の一つがすき焼きだったのですね。

かなり遅まきですが、ご冥福をお祈りします。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.366連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

リクルート用サイト

リクルート用のサイトを創っています。

弊社のような街場で一軒だけやっているような店がリクルート用のサイトを創るとは分不相応な出費だと思いますし、常時募集しているわけではないので、無駄になる面もあるかもしれません。

しかしそれでも着手した理由は、大手さんが運営する就活ポータルサイトに物足りなさを感じて来たからです。

中小企業の採用活動というと、大手さんが運営する就活ポータルサイトに募集広告を出すのが普通ですが、ああしたサイトには広告主が自由に使える部分が多くありません。

とにかく条件面・待遇面を合法的に・「コンプラOK」な形で明示することに力点が置かれていて、その会社がどういう考え・志で運営されているのか、表現する部分がとても小さいのです。その会社の「特徴」を表現する欄は在ったりしますが、私に言わせれば「特徴」程度じゃあ不足なんですよね。

その会社の根本を描かなけりゃあ、ね。

だいたい、人が働くのは、条件・待遇のみにあらず、ですよね。

だから、今回のリクルート用のサイトは、あえて条件・待遇を明示せず、弊社や私が、働くということについて、どう考えているかを表現するサイトにする積りです。必要な情報は、就活ポータルかハローワークに掲示しておけばよいのです。つまり併用します。

さてさて、概要を載せますと・・・

 

1老舗は日々創られる

「ちんや」で働くことは、お客様の歴史を創ることです。そして、それは同時に老舗「ちんや」の歴史を創ることでもあります。(その意味は別掲)

2思い出を売る

すき焼きを売ることは、思い出を売ることです。(その意味は別掲)

3浅草に生きる

街に生きることは、街に生かされることでもあります。(その意味は別掲)

4肉好きスタッフが集まる店

「ちんや」スタッフは皆元々「肉好き」で、入社後さらに肉について学び、その知識で選びぬいた肉を提供して、お客様を喜ばせたい!という人達です。

だから福利厚生も「肉づくし」。(その詳細はこちら)

5ユニークな取り組み

お客様との絆を深めるために、「ちんや」ではユニークな取り組みをしています。

・『すき焼き思い出ストーリーの本』(創業135記念出版)

・「すき焼き思い出ストーリー特設サイト」(創業130記念事業)

・すき焼き川柳包装紙

・「記念日割引」(詳細は別掲)

6ひとあじ違う採用方法

選考面接の前に「お客様体験」をしていただき、「ちんや」の味を体感していただきます。無料です!(大声)

 

どういう反応があるか、楽しみです。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.365連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

プレミアムフライデー

結構な話しだとは思います。

しかし、この手のアイデイアは過去に何回も浮かんだり消えたりしていて、定着したことがありません。定着させるための「本気度」が問われると私は思います。

「本気度」が問われるというのは「時短」です。報道によりますと・・・

「個人消費を喚起するため、政府や経済界が月末の金曜日の午後3時に退庁・退社し、夕方を買い物や旅行などに充てる「プレミアムフライデー」構想を検討していることが12日、分かった。経団連は政府に先行して、10月にもプレミアムフライデーの実行計画を策定する方針だ。」

「政府は2020年をめどに名目国内総生産(GDP)の600兆円実現を掲げている。経団連は、実現には現在300兆円にとどまっている個人消費を360兆円に引き上げることが欠かせないとみている。」

「プレミアムフライデーは、早い時間での退庁・退社に合わせて夕方に流通業界や旅行業界、外食産業などが連動してイベントを開催するという内容。流通業界には商品価格を引き下げる「セール」への抵抗があることを踏まえ、イベントによる消費喚起を前面に押し出していく。」

セール以外の方法で消費喚起というのは、まったく正しいと私も思います。「民泊」よりよほど良いとも思います。

ここでご提案申しますが、「毎月月末」とか決めて無理やりやろうとして結局失敗するより、回数を限定して、その日だけは必ずやる、という風にしてはいかがでしょうか。

例えば9/23。祝日の9/229/24土曜に挟まれています。

例えば10/7。3連休の前日です。

例えば11/4。祝日の11/311/5土曜に挟まれています。

逆に12月は、ただでさえ休日が多いので、さらに休むと仕事に支障を来しますから、あえて「プレミアムフライデー」は無しにする。

2月も、元々28日しかないので、「プレミアムフライデー」は無しにする。

・・・という感じです。

しかし、何はともあれ、結局は「本気度」です。「なるべくやる」では今までと一緒です。

「本気度」を是非、お示し願いたいです。

継旦連の社長様方が「プレミアムフライデー」推進サイトに動画で登場し、自分の趣味を披露した上で、「金土日でマラソン大会に出ます」とか「金土日で茶席を持ちます」とか宣言するのとかはどうでしょう?

それにつけても、「プレミアム」って、なんで横文字にしないといけないんだろう。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.364連続更新を達成しました。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

金魚文化

「すみだ水族館」で「お江戸の金魚ワンダーランド」を開催しているというので、ある猛暑の日に行って来ました。

「すみだ水族館」はスカイツリーの下に在ります。その回廊部分にあたる「江戸リウム」を使って、金魚展は開催されていました。

100mにわたってさまざまな金魚たちを展示するゾーンが出来ていまして、江戸の金魚文化や歴史などを学びながら楽しめます。

ワキン、リュウキン、ランチュウ、エドニシキ、アズマニシキ、チョウビ、タンチョウ、ピンポンパール、チョウテンガン、スイホウガン・・・

聞けば、江戸時代前期には既に大々的な金魚養殖が始まっていたのだそうです。

文化文政期には現在の三大養殖地(=愛知県弥富市・奈良県大和郡山市・江戸川下流域)が出来て、大量生産・流通体制が確立しました。金魚の価格も下がったことから金魚飼育が庶民にまで普及し、品評会も催されるようになり、浮世絵にも頻繁に登場するようになります。

なるほど、「金魚文化」と言って良いワールドですねえ。

関連企画として「夏休み・わくわくきんぎょ検定」もやっていました。

「すき焼き通検定」の参考にしようと思って、挑戦してみましたが・・・

「金魚の水槽やパネルを見て、金魚に関するクイズ 5 問に答えます。全問正解できたら検定用紙に合格スタンプと特別金魚スタンプを押してもらえます。」

けっ、これは餓鬼向けかあ。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.363連続更新を達成しました。

Filed under: 浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

最後の3年間

年配の方が、その最晩年にすき焼きを好んで召し上がる、というのは私もよく聞く話しですが、先日阿川佐和子さんのインタビューの中でも、そういう話しが出てきました。

そのインタビューは、佐和子さんが父で作家だった阿川弘之先生の介護生活「最後の3年間」を語ったインタビューでした。

弘之先生は90歳を超えて、自宅で転倒して骨折、誤嚥(ごえん)性肺炎も併発させました。その頃80代半ばだったお母様も、もの忘れが始まって耳も遠くなっていたので、自宅での介護は困難→病院から老人ホームに転院することになりました。

当初老人ホームをいやがっていた弘之先生は、

「意外なほど素直に転院を受け入れ」

「父がその病院を気に入ったのは、職員の対応のよさはもちろん、病院食がたいそうおいしく、お酒も飲め、外出もできると自由な環境だったからです。とはいえ、入院が長期化するにつれ、いくらおいしくても病院食に飽きてくるんですね。例えば、熱々で食べられないとか」

「そこで思いついたのが、週に1度の母との見舞いのときに、鍋料理を作ること。」

で、

「病院の許可をいただき、病室内に電磁調理器を持ち込んで、すき焼きをしたり。味が濃いだの安い肉を食わすなだの、文句を言いながらも、父はとても喜んでくれました」

「こうして、介護生活は軌道に乗った」

私の知人にも病院食に関わっている人がいますが、最近だいぶ美味しくなってきたと聞きます。

しかし、衛生管理の必要から、調理した後いったん冷凍することが多いようですね。これが「飽きる」「熱々が恋しい」ということに繋がるのだと思います。

そういう場合に、すき焼きはベストですね。

阿川さんの場合、病院の理解があって、本当に恵まれていたと思います。

1周忌だそうですが、ご冥福をお祈り致します。

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.362連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

櫻川イワンの恋

小説家の三田完先生と御縁が出来まして、先生に戦前の浅草花柳界を舞台にした短編小説が在ったことを知りました。それは

『櫻川イワンの恋』。

先生は2000年に、この作品で第80回オール讀物新人賞を受賞されています。

さて戦前の浅草花柳界で活躍したというのは、主人公の櫻川イワン。モデルはウォーレンさんという実在のロシア人で、数奇な生涯を送った人でした。

ウォーレンさんは、ロシアの軽業師の息子として生まれ、日本巡業中でしたが、そこにロシア革命が起こって、日本にとり残されてしまいます。そしてさらに関東大震災で避難している最中に浅草と縁が出来て、幇間に成ったというから、まったく事実は小説より奇なり、です。

そしてそして幇間と芸者の恋は、絶対にNGだというのに、芸者に惚れてしまい・・・

という展開です。面白いです。

戦前の文物を描く描写力も流石。勉強になりました。ありがとうございました。

出版社: 文藝春秋 (2009/6/25)

ISBN-10: 4163282203

ISBN-13: 978-4163282206

やはり浅草花柳界に実在した「ギター芸者」(モデルは能里枝姐さん)と人気芸人「あきれたぼういず」の交際を描いた短編『ひょうたん池』も同じ御本に収められています。

 

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.361連続更新を達成しました。

Filed under: 浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

モンスター・ペアレント

保育の現場の窮状を伝える記事を読んでおりましたら、保育士さんのストレスの種がいくつか紹介されていて、その中に「モンスター・ペアレント」というのがありました。

そうなんですってねえ。まったくお気の毒です。

・・・と、そこまでは特段新鮮味のない記事でしたが、その先に「モンスター」の具体例の、あるお母さんのことを書いた部分を読んで、私は

うーむ・・・

とうなってしまいました。

そのお母さんは、食品添加物に対して大変意識が高く、わが子専用の調味料を持ち込んでいたので、「モンスター」と言われていたのです。

うーむ、食品添加物に対して意識が高いのは「モンスター」なのか。

食品添加物はもちろん良くありませんが、アレルギーと違ってすぐ発症するわけではないです。

人造の成分を食べ続け、お子さんがそれを美味しいと感じるようになった結果、正しい味の食品=正しい栄養源である食品を美味しいと感じなくなり→最終的に代謝全般が不調に陥って→病気に成る、というのが、食品添加物の良くない点です。

だから、いつどういう病気になるか分かりません。

今時のスーパーで「醤油」という商品名で売られているものの内、「本醸造」と書かれていないものには、人造の成分が入っているのが普通です。

それなのに、その程度のことを気にして、わが子専用の調味料を持ち込むから「モンスター」と呼ばれたのです。

うーむ、まともなものを食べようとした人が「モンスター」とは困った世の中に成ったものです。

いや、待てよ、違う、違う、食品添加物に対して意識が高いこと自体が「モンスター」なのではなく、わが子専用の調味料を持ち込んだことが「モンスター」ですよね。

その保育園の、全員分の醤油を持ち込めば良かったんです。

そうだ、そうだ、お母さん、ここは気前よく行きましょう!

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.360連続更新を達成しました。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

韓国の老舗②

韓国の大学の学生さんから「東都のれん会」広報委員会にインタビューの申し込みがありました。

なんでも日本の老舗について研究なさっているとか。

なんと、奇特な若者達ではないですか!

しかも、事前に送られてきた質問内容を読んだら、核心を突いたものばかり。私は驚嘆したと言っても良いでしょう。

以下は、質問と回答で、今日は二日目です。韓国側の事情も知れて面白いので、お読みください。

なお、これは私が個人的に用意した回答であって、会の公式見解というわけはないですので、念ため。

Q. 老舗も「移転」をすることがありますか。そうだとしたら、その後も「老舗」と呼ばれますか。韓国では、「移転」をすると、その店の外観・内観が変わり、それまでに客が消費してきたものの一部が変わってしまうと考え、以前とは違う店になるという認識がある。もし、移転をしてもそれが老舗として維持されるなら、その理由はなんなのか。

A.老舗の本質は、ハードウエアではなく、ソフトウエア(品質と信用)なので、まったく問題ありません。実際、東京のほとんどの老舗店は1923年の大地震と1945年の大空襲で焼けており、外観・内観は以前と大きく異なっています。

そもそも日本は天災大国、火災大国で、戦乱も多かったので、被災と復興を繰り返す経験の中で、老舗に本当に必要なものは、決してハードウエアではなく、ソフトウエアであると多数の日本人が知っています。

 

Q. 維持されないとしたら、その理由はなんなのか。

A.品質と信用を最優先していないからでしょう。そもそも、そういう店は「老舗」ではありません。

Q. 日本においては、老舗に対して「誠意を込めた提供品」などの「良きイメージ」がると認識している。老舗を経営しているものとしてではなく、1人の消費者として、そういった老舗に対する「良いイメージ」がどうやって形成されると考えるか。また、そういった信頼ベースの「良いイメージ」はどうやって獲得されるものなのか。

A.老舗店が、日々の品質管理、お客様との約束事の履行、それを気の遠くなるほどの年月に渡って続けていて、消費者もそれを認識していること。

 

Q. 日本で、お店が100年以上維持される理由として、「職人の努力と社会的条件」、「政府の支援」、「消費者の認識」など、どういった要因が重要であると考えられるか。

A.第一は「消費者の認識」と「社会的条件」。「職人の努力」も重要ですが、永い歴史の中には、それが出来ない場合もあります。その時代を支えてくれたのは、お客様(=消費者です)。「政府の支援」は全く寄与していません。

 

Q. 韓国において、メディアによる一時的老舗ブームが発生。それを原因に、味とサービスを維持できないという副作用が観測された。日本では、そういった副作用を経験した店があるのか、また、どう解決されたのか。

A.日本でも少数ですが、在ります。周囲のアドバイス・批判が行き過ぎを抑制します。

 

Q. 新しく、「老舗」という基準を通過する店が出ているのか。

A.少数ですが、あります。

Q. その理由はなんだと思いますか。

A.創業者の経営理念が老舗的で、それが継承される場合もあります。

 

Q. 現在、新しく開業されるお店のうち、「老舗」を目指す店舗はどのくらいあると考えるか。新しい「老舗」が形成されることが期待できるのか。

A.うーん、それは正確には分かりません。

 

Q. 大企業の参入により、同分野の商品を扱う老舗が退かれるという事案はあるか。どういう解決策があるか。

A.そういう事案も勿論日本でもありますが、最終的には老舗小資本側の勝利に終わります。大企業は多額の資本を集めて事業をしていますから、出資者に配当を出さねばならず、どうしても品質や信用より利益を優先する傾向にあります。それがお客様から支持されないのです。またそれぞれの経営者の事業継続意欲を比較した場合、老舗小資本側が強固で、大資本側が弱い傾向があります。

 

Q. 日本の若い世代は、老舗に対して、「古い」「退屈」「洗練されていない」などのイメージをもっているか。そうである場合、老舗はどういう対処をしているか

A.日本の若い世代の、老舗に対するイメージは分裂しています。たしかに「古い」「退屈」・・・と思っている人もいますが、すべての人ではありませんし、逆に老舗は「懐かしい」と感じる若い人も多いです。お爺さん、お婆さんとその店に行って、食事したことがあるからですね。

老舗の歴史は、お客様の歴史でもあります。お客様が着実に家族の歴史を重ねて行く間、たいていは老舗店を利用下さいますし、若い方(お子さん・お孫さん)も一緒にその味を体験して下さいます。それで懐かしいのです。

そもそも老舗は、主と従業員だけが創るものではなく、お客様と、その背後にある社会が創るものです。

日本社会が健全である限り、ことさら若い人の動向に気を揉む必要はないと私は考えます。

(終わり)

 

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.359連続更新を達成しました。

 

 

 

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

韓国の老舗①

韓国の大学の学生さんから「東都のれん会」広報委員会にインタビューの申し込みがありました。

なんでも日本の老舗について研究なさっているとか。

なんと、奇特な若者達ではないですか!

しかも、事前に送られてきた質問内容を読んだら、核心を突いたものばかり。私は驚嘆したと言っても良いでしょう。

以下は、質問と回答です。韓国側の事情も知れて面白いので、お読みください。

なお、これは私が個人的に用意した回答であって、会の公式見解というわけはないですので、念ため。

 

Q. お店の伝統を受け継いでいこうとする職人たちのもっとも苦労する点のひとつとしてあげられるのが金銭面の問題であると考えられます。日本では、国や自治体レベルで、老舗を維持しようとする行政的な動きはありますか。

A.ごく少数の例外を除いて、そういう事例はありません。中小企業支援政策というものはありますが、それは競争力の弱い企業を支援するもので、老舗にしぼって支援するものではありません。老舗店の側もこれまで政府からの支援を期待して来ませんでした。

しかし今世紀に入って「観光立国」が国是として採用されてから、政府の中にも老舗に目を向ける動きが出てきつつあります。現在は転換期です。

 

Q. 韓国では、売上を多く出している店でも、その継承仮定で分裂が生じてしまい、うまく老舗が引き継がれないという事案が発生しています。仮に日本でそういった事案がある場合、どういった解決法が考えられますか。

A.日本でも、そうした問題を早く有効に解決する方法はありません。分裂した諸店の中で、お客様(=消費者)からの支持を獲得した店が最終的に生き残ります。複数が生き残って「共存共栄」の状況に成ることもあります。

 

Q. 韓国では、子が家業を引き継がずに老舗が門を閉じてしまうという事案が発生。そういった家族間継承について、日本ではどういうイメージがあるか。また外部者継承についてどうお考えでしょうか。

A.家族間継承に関する見方は日本人の中でも分裂しています。素晴らしいものだと捉える人も在り、忌まわしいものだと捉える人もいます。会社が大きければ後者の見方、小さければ前者、業歴が長ければ前者が多いです。外部者継承は、元々関西圏ではよく採用されていて、まったくないわけではありません。

 

Q. 日本において、有名一流大学を出たにも関わらず老舗を引き継ぐというニュースが韓国でしばしば報道される。韓国においては、それは個人の「成功」とイメージされないので驚かれる。日本における個人の「成功」とは何を意味するのか。何を意味してきたのか。

A.何が成功かを他人や社会に決めて欲しいと思わない人も多くいます。自分の成し遂げたいことを成し遂げたら、それを「成功」と思えば良い、それだけです。

日本でも以前は商業に従事することが卑しいこととされてきましたが、1868年に明治維新という革命があり、ほとんどの武士がクビになった後意識に変化がありました。クビになった武士たちが民間に入っていって、武士の価値観を持ったまま、(=「士魂商才」「論語とそろばん」で)民間産業に従事するようになり、営利会社に従事する人生が卑下されなくなりました。「一身独立して一国独立す」と言って、それが国益にかなうことだとも言われました。

 

Q. 日本社会では、「店を引き継ぐ」という行為が、お金を稼ぐこと以上のどんな意味をもっているのか。

A.その二つは「手段と結果」の関係です。お金を稼がなければ店を維持し・引き継いで行くことはできません。ですので稼ぎますが、稼ぐこと自体が自己目的ではありません。

稼ぐこと自体が目的であるような人生は、価値が無く馬鹿げています。それはマフィアの人生であり、ヤクザ者の人生です。

 

Q. 韓国では、有名店の名前を盗用した店が、オリジナルの有名店を押しのけてしまうという事案が発生。日本でこのような自体が発生した場合どう対処されるのか。どう解決しようとするのか。

A.当然商標権裁判を起こすことができます。日本の司法は基本的に信頼できます。また「東都のれん会」のような権威のある団体に入ることで、自店の正統性を補完することもできます。また江戸時代の寺子屋教育の影響により、社会全般の傾向として「信」の価値観が重んじられており、名前の簒奪者は批判を浴びます。

 

Q. 韓国では、メニューをあまりにも大衆化させてしまって、本来のその店の伝統・特色が失われてしまうという事案が発生。日本にも同じような問題に悩まされる店舗があると認識。現代の消費者のニーズに合わせながら、また店本来の伝統を失わないために、どういった努力がされているのか。

A.日本では成功している事例もあります。元々の店と「セカンドラインの店」を明確に区分し、それぞれが適切なマーケテイングを行えば成功する場合もあります。

 

Q. 日本において「老舗」とはどういう意味合いをもつのか。単に、経営年数が長いところか。あるいは、それ相応の威厳と信用を有している店舗か

A.もちろん後者です。

 

Q. そういう威厳や信用を勝ち取るためになされる努力はどういったものか。

A.日々の品質管理、お客様(=消費者)との約束事の履行、それを気の遠くなるほどの年月に渡って続けること、それしかありません。

(質問はまだまだ在りますので、続きは明日の弊ブログにて。)

 

追伸

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.358連続更新を達成しました。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)