私の街
インバウンドの観光客に親切にして差し上げるのは、勿論善いことです。親切にしよう!というキャンペーンを展開するのも、善いことだと思います。
でも、その動画の決めセリフは、少し言い過ぎだと思いますねえ。
私が言い過ぎだと思ったセリフは、
「Tokyo、初めての街なのに私の街みたい。」
・・・動画の主人公は、若い黒人女性でいした。
黒人といっても、アフリカ大陸からやって来たようには見えません。服装や髪形、持ち物から想像するに、センスの良い人で、おそらくはアメリカ合衆国人。そのセンスの良い人が和のグッズを買うために東京にやって来るのですが、迷ってしまい、鉄道職員などに助けられて店に辿り着く、というのが、その動画の筋でした。
で、結論部分が、
「Tokyo、初めての街なのに私の街みたい。」
そうですかねえ。私は、ライターさんの勇み足という感じがします。
だいたいですね、そのライターさん自身「Tokyo=私の街」と思っておいででしょうか。「Tokyo=私の街」と思っている都民は、どの位いるでしょうか。
本当は生まれ育った地元が好きなのだけれど、気にいった仕事がないから東京で働いている、という人が実際は多いですよね。
それをさて置いて、外人さんに「私の街みたい」と言われてもねえ。
話は少し逸れますが、先日私は、人口12万人程度の関東地方の小都市を訪問する機会がありました。
少し時間があったので、中心商店街を歩いてみましたが、それはそれは気の毒な感じでした。戦前は繁栄した時期もあったと聞きますが、今は閉まっている店が大変多いです。
それでも一時よりは良くなっていて、いったん東京に出た若い人が戻って来て、店を開くケースもあると聞かされましたが、私は観た範囲では、そういう店が多いとは言い難いように見えました。
不動産屋さんのガラスに掲示されている家賃は、や、安い、安過ぎですよ。
うーん、地方都市はやはり大変なのだなあ、と痛切に感じました。
人が自分の街について「私の街」と感じられる関係が、もちろんベストですが、この国の在り方が今のままでは、それはなかなか実現しがたいように観えます。
追伸
「ちんや」は、誠に勝手ながら、下記の通り休業させていただきます。ご諒承下さいませ。
平成28年8月29日(月)~9月1日(木)(夏休み)
追伸②
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978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
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