本来の趣旨
今年の「ホワイト・デー」「バレンタイン・デー」は、土曜日に当たったせいもありますが、「ちんや」の店は忙しく営業させていただきました。そればかりか、その前日の「ホワイト・デー・イブ」「バレンタイン・イブ」の金曜日も忙しく営業させていただきました。
在り難いですね。
在り難いけど複雑な気分です。
なんで、こうも日本人って、外国由来の祭事、しかも本来の趣旨とかなり違っている祭事が好きなんでしょうか。
そう言えば、去年の「母の日」「父の日」も忙しかったのを思い出しました。「母の日」もアンナ・ジャービスの「母の日」とはちょっと違いますが、日本に定着しています。
だいたいアンナ・ジャービスは母アンの生前に「母の日」をしていません。
アンの死後2年目の日に、南北戦争中に負傷兵の衛生状態を良くするため敵味方問わず奉仕したアンを記念する集会を開いたのが、アンナ・ジャービスの「母の日」でした。
そう、そもそもの「母の日」は3回忌の法事だったのです。白いカーネーションは、法事の来会者の為に用意された引き物でした。
だから、「母の日」をビジネスとして盛り上げようと企んでいる業界の皆さんに私は申し上げたい、既に亡くなったお婆さんにも人々の目が向くよう、せめて工夫していただきたい。そう私は思います。
さて、「ちんや」はどうするか、ですが、
「母の日」を「女正月」にしようと思っています。つまり、母の家事休業日にします。
お母さんは家事を休業して、お父さんと息子さんですき焼きを作ろう!
というキャンペーンをする予定です。
これは精肉売店の催事でして、お子様用すき焼きマニュアルを用意したりします。
それすらメンド臭い!という父子は、まあ、飲食部門に上がって食べていただいても良いんですけどね。
もともと日本の正月十五日の行事だった家事休業日を、ここでやるのはベストではないかもしれません。
しかし1月15日は、いつの間にか、元服=「成人の日」に取られてしまっています。それに、1月はなにかと慌ただしくて、こういう企画がやりにくいです。
次善の策として、母の誕生日=母の家事休業日という案もあり得ますが、
誕生日は人それぞれですからキャンペーンはしにくいですね。
色々申しましたが、結局、誠に勝手ながら、
「母の日」
=母の家事休業日
=父と息子ですき焼きを作る日
とさせていただきます。
当然、本来の趣旨とかなり違いますが、お母さんのお母さんのことも想いながら食べていただくということでご勘弁いただきたいと存じます。
お父さん、頑張って下さい。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
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