泉州タマネギ

1月のことですが、TV番組『秘密のケンミンSHOW』が「大阪のすき焼き」を採り上げていたので、視てみましたら、

大阪のすき焼きには必ずタマネギが入る!

と言っていました。たしかに関西ではタマネギが入ることが多いです。

その理由として番組は、先週のタマネギが有名だから、いや、泉州のタマネギが有名だから、と説明していました。

現在ではタマネギと言えば北海道なので、泉州すなわち大阪府南部が有名ということをご存知ない方が多いと思います。

現在の県別生産量は、

北海道が1位。全国の生産量の半分以上を生産していて、ダントツです。

大阪は15位とはいうものの、北海道の100分の1以下の量です。

しかし、歴史を遡りますると、たしかに泉州でタマネギ栽培が盛んだったことがあります。

なんでも、泉州タマネギの栽培の歴史は明治時代まで遡るとかです。明治12年、坂口平三朗という人が神戸のアメリカ人からタマネギを分けてもらい、それを栽培したのがはじまりで、最盛期にあたる昭和35年には約4000haまで栽培面積が増加したそうです。

その後北海道などに押されて、栽培面積は減少の一途、現在では60haあまりしかないそうです。

この、泉州タマネギの全盛期が、すき焼きの全盛期に重なりますから、その伝統が今でも続いているということのようです。

なにしろ、関西のネギは青ネギで、関東人が食べない青い部分を食べますから、どうしても関東の白ネギに相当する具が他に欲しかったのだろう、と想像します。

その、白ネギに相当する具が同じ府内に在れば、使うのは当然のことですね。

芦屋市のホテル竹園芦屋さんでは、すき焼きをする時に、まずタマネギと青ネギを鍋に入れて、それから肉を入れます。面白い方法だと思います。

さてさて、弊店はもちろん関東なので、タマネギは普段入れておりませんが、春の新タマネギのシーズン~つまり今ですが~には「変わりザク」として、期間限定でタマネギを売っています。

使うのは、生産量が全国4位の愛知県のものです。

元々タマネギは乾燥させると保存性が良かったので、船上の食事として好まれ、船で世界中に広まりました。「神戸のアメリカ人から」という起源は、それです。

その歴史を振り返りながら、しかし、今では保存性を優先させることはありませんから、美味しい時季に食べれば良いのだと私は考えます。

よろしかったら、是非。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.833日連続更新を達成しました。

Filed under: すき焼きフル・トーク,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)