但馬牛①

第20回「すきや連」は、芦屋市の「ホテル竹園芦屋」さんで開催しました。

「竹園」さんは、珍しい肉屋発祥のホテルとして知られ、またプロ野球・巨人軍と甲子園球児の定宿としても知られています。

今回も50人近くの、全国のすき焼き関係者が集結して大盛況でした。多くのスポーツ選手が愛した、但馬牛のすき焼きを堪能させていただきました。

さて、今回は例会の前に、いたって真面目な勉強会「但馬牛」セミナーを拝聴しました。

講師は、兵庫県立畜産技術センター研究員で獣医学博士の岡章生先生。

但馬は日本で最も古くから牛の交配の研究をしている土地柄で、その最先端の研究成果を聴けるのですから、実に在り難いことでした。

さてセミナーの要点を挙げますと、

1肉の中に占める脂肪の割合が30%程度であると、人は最も美味しく感じる。

2脂肪の中に占める一価不飽和脂肪酸の割合が60%程度であると、人は最も美味しく感じる。

3牛の体重と美味しさに関連性がある。体重が480キログラム以上に成ると、美味しさ評価が落ちて行く。

この3点は私が、このブログで日頃書いていることとほぼ同じです。

1を言い換えれば、サシの入り過ぎは美味しくない、「粗ザシ」は美味しくない、ということです。

2を言い換えれば、一価不飽和脂肪酸というのは、融点の低い脂のことですから、融けの良い脂が美味しい、ということです。

3についても、その通りと思います。これを基準に体重制限を設けている兵庫県のブランド運営方針は正しいと思います。

一つだけ先生と意見が一致しなかったのは、アミノ酸つまり旨味成分の件です。

肉の中のアミノ酸の多さと、食味評価の結果にあまり強い関連性が出なかった、それよりも脂と食味との関連性が強かったとのことで、これは体感と一致しません。

この件について、より熟成させた肉で評価すれば違う結果が出るのでは、と私は考えます。

また実験方法は、焼き肉としゃぶしゃぶでした。すき焼きにすれば、メイラード反応すなわち糖分とアミノ酸が熱で反応すること~が目の前で起きますから、きっと食味評価にアミノ酸が強く関連してくるはずだと考えます。

さて、コ難しい化け学の話しは、この位にして、兵庫県のブランド管理の話しもしておきましょうか。

<この話しは長くなるので、明日のこのブログで!>

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.838日連続更新を達成しました。

Filed under: すきや連,すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)