但馬牛②
第20回「すきや連」は、芦屋市の「ホテル竹園芦屋」さんで開催しました。
「竹園」さんは、珍しい肉屋発祥のホテルとして知られ、またプロ野球・巨人軍と甲子園球児の定宿としても知られています。
今回も50人近くの、全国のすき焼き関係者が集結して大盛況でした。多くのスポーツ選手が愛した、但馬牛のすき焼きを堪能させていただきました。
さて、今回は例会の前に、いたって真面目な勉強会「但馬牛」セミナーを拝聴しました。
講師は、兵庫県立畜産技術センター研究員で獣医学博士の岡章生先生。
但馬は日本で最も古くから牛の交配の研究をしている土地柄で、その最先端の研究成果を聴けるのですから、実に在り難いことでした。
さてセミナーの要点の中で、昨日は化け学方面のことを挙げましたが、今日はブランド管理の話しです。
やはり要点を挙げますと、
1但馬牛の血統は兵庫県が一括管理していて、他県に種(=精子)を出さない。
2その県内の血統の牛しか認めない。
3牛を屠殺する場所も県内の市場に限っていて、他県市場で屠殺された場合は認定しない。
この3点により但馬牛は他のブランドにない純粋性を保っていると言えます。なかなか徹底しています。
鎖国していると言っても良い状態で、実に結構なのですが、デメリットもあります。
まず近親交配が心配です。血が濃くなると特徴も濃くなりますが、病気が心配になります。
そこで県は、但馬の中でも遠い血統同士を合わせようとしているそうです。
デメリットの2は流通する範囲が狭い、ということです。
松阪や近江、米沢は、東京へ牛を生きたまま運び、そこで屠殺したものも認めていますが、但馬はそれを認めないので、関東では大変希少な存在になっています。
このブログの読者さんでも、但馬は食べたことがないなあ~という方が多いと思いますが、その理由は、これです。
その一方で、最近では海外への輸出が盛んです。海外ではKOBEが今でも有名なので、高く売れるのだとか。
国内で足りていないのに、輸出してさらに足りなくするのはどうなんだろう!と私は思うのですが、そこはまあ、余所者が意見を言わない方が良いのでしょう。
ブランド管理というのは、間合いのようなものが大事で、とてもとても微妙なものです。
私は東京市場の業者さんと頻繁に連絡をとりながら仕事をしているので、遠い神戸の市場から弊店が購入することは、あまりないと思いますが、但馬が希少なことは間違いありませんから、ますますのご発展を祈念致したいと思います。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.839日連続更新を達成しました。