行政警察
悲惨な事件のニュースを視るにつけ、
『警察手眼』は読まれていないのか?!
と思ってしまいます。
警視庁の創始者・川路利良の著書『警察手眼』のことは、このブログで何度か書いて来ましたが、その中で書かれている「行政警察」のことは、これまで書いてきませんでした。
今日は、その「行政警察」の件です。
すき焼き屋が「行政警察」だなんて、どうかしていますが、紹介せずにはおられません。さて、早速ですが、
行政警察は予防を以て本質とす。
すなわち人民をして過ち無からしめ、罪に陥らざらしめ、
損害を受けざらしめ、
以て公同の福利を増益するを要するなり。
『手眼』では、この「行政」が先に書かれていて、優先事項なのです。つまり川路の警察にとって予防が本質なのであって、事件が起きてしまってから対応するのは二番手なのです。
二番手の方は「司法警察」と言います。
行政警察の力及ばずして、法律に背く者ある時は、
犯人を探索・逮捕するは司法警察の職務とす。
という具合に、予防が出来なかった場合に、司法警察が出てくる、という構成です。
しかし現代では、その「力及ばずして」の場面ばかりが目立つように思います。
川崎の中1殺害事件においても、
数日前に、被害者生徒に味方した仲間が、加害者の家の前で騒ぐという事件が在ったのに、行政警察はスルーしたようです。
また、それ以前に加害者が近所の飼い猫を傷つけていたのもスルーしたようです。
そう簡単に人間が人間など殺せるわけはなく、犯人はそれ以前にたいてい前段階として動物を殺していますから、犬猫を見回れることは非常に重要だと言えます。
しかし実際は犬猫については「力及ばずして」のケースが多いように思います。
どうも、刑事ドラマの影響が良くないのでは?と思ったりします。
ドラマでは茶道の家元が殺されたり、
テロリストが東京マラソンを妨害したりして、
ドラマとしては、その方が面白いのでしょうが、あれはあくまでドラマです。
普通の市民である私が希望することは、近所の犬猫を見回って欲しい、ということです。
警視総監が川路なら、きっとそう命じて、それをしっかりやった刑事さんに勲章を与えると思います。
罪に陥らざらしめんがため。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
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