昆布すき焼き

「すきや連」でお世話になっている、向笠千恵子先生が『和食は福井にあり』という本を出されました。

皆様にも是非ご購読いただきたいと思いますが、私が拝読して注目しましたのは、この本に掲載されている、福井市の料亭「開花亭」さんの、昆布出汁のすき焼きでした。

福井もすき焼きを推して行こう!ということで若旦那が新開発したのだそうです。

その若旦那が、3/3に開催しました「すきや連」に見えましたので、色々お話しをさせていただきました。

残念ながら、私自身は未だ福井に行くチャンスがなく、「昆布すき焼き」をリアルに食べていないので、ここに書くことも出来ないのですが、理屈的は旨いだろうという予想が立ちます。実際、しゃぶしゃぶのスープにも昆布だしを使うことが多いです。

その理屈を今日は書いてみましょう。

さて、昆布と肉が合う件を、私は以下↓のように理解にしています。

・昆布の旨味の正体は、アミノ酸であるグルタミン酸である。

・牛肉にも、アミノ酸の旨味・グルタミン酸や、やはりアミノ酸のアスパラギン酸が在るが、肉には加えて核酸に由来する旨味であるイノシン酸も在る。

・旨味物質は単独で使うよりも、アミノ酸系の旨味と核酸系の旨味を混ぜ合わせることで、旨味が飛躍的に強くなることが知られている。(これを「旨味の相乗効果」と言う)昆布と肉を同時に食べれば、この「旨みの相乗効果」を得られる。

出汁を使うすき焼きとしては、魯山人風すき焼きというのも在りますが、福井のすき焼きは意外とあれに近いものなのかもしれませんね。

魯山人は「出汁」としか言っていないのですが、「相乗効果」は昆布出汁が最強と思います。

魯山人は「開花亭」さんに縁がありますしね。

若旦那は、今後さらにまた色々試して、結果をご教示下さるそうで、実に楽しみです。

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.843日連続更新を達成しました。