フィレ肉すき焼き
その方が見えたと聞いた時、私は
あちゃー!
と思ってしまいました。
その方は弊店の常連のお客様で、2~3か月に一度見えるのですが、必ず決まって特選フィレ肉のすき焼きを召し上がる方です。ゼッタイにフィレ肉のすき焼きなのです。
ずーっと、その習慣なので、その方が見えるとすぐに玄関から肉の作業場へ連絡が行って、フィレ肉を切り始める習慣になっていました。
ところが、その御夫婦の内お婆ちゃまの御具合が悪くなって入院、その日はしばらくぶりの御来店でした・・・
・・・そう書きますと、その方が見えて「あちゃー!」だった理由が全く分からないと思います。はい、ご説明しますが・・・
・・・「あちゃー!」だったのは、その日が「特産松阪牛」を「今週の特選牛」として売り始めた日だったからです。「松阪牛の中の松阪牛」あるいは「幻の松阪牛」と言われる「特産松阪牛」です。
「特産松阪牛」については、このブログの10/12号をお読みいただきたいのですが、この日「今週の特選フィレ肉」は当然「特産松阪牛」のフィレで、値段が・・・高・・い・です。
しかも史上最高価格の牛を輩出した牧場の牛です。
実際、メニューをお示しした時の反応は、
あらあ、本当に高いわねえ・・・
だったとかで、これには本当に「あちゃー!」でした。
その方は特段「特産松阪」のファンではなく、
「松阪」のファンでもなく、
「ちんや」のファンなのであって、そこで提供されている、いつもフィレ肉ならなんでも充分満足なのに、久しぶりに来てみたら、なんでまた今日に限って高いのを売っているんだろう。
っていうのが、おそらく本音でしょう。
だから「あちゃー!」だったのです。
係には「無理に勧めないでよ!」と指示しましたが、
結局、「特産松阪」のフィレを召し上がって下さいました。在り難いです。
食後、感想がどうしても気になってしまったので、部屋にうかがいますと、
美味しかったわよ~
とのこと。毎回「ちんや」のフィレばかりを召し上がっている方ですから、違いはお分かりの筈。まずは一安心。
でも毎回この値段だったら、それは、どうでしょうか。
特別のものを売るって難しいんです。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.695日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。