御当地人気料理

向笠千恵子先生が「校長」をされている「郷土料理伝承学校」が開講したので、受講しました。

会場に参りますと「農山漁村の郷土料理百選」を紹介する、結構豪華な冊子が配られました。この「百選」は平成20年に農水省が制定したものです。

冊子を開いてみますと「百選」の他に「御当地人気料理特撰」というのも掲載されていました。

???と思って読んでみますと、

・盛岡冷麺

・仙台の牛タン焼き

・横手やきそば

・宇都宮餃子

・横須賀海軍カレー

・富士宮やきそば

・明石のタコ焼き

といった、所謂「B級」の面々です。「町興し」系と言っても良いでしょう。

一方「百選」本体は、

・山形の芋煮

・鹿児島の鶏飯

・秋田のきりたんぽ

・宇和島の鯛めし

・熊本の馬さし

といったメンバーですから、こちらはたしかに郷土料理と言えます。「B級」とはかなり経路が違いますイヤ毛色が違いますね。

なんで、この両者が一冊の本に同居しているのか?

それは、この選定事業の過程で一般からの人気投票も行ったからです。その投票でB級組が上位に来てしまったので、無視できなくなってしまった模様です。

選定委員の先生方のコメントも載っていますが、ほとんど、この「御当地」には触れていません。まあ、愉快ではなかったのでしょう。

では、B級組が何故上位に入ったか、ですが、私は「選定基準」の文言のせいだと思っています。

郷土料理の「選定基準」が5項目あるのですが、その中に

⑤都市との交流、地域振興に活用されているか。

というのが入っていたのです。

この文言って、なんか、「興し」ニュアンスを感じますよね。

・・・です。

これを読んだB級組地元の、町興し団の皆さんが、

よし!皆で投票して、「百選」をジャックしてやれ!

と盛り上がったとしても不思議ではないです。

私などは、

①郷土料理としての地域性や独自性、農山漁村の歴史文化的な意義を有しているか。

②郷土料理の保存・継承への努力がなされているか。

③地元食材・国産材料の活用や地域の生産振興に寄与しているか。

の3項目だけで充分良かったと思います。

④地域住民に郷土の自慢の味として認知されているか。

というのもあったようですが、地元の人が「自慢」にしていなくても、価値のあるものがありますから、これも要らないですね。

もっともB級組に票が入ったのは、ジャック狙いの票だけでなく、本当に地元の若い人がB級を「郷土料理」と認知しているからかもしれません。

海軍カレーなどは老舗で、「百選」本体に入っている北海道のジンギスカンより起源が古いです。

宇都宮餃子は太平洋戦争後で新しいですが、もう終戦から66年ですから、完全に地元の味と思っている人がいても不思議はないですね。そういう人は全く悪気なく「郷土料理」として投票したかもしれません。

勿論私自身は、この傾向を慶びません。

① 郷土料理としての地域性や独自性、農山漁村の歴史文化的な意義を有しているか。

が、なんと言っても大事・最優先であって、地元の農山漁村との関係性が薄いものは、どこまで行ってもB級だと思うからです。

仙台の牛タンなんて、USの牛に限る、というから???ですよね。

B級やきそば地元の中には、地元産の小麦を使う試みを始めた所もあるようですが、「試み」段階ですから、「歴史文化的な意義を有している」とはいかないと思いますよ。

やはり線引きはハッキリしていただきたい、と思います。

世上「△▽グランプリ」が喧しいようですが、私は、そういうのに振り回される気はありません。

あっかんBえ~

追伸①

 BSテレビ朝日「幸福の一皿」~美味しさの物語 に出演させていただきます。是非ご覧ください。

 「食卓の華!すき焼き」

 11月23日(金) 20:00~20:54 オン・エアです。

 この番組について詳しくはこちらです。

追伸②

ケーブルTV局J:COMの、「村野武範の馳走百景」に出演させていただきます。

是非ご覧ください。放送日は以下の通りです。

11/20(火)夜10時~

11/21(水)深夜0時30分~

11/27(火)夜10時~

11/28(水)深夜0時30分~

この番組と視聴方法について詳しくはこちらです。

追伸③

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は300人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて988日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

Filed under: すきや連,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)