慈悲の心

イラク戦争以来「自己責任」という言葉が頻繁に使われるようになりました。

先日訪れた紅葉が有名な古刹でも、境内の各所に「自己責任」と貼りだしてありました。

その御寺の境内は結構なアップダウンがありまして、高い所へ登ると紅葉が絶景なのですが、そういう所へハイ・ヒールでやって来る輩がいるらしく、この時期には転倒事故が頻発するようです。

山での遭難の場合「自己責任」は当然と思いますが、悪いことに、そのすぐ横の御堂の中の仏様は慈悲の心を説いています。ハイ・ヒールの女性は慈悲を受けられないんでしょうか。

まあ、そういう女はおそらく仏に帰依する心を持たず、男からの「同伴」の誘いに応じて来ただけで、どちらかというと仏敵ですから、「自己責任」の適用が妥当でしょう。ですので、

御寺でケガしたのに、お坊さんが親切にしてくれないのは、おかしいわ!

と叫ばれたり、ネットに書いたりされても、無視するのが妥当と存じます。

今時は宗教家の皆さんも大変ですな。

さて飲食業界も御客様に親切にするのが当然と思われていますが、どこまで親切にするべきでしょうか。

親切にするために費用が発生してしまう場合は「自己責任」となりますが、そのことを告げた途端、店と客の関係は一気に冷え込み、「二度と行かない!」とか言われる位は当たり前で、ネットに書かれたりしかねません。

例えば、ですよ、

予約した時間に、正しく店に到着するのは客の自己責任ですよね。

遅刻して、悪いことにその後ろに別の予約が入っている場合、食事時間は延長できないですが、その責めは店でなくて客が負うべきです。

文句を言ってもらっては困ります。あるいは、

お忘れ物があった場合、それを送り返す送料は、「元払い」ですか「着払い」ですか。

着払いが原則かと思いますが、私は元払いで出しています。自分も酔っ払って忘れ物をしますからね。

でも原則を適用する場合があります。それは、

自分が忘れ物をして、店に手数をかけているのに、

どうも、御迷惑をおかけしまして・・・

という気持ちが無い、残念な人の場合です。

驚くことに、すぐに知らせてくれなかったのは不親切だ!

とかクレームをつける人がいます。

浅草の店の場合、

粋じゃないわ!

とか言われたりすることがあって腹立たしいです。貴女に言われたくはないですね。

勿論お客様がお帰りになったら、部屋の中を見て、お忘れ物があれば走って負える範囲は追っています。

電話はしません。

予約の電話番号が分かっている場合は、電話連絡してもよさそうなものですが、お客様同士の御関係が、イレギュラーな場合もあるからです。

私の店ではありませんが、こういうケースがあります・・・

ある女ものの忘れ物の件で連絡をするために、店の人が予約の電話番号にかけたら、落とし主の女性と一緒に食事をした男性の、奥様が出てしまったそうです。

そして悪いことに、その食事をした日は奥様との「思い出の記念日」だったのです。

そんな日に、私以外の女と食事するなんて!キー!

あーあ。

親切が仇、とはこのことです。

天下の帝国ホテルさんも、そういう電話連絡はしない、と聞いたことがあります。

今時は親切にするのも不親切にするのも難しいですね。トホホです。

追伸①

 BSテレビ朝日「幸福の一皿」~美味しさの物語 に出演させていただきます。是非ご覧ください。

 「食卓の華!すき焼き」

 11月23日(金) 20:00~20:54 オン・エアです。

 この番組について詳しくはこちらです。

追伸②

ケーブルTV局J:COMの、「村野武範の馳走百景」に出演させていただきます。

是非ご覧ください。放送日は以下の通りです。

11/20(火)夜10時~

11/21(水)深夜0時30分~

11/27(火)夜10時~

11/28(水)深夜0時30分~

この番組と視聴方法について詳しくはこちらです。

追伸③

「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は300人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて989日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)