開催しました、第十二回「すきや連」④

 第十二回「すきや連」を米沢市の「登起波牛肉店」さんにて開催しました。

 今回も50名ほどの、すき焼き屋さんとすき焼き愛好家さんが全国から集結しました。北は帯広、南は熊本から見えて下さり、実に嬉しいことでした。

(その皆さんの感激の「一言」は、8/14の弊ブログに掲載しましたので、ご覧下さい。)

 この日まず日中に貸切りバスで「米沢佐藤畜産」さんの赤崩畜舎へ。牧場を見学させていただきました。

 そして、お待ちかねの、勿論すき焼き大宴会です。

 食しまして、この日のお肉は実に結構でした。その理由を、ここで詳述しないわけには参りません。

 それは勿論難儀なことですが、今回は少し楽でした。

 「登起波」の五代目店主・尾崎仁さんが最近「米沢牛物語」という御本を出されて、そこに詳しく米沢牛のことが描かれていたからです。

 その中から、特に私が注目した点をここに書いておきたいと思います。

 さて、牛肉の旨みは、相当の期間、肥育をしませんと深まってきません。本来15~20年位の天寿がある動物なのに、それを3年以下で食べてしまうわけですから、若い時に食べていることが分かります。

 それでは味が、もの足りませんね、当然。

 肉牛生産が盛んになる前は、牛をまず農作業に使い、歳をとってからリタイアさせ、そこから太らせて食べましたから、その頃は、必然的に年齢が高く、味があったと想像できます。

 すき焼きの味付けは、その頃、年齢が高い牛にあわせて開発されたわけですから、年齢の若い牛に合うはずがありません。若い牛ではNGなのです、断じて。

 その点、米沢では、牛の月齢を「32カ月以上」とハッキリと規定しています。それ以下では「米沢牛」と呼ぶことを許さないのです。

 尾崎さんの本によれば、実際の米沢牛の平均は33カ月で、全国平均の24カ月より、かなり長いことが明らかです。当然味の深みが違います。

 それだけ長期に飼えば、餌代が嵩み、また牛が病気にかかるリスクも高まります。だから、取引単価が高くなってしまうわけで、それでもそうした牛だけを売りたい、という業者さんがいて、そしてまた、そういう牛を買って食べたい、というお客様がいてこそ、牛のブランドが維持できるのです。

 また長期肥育の間、牛が病気にかからないようにするには、丁寧に一頭一頭の様子を見ながら飼うことが必要です。生産者さんには相当な努力が要求されますから、大変と思います。

 米沢は、そこに成功している土地、と申して良いでしょう。

 さらに申せば、ただ長期間飼えば良いわけではありません。

 牛に自然なストレスがかかることが重要なようです。

 自然なストレスとは、歓談の差イヤ寒暖の差です。

 米沢は盆地型の気候であるため、夏は33℃、冬はマイナス17℃と非常に大きな差があるそうです。一日の中の差も大きいようです。

 その寒さに対抗するため、牛は脂肪をつけます。それが「サシ」です。

 さらに厳冬期になると、温度が低すぎるため、餌を食べても脂肪を付けることが出来なくなって、カロリーは体温維持のためだけに消費されます。つまり厳冬期には、脂肪は増えず、熟していくのです。糖度も上がるようです。

 しかし一年中寒いと困ります。体が大きくならないからです。

 取引価格は、大きさ×単価ですから、売る牛の体が小さくては、生産者さんは成り立ちませんね。だから、夏には太ってもらわねば困るわけで、暑さも必要なのです。

 南方の牛が短期間に大きく成るのは、暑いからです、当たり前ですが。

 では、ずーと暑くて良いのか、と言えば、勿論そんなことはなくて、夜まで暑いとバテてしまいます。そこは人間と同じです。

 その点、米沢は盆地なので、夏でも夜になる周囲の山から冷気が降りて来て、涼しくなります。

 実際、今回の「すきや連」で米沢をお訪ねしたのは、8/8で真夏でしたが、3次会まで盛り上がって、ホテルへ帰る夜道は、ひんやりしていました。

 やはり、ここは東北なんだ、そう感じました。

 ここでもやはり要求されるのは、生産者さんの努力です。暑さ・寒さで牛が体調を崩さないようにしないといけません。自然なストレスであっても、やはりストレスですから。

 今回宴会の前の日中に牧場を見学させていただきました。ですので、勿論、その牧場の場長さんを、夜の宴会に招待いたしましたが、場長さんは欠席されました。

 自分の飼った牛が出されて、皆さんに味わっていただける貴重な時間ですが、欠席されました。

 欠席の理由は、

 牛のエサやりの時間だから。

 こういう方のいる米沢は大したものだ、

 そう強く感じながら、すき焼きを頂きました。

<とりあえず今回の「すきや連」の話しは、ここまで、です>

追伸①

 藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
 不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

 他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

 是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
 ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

 「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は270人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 参加者の方には、特典も! 

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて901日連続更新を達成しました。毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 

 

 

 

 

 

Filed under: すきや連,すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)