発祥の地

 英国映画協会が発行する映画雑誌『サイト・アンド・サウンド』誌が、「世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画」を発表したそうです。

 で、その第一位はなんと、日本の小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)でした。映画批評家846人による投票でも3位だったそうです。

「小津監督は、その技術を完璧の域に高め、家族と時間と喪失に関する非常に普遍的な映画をつくり上げた」が評価理由です。

 この所たまたまですが、小津監督好みの「カレーすき焼き」を名物にしている、老舗旅館「茅ヶ崎館」さんと御縁が出来て、それで小津監督のことにも興味が湧いて、少し調べていました。

 そこへ、このニュースですから、自分のことのように嬉しく思ってしまいました。

 一方、残念なニュースもありました。

 今年10月、浅草から映画館が無くなるのです。

 今浅草六区にある映画館5館は、全て松竹さん系列の経営ですが、今年10月までに全て閉館するということが発表されました。

 建物の老朽化がヒドくて、取り壊されるそうです。

 浅草六区は、明治時代に日本初の常設映画館ができた所です。つまり浅草は、言わば映画館発祥の地なのですが、今年で全て姿を消すことになるのだそうです。

 最近は映画観賞と言えば「シネコン」が主流でしたし、5館の内2館はしばらく前からピンク映画専門の在り様でしたから、いつまで経営がもつのやら・・・と思ってはいましたが、実際に廃業と聞かされると、その残念さは想像を超えたものでした。

 発祥の地なのに今はそこに無いって、実に悲しいことです。来年からは映画を観るたびに、思い出してしまうでしょう。発祥の地なのに今は無いって。

 自宅でいくらでも映画を観れる世の中ですから、映画館に歩いて行く必然性が無いと客は来ませんね。大規模映画館の維持が難しいのは当然です。

 でも、そこをなんとか、規模をスリム化して、さらになにかアイデアを出してやって行くことは出来ないもんなのでしょうか。必ず俳優さんが解説をして、鑑賞後は、その人のサインが貰えるとか、あるいは思い切って、「活弁」を復活させる、とか!無理ですかねえ。

 なんだか、今の日本には、評価は高いのに産業としては右肩下がりっていう業界が、いくつもあるような気がします、アバウトな感想ですが。

 食べものでは、日本酒業界がそうですね。

 なんとかならないものか、いつも、そう思います。

追伸①

 藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
 不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。

 他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。

 是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
 ご購入はこちらです。 (できればレビューも書いて下さいね!)

追伸②

 「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。

 この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。

 その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。

 現在の笑顔数は270人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。

 参加者の方には、特典も! 

 皆様も、是非御参加下さい!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて892日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。