船弁慶
「台東蝋燭能」を観ました。
「台東蝋燭能」は、「台東区アート・アドバイザー会議」で御一緒する、能楽師の坂真太郎さんが、御父上の代から、毎夏に開催して来られた公演で、今年で33回目を迎えました。
主催は台東区芸術文化財団。3-3で縁起が良いことです。
この公演では、まず上演の前に、浅草の鳶職連中による「木遣り」が付くのが恒例です。
続いて演目は、能の「巻絹」、
狂言の「仏師」、
最後が能の「船弁慶」でした。平家ものの「船弁慶」が入っているのは、NHK「大河ドラマ」にあわせたのでしょうか・・・
いたって真面目に、かつ本格的に上演は行われ、私も勉強させていただきました。
公営事業ですので、チケットはお安く、親子無料招待があったり、また事前に「ワークショップ」で、坂さん御本人が、この日の演目の解説をしたりして、お能の新たなファン層拡大に努力されています。
で、ここでハードルと成るのは、やはりお能の内容そのものの、「とっつきにくさ」でしょう。
お能には、たいてい心霊や亡霊が登場して、人間と交感したり闘ったりします。「巻絹」の主人公は、重要な公務に遅刻した罰として逮捕拘束されますが、天神によって解放されます。また「船弁慶」では、平家の亡霊が源義経を襲います。
そうした神妙なものの存在を、現代人の客に感じさせないといけないのですから、能楽師の皆さんも楽ではありません。この公演では、舞台上に数十本の蝋燭を並べ、その玄妙な灯りで舞台を照らすことにより、観客を日常から切り離す試みをしていました。良い考えだと思います。
その点、狂言の方には心霊・亡霊はあまり登場せず、人間の、しかも普通の庶民が出て来て、セリフや所作で笑わせます。ですので、かなり「とっつきやすい」です。
でも「狂言だけ観たい」という考えはNGですよ。ずっと昔から、能と狂言は一体のものとして上演されて来たからです。
思いまするに、想像力のトレーニングとして、お能は結構なものです、結論として。実際、義経に感情移入することは不可能ではありません。
だって、舞台や映画っていうのは、そもそも、そういうものですから。
それが出来る人は、人の気持ちを良く分かることが出来、そして、いつかきっと、なんか良いことがある、そう思っています。
喰わず嫌いしている人も是非試してみましょう。まあ、若干の歴史の知識は必要ですけどね。
追伸①
藤井恵子さん著の単行本『浅草 老舗旦那のランチ』に載せていただきました。
不肖・住吉史彦が、「浅草演芸ホール」の席亭さんや、「音のヨーロー堂」の四代目とランチをしながら、浅草について対談する、という趣向です。
他にも20人ほどの、浅草の旦那さんたちがリレー対談で形式で登場します。
是非ご購読を! 平成24年6月3日、小学館発行。
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追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
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現在の笑顔数は270人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
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皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて894日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。