思いやりが薄れる傾向

ネットで見つけた話しを読んでいて、

そう!そう!

と言ってしまうことはあまりありませんが、その話しにはパソコンの前で、

そう!そう!

と言ってしまいました。

その「話し」というのは、実はまともな論文で、カナダ・トロント大学のキャサリン・ディセレス准教授が、

「人は貧しさや不平等を感じると行動に出る傾向が強まる」という法則を、飛行機の乗客を観察した結果見つけたのだそうです。

「行動に出る」とは良い行動ではなく、

「社会的に高い地位にある人が自分の地位を意識すると、反社交的で高慢な態度になり、思いやりが薄れる傾向がある」

「反社交的で高慢な態度」、つまり頭上の荷物入れやアームレストを巡って争ったり、殴り合いや蹴り合いに発展したり、客室乗務員を怒鳴りつけたりという行動は、その客が飛行機に一つしかない入口を通ってファーストクラスに搭乗した場合に高くなるのだそうです。

ファーストクラスとエコノミークラスで別の入り口があって、それぞれが自分のクラスの席へ入った場合に比べて、乗客が騒ぎを起こす確率がほぼ12倍になることが、この研究で分かったそうです。

12倍とは洒落になりません。

世間のサービス業という業種は、客を細かくクラス分けし、上のクラスに入った客の自尊心をコチョコチョすることで、売り上げを増やそうとするものです。所謂「富裕層向け」ビジネスなるものは、みんなそれですが、実はそれが良くないのだというのが、この研究の成果です。

サービス業の側が、わざと「社会的に高い地位にある人」に「自分の地位を意識」させた結果、必要以上に「反社交的で高慢な態度になり、思いやりが薄れる傾向」にさせているというわけです。

思いまするに、本当に優遇すべき人など、この世の中に、そう大勢はいないと思います。

例えば国会議員は皆優遇されるべきかと言うと、ゼンゼンそうでもないということは、最近のセンテンス・スプリングさんの報道で明らかですね。

少々の売り上げを得んがために、自尊心をコチョコチョすることは、人道にそぐわぬ商いだと、今回の研究が明らかにしました。

どういう学者さんか存じませんが、キャサリンというからには女性なのでしょう。

G.J.

キャサ姐さん。

追伸、

拙著が発売になりました。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

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Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)