十五代目
「東都のれん会」の青年部「東若会」の例会が弊店でありました。江戸東京を代表する御店の若旦那さんばかりですので、気合いを入れて、お迎えをいたしました。
この会をおひき請けして、「御酒はどうしようかな」と思案していますと、加盟店の中に蔵元さんがおいででした。
「蔵元さん」という表現は正確でないかもしれません。この会社は元々酒屋さんで、「豊島屋本店」さんと言います。
酒屋としての御創業は、江戸に幕府が開かれる前の1596年というから驚きます。その頃「鎌倉河岸」という、江戸城をつくるための材木や石などが荷揚げされた岸壁に店を開いたのが、そもそもということですが、この時は御酒をまだ造ってはいなかったそうです。
この当時、江戸やその近郊ではおいしい日本酒を造る技術がありませんでしたから、灘や伏見、池田といった関西の酒蔵の酒を仕入れて⇒売っていたそうです。
自分のところでも酒を造ろうということになったのは、明治時代の後期だそうです。最初は関西で、今は東京都下の東村山市で造っておいでだそうで、つまりは、明治時代後期からは、酒屋兼蔵元となったそうです。
ブランド名は「金婚」と言って、明治神宮・神田明神・日枝神社、という東京を代表する3つのお社の御神酒になっているそうです。
さて、その蔵元さんと、今回初取引となりましたので、十五代目(!)の御主人にお目にかかって、色々と御説明をいただきました。
お目にかかりますと、十五代目は博士号を持っている、元研究者といいます。しかも半導体の。
お話ししていて、へええ~と思いましたのは、その博士が、
酒造りは、杜氏さんの人間の感覚に基づいて行っている、
と言っておいでだったことです。
酒造りにも、まだまだ科学で分かっていないことがあったり、あるいは、分析は可能でも時間がかかって、人間の五感で測定した方が、はやくて正確、ということがあるのだそうです。
そう言えば「ちんや」のスタッフも、肉の、例えば脂肪の良し悪しを数秒で判断していますが、その代わりに科学的に脂肪酸の構成比を分析したりしたら、大変な時間と手間がかかります。
醸造の分野は、食品科学の世界では、先進的な分野だと思いますが、まだまだ、そういう話しがあるんですね。そうした問答が印象的でした。
で、「東若会」の当日は、その「豊島屋本店」さんの、
微発泡酒を乾杯用に、
無濾過生原酒を、すき焼きに合わせさせていただきました。
さすがに旨かったです、十五代の御酒は。
うーい、ひっく。
追伸①
『料理通信』6月号に「ちんや」が紹介されています。
この雑誌に服部幸應先生が連載なさっている、「世界に伝えたい日本の老舗」というコーナーの第37回に、お採り上げいただきました。
有り難いことです。ご購読はこちらです。
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は178人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
参加者の方には、特典も!
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて842日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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