アートアドバイザー会議

 5/20は、私の地元・東京都台東区の、「アートアドバイザー会議」があったので、出席しました。

  「台東区アートアドバイザー会議」は、区の文化施策の方向性や、芸術家の育成支援などについて検討し、区長へ助言を行うため、平成18年度に発足した会議です。

 会議のメンバーは、音楽・美術・舞台など異なる分野の芸術家や専門家であって、かつ台東区にゆかりのある人で構成されていて、活動内容は、主に「台東区芸術文化支援制度」が資金助成をする企画を選び、選ぶだけでなく、助成対象となった企画が、より魅力的に実施できるようサポートを行うことです。

  5/20の会議の内容も、「支援制度」が本年度に資金助成する企画を選ぶための、第一次審査でした。

 参加メンバーは、日経新聞文化部編集委員の池田卓夫さん、女優の観世葉子さん、芸大音楽学部准教授の熊倉純子さん、芸大BiOnの社長・鶴見俊一郎さん、薩摩琵琶の友吉鶴心さん、お能の坂真太郎さん、ヴィオラ・アルタの平野真敏さん、それに私です。

  ほとんどの方が、会議が発足する前の、制度設計の段階からの、おつきあいですから、かれこれ5年になります。お互い、気心知れてきていて、厳格であるべき審査の途中でも、冗談を飛ばしあって、話しが横へ逸れてしまいます。

 「スミマセンけど、そろそろ話しを戻していただけますか! 進めないと、5時までに審査終わりませんよ!」と言われながらの審査です。本年度は、50件の助成申請があり、1件ずつ丁寧に議論しますから、結構骨でした。

  ところで5時までに審査を終わらせたかった理由は、他でもありません。それは、歓送迎会!

  芸大BiOnの鶴見俊一郎さんは、最近アートアドバイザーに就任されたので、その歓迎会です。それから、区役所の方も人事異動があって、4月まで文化振興課長だった、IJ氏が他部署へ異動、代わってID女史が新課長として見えました。またIJ課長の下で、とても熱心に働いて下さった、K女史も他部署へ異動、替わってS氏が来られました。その歓送迎会というわけです。

 そうです、文化振興課長に就任したら、必ず、すき焼きを食べるのが、通過儀礼なのです。

 昼間の会議の進行は、少しだけ押してしまいましたが、なんとか50件の中から有望な8件を選び出し、ほぼ定刻で、歓送迎会の開会に漕ぎつけ(?)ました。

  この会議の特徴(?)は、頻繁に宴会があることです。この御時世なので、もちろん自腹ですが、いつも、会議の日取りが決まると「会議の後で、飲み会もあるんだよね!」という話しになり、自然と私が、そちらのセットの担当となります。だから、歓送迎会の仕切りは、私の当然の任務です。

 そういう次第で宴は始まり、今回も「台東区の文化」を肴に談論風発、楽しい会で、痛快に呑みました。

  おっと、そうだ、IJさん、Kさん、今までありがとうございました。IDさん、Sさん、今後よろしくお願いいたします。そういう趣旨でしたよね、たしか今回は。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*台東区アートアドバイザー会議については、こちらです。

Filed under: 今日のお客様,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 10:05 AM  Comments (0)

ジョークの効用―国際観光日本レストラン協会・関東支部会総会

 5/19に、国際観光日本レストラン協会関東支部会の総会が、中華料理の「南国酒家」さんで開催されました。総会の司会を頼まれていたので、おめかしして出席しました。

  (以下、台詞) 「それでは、定刻となりましたので、ただ今より、国際観光日本レストラン協会関東支部会・第31回定期総会を始めさせていただきます、が、おあとに素晴らしい御料理が控えていますので、総会は、チャッチャッと済ませちゃいましょう! あ、スミマセーン、間違えました、チャッチャッとは撤回します! 総会の審議は丁寧に、しかしやっぱりスピーデイーに、進めてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申しあげます!」

 「チャッチャッと」はもちろんジョークで、わざと間違えていることが、わかるように言ってみたところ、五分の一くらいの方に、微妙な温度でウケていただいたようです。

  私は司会を頼まれることが結構あるのですが、必ずジョークを言うようにしています。初対面の人がたくさん来る時は、座を和ませる必要があるからです。

 芸人ではないので、全員にウケる必要はないのですし、大ウケする必要もありません。ただ、その場を和ませたい、というこちらの気持ちがわかってもらえれば、それでOKと思っています。それに自分の方も緊張が解けて、やりやすくなります。

  だいたい、ジョークを言わない人は人気がありませんよね。いろいろな団体に、つきあいで、顔を出しますが、トップの人(会長・理事長・組合長など)がジョークを言う人かどうかで、その団体の雰囲気がかなり違ってきます。欧米人はスピーチをする時に、たいていジョークを言いますが、白人社会では、団体や職場のリーダーがジョークを飛ばすのは「お約束」となっているからです。

 是非、接客の現場でも、駄洒落でも構わないので、やってみたら、と思います。自分とお客様の間の距離感が一気に縮まって、接客が格段にやりやすくなります。お客様との間の、間合いをつかむのが苦手な人ほどやってみたら良いと思っています。ウケなくても、必ず効果があります。

  「ちんや」の接客部員(=仲居)にも「私は、本日こちらの御席を担当させていただきます、A子と申します。またの名を「ちんやの米倉涼子」とも言われております!」と言うように指示しているのですが、今のところ実行した者はいない・・・ようです。

   あ、そうそう、「南国酒家」さんの、御料理のことも書かないとイカンですよね。

  総会の後には、もちろん、素晴らしい御料理が「御約束」ですが、今回、M社長・K総料理長には随分頑張っていただきまして、大変美味しく戴きました。

 特に野菜のコダワりが大変なもので、とても参考になりました。「魚介と日高町産ホワイトアスパラ、四角豆、黄ニラの炒めもの」なんて、野菜の甘みが濃厚で最高でした。御馳走様でした!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*国際観光日本レストラン協会については、こちらです。

*「南国酒家」さんについては、こちらです。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 10:35 AM  Comments (0)

検索グルメランキング

 このブログの読者の方から、住吉さんのブログは、一日に何人くらいの人が見に来るんですか? とか、どういう経路で入って来る人が多いんですか? とか良く聞かれます。ご自分がブログをやっておいでだと、そういうことが気になるのだと思います。

  実はですね、アクセス解析は、まだ全くしてないんですよ。まだ始めたばっかりだし、どうせ私の知り合いしか見に来てないでしょうし。

 それに、今のところ、「ちんや」の自社サイト(http://www.chinya.co.jp/)から、このブログへのリンクは張ってないんですよ。このブログのスタート当時、ちゃんと続けていけるか、一抹の不安があったので、そのリンクを張らずにおいたんです。

  ところが、そうこうしている内に、いつの間にか、このブログはGoogle検索で上の方へあがって来ていました。SEO対策は何もしていませんが、「浅草」+「ちんや」と入れて検索した場合6位に入っています。このブログより上にあるのは、「ちんや」自社サイトの他は、ぐるなび・グルメぴあ・食べログなど、大手のグルメサイトだけです。

 当事者のブログが上位なのは当然かというと、実はそうでもなく、世の中にはグルメサイトやタウンガイド・観光ガイドのサイトが多数あって、そういうサイトは、SEO対策に命を賭けているので、そういうところと張り合って上に行くのは、当事者でも結構大変です。

 また、「浅草」+「すき焼き」と入れて検索した場合は17位です。個人のブログが、私のより上位に4つほどありますが、当然、じきに追い抜くでしょう。

  うーん。と、いうことは、知り合い以外の人が、既に結構見に来てる可能性がありますね。先日も、このブログの存在を、お教えしていないハズの方が経営している御店のことを書いたら、御礼メールが突然来ました。

 また、30年間連絡をとってなかった同窓生が、やはり検索で入って来て、投稿してくれたりもしました。

  で、あれば「ちんや」の自社サイトからこのブログへ、そろそろリンクを張るタイミングかもしれませんし、そうなれば、アクセス解析もしてみる価値がありましょう。このサイトを管理してくれている、U社長と相談しないといけません。

  実は今日5/19が更新80日目なのですが、100日目位を目途に、その辺りに取り組んでみようかな、と思っている、今日この頃です。

  まずは、おかげ様にて、今のところ順調に更新中! ということで、読者の皆様に御礼申し上げます。敬具。

  さて、ここで住吉蛇足卿による、蛇足コーナーですが、Google検索で、「すき焼き」+「市川海老蔵」と入れると、なんと、このブログが1位に表示されます!

  光栄だなあ、じゃなくて、当然ですよね、関連性が深いからねえ。ひひひひ。

Filed under: ぼやき部屋,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 10:01 AM  Comments (2)

快食療法

 5/19に、国際観光日本レストラン協会関東支部会の総会が、中華料理の「南国酒家」さんで開催されます。総会の司会を頼まれたので、おめかしして出席しないといけません。

  ところで、おめかしはさておき、去年の総会から1年間、私が続けてきたことがありますので、今日はそれをご紹介します。続けてきたのは、「快食療法」です。

 「快食療法」は「健康外来」を開設している、横倉クリニックの横倉恒雄先生が提唱されているプログラムです。レストラン協会の常務理事のA子女史(=「銀座朝川」の女将さん)が横倉先生と親しく、そのコネクションで去年の総会の時に、お越しいただいて、講演をしていただいたのです。

  さて「快食療法」といっても、その方法はいたってシンプルです。要点は2つで、
・こうしないと、こうあらねば、と自分を禁止・抑制することをできるだけしない。
・自分にとって心地いい事を1つでも始める。以上です。 

 そして、その「心地いい事」=五感を刺激される事、の中の、最強の事が、おいしい食事、なのです。

  日頃のストレスから脳が疲労している人は、その疲労をとることが、健康の秘訣・生活習慣病の防止になるそうです。おいしい食事⇒心地いい⇒脳疲労がとれる⇒体も健康に、という展開です。

 この説にしたがうと、ダイエットのために、我慢してケーキを1切れしか食べない、というのは良くないのです。むしろ、食べたければ、丸ごとホールで食べて、脳がこの上なく幸せになるよう快感を与えるべきで、その方がむしろ、脳が健康になり⇒結局体も健康になって、ダイエットもできる、という説で、チョッとビックリですが、横倉先生は、臨床のお医者さんなので、症例もきちんと積んで、実証しています。

  1日に少なくとも1回は、「ああ、おいしかった」と心底感じる食事をとることが大事だそうです。逆に、腹が減ってもいないのに、無理に食事をとるのは、良くないことだそうです。

  この説にしたがって、私は夜食を、「ああ、おいしかった」と心底感じる食事に設定しました。朝は腹が減らず、日中は何かと忙しく、ゆっくり食事などしていられません。だから、この1年間は朝・昼・夜とも「虫休め」程度の軽いものしか食べていません。そして、仕事を全て終わらせた後の、夜食を大事にしています。

 日によっては、店の肉を買って、私がステーキを焼くこともあります。鍋の時もあります。ヨメがイタリアンもどきを作ることもあります。

 就寝前の大食でもOKだそうです。消化器にとっては、就寝前の大食は望ましくなくても、それより食事で脳が満足するのが優先です。脳にとっては、満腹してすぐ寝るのは、最高に心地いい事です。だから、そっちを優先します。

 現在の私のライフスタイルでは、夜食しかゆっくり食べられませんので、これでOKと思っています。実際3月の人間ドックの結果では、体重が落ちましたし、各種数値も絶好調です。連日連夜大食しているのに、です。

  ブログ読者の皆さんにも、個人名を誰とは申しませんが、オススメしておきます。

  そう言えば、昔の友人が糖尿病専門の医者をしているのですが、その男が結構なメタボなのです。患者に「一緒に頑張りましょう!」と指導しているそうなのですが、大丈夫なのか心配です。医者の人生もストレスありますから、脳疲労しているのかもしれません。

  あいつ、「ちんや」に食べに来てくれたことがあったなあ。その時は「ああ、おいしかった」と心底感じたハズなんだけど、きいたかなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*横倉恒雄先生の著書「脳疲労に克つーストレスを感じない脳が健康をつくる」(角川SSC新書)については、こちらです。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 9:53 AM  Comments (2)

御手を拝借!

 さてさて、5/16は浅草神社例大祭(=三社祭)の3日目でした。

 「本社の神輿」の渡御があるのは、日曜日だけです。「本社の神輿」は3基ありまして、「一ノ宮」が西部各町を、「二ノ宮」が南部各町を、「三ノ宮」が東部各町を渡ります。渡ります、と言っても、ずうっと同じ担ぎ手が担ぎまわるわけではなく、各町会の領域の中では、その町会の人が担いで、次の町会まで行きましたら、そちらの町会の担ぎ手に引き渡すわけです。

  この「本社の神輿」の渡御ルートやスケジュールは、精密に定められていまして、事前に地図が配布されますので、神輿が何時にどこにあるかは、おおよそわかります。もちろん、予定と狂うこともなくはないのですが、近年は神輿にGPSが付いているので、浅草神社奉賛会のホームページで、神輿の現在地が、リアルタイムでわかるわけです。

 ですから、お客様から「今ごろ神輿はどの辺りですか?」というご質問があった場合も、すぐお答えできます。

  ところで今年は、浅草寺の、屋根の葺き替え工事(=「平成本堂大営繕」)が行われていて、そのための足場が、いつもの神輿の進行ルートをふさいでいました。そこに、大勢の人が殺到するわけですから、神社や警備当局の皆さんのご苦心は、例年の比ではなかったハズです。この場を借りまして、御礼申し上げたいと思います。

  この葺き替え工事は、本年11月末までの予定で、来年の年始には、足場も取れて、新装なった、本堂の御姿を拝むことができる予定です。

  手前どもも、ご利益にあずかれれば、と期待しております。

  「おやあ、どうも、祭の間は、住吉のブログが真面目だねえ。つまんないじゃん!」

  バレましたか。この3日間は、忙しいのがわかっていたので、事前に書いた原稿を、Word Pressの「予約投稿」機能を使い「予約投稿」しておいて、時間を指定して自動的にUPさせていたのです。今あなたがお読みになっている、この文章は、実は5/11の15:47に入稿したものです。ひひひひ。

 そういう次第でアドリブ展開が出来なかったわけです。

  それでは、これにて「三社祭=予約投稿」コーナーを終了させていただきます。御手を拝借!

 よーオ、しゃしゃしゃん、しゃしゃしゃん、しゃしゃしゃんしゃん。

 よっ、  しゃしゃしゃん、しゃしゃしゃん、しゃしゃしゃんしゃん。

 よっ、  しゃしゃしゃん、しゃしゃしゃん、しゃしゃしゃんしゃん。

 明日からまた、ひねりの利いたブログを展開しますので、ご期待下さい。

 本日も、何も知らずに、最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

* 浅草神社奉賛会のホームページは、こちらです。

Filed under: ぼやき部屋,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 9:41 AM  Comments (4)

今ごろ神輿はどの辺りですか?

 昨日5/15は、浅草神社例大祭(=三社祭)の2日目でした。午前中に、例大祭式典が行われた後、この日のメイン行事は、午後の、各町神輿の連合渡御(れんごう・とぎょ)です。

 「氏子四十四ケ町」と申しまして、三社様の氏子の領域は広いのです。北は日本堤、西は合羽橋、南は寿町までの広い範囲が領域です。そして、この領域が細かい町会に分かれていまして、それぞれに神輿を持っています。連合渡御の際は、それらの神輿が浅草寺裏に、まさに連合して、集まって来ますので、壮観な景色となります。

  集まった神輿は、昼12時から町に繰り出しますので、その辺りから、浅草の町は喧騒に包まれます。祭囃子が熱くなり始めるのも、この頃です。

  ところで、お客様から、よく「今ごろ神輿はどの辺りですか?」というご質問があります。

 3日目の日曜日に担ぐ、「本社の神輿」なら、ルートが事前に公開されていて、位置がわかるのですが、土曜日は「各町会の神輿」ですので、町会ごとに担ぎまわっているわけで、「今ごろ神輿がどの辺りか」がわからないのです、土曜日は。

  でも、一般の御観光の方は、「本社の神輿」と「各町会の神輿」が別物だ、という細かいことは、おわかりにならず、

「え? 神輿にGPSがついていて、位置がわかるって、新聞に書いてあったわよ。なんでわかんないの? わかるハズでしょ!」

  それはですねえ、「本社の神輿」のことでして、「本社の神輿」は、土曜日は出ないんですよ。とお答えすると、すごくがっかりする方がいます。だから、「本社の神輿」と「各町会の神輿」が別物だ、ということは、土曜日に見えた方には、こちらからはなるべく、言わないのですが、質問されてしまった場合は仕方ありません。

  明日もお越しいただければ、有り難いのですけどね。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: 困った質問,浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 9:36 AM  Comments (0)

宵宮

  昨日5/14より、浅草神社例大祭(=三社祭)が始まりました。

  祭礼期間3日間の内、初日の金曜日には、昼すぎから「大行列」が、浅草の町を練り歩きます。「大行列」には氏子代表、各町会役員、びんざさら舞の皆さん、白鷺の舞の皆さん、鳶の皆さん、芸者衆が参加します。この「大行列」は毎年、「ちんや」の前の、雷門通りも通ります。

  夕刻になって、各町会の神輿(みこし)の、「神霊入れ(みたまいれ)」の儀式が行われます。これにより、神輿には神が宿ることになり、神事として神輿を担ぐことになるわけです。夕刻から担ぎ始めますので、「宵宮(よいみや)」と言います。

  個人的には、この「宵宮」の日が、一番風情を感じます。各町神輿の連合渡御(れんごう・とぎょ)がある土曜日や、本社神輿の渡御がある日曜日に比べると観光客も少なく、落ち着いた日です。初夏の夕方の風が涼しく、祭囃子の音も、気のせいかこの日は、のどかです。

  「ちんや」の商売の方も金曜日は、のどか?なものでしたが、まあ、それも例年のことです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: 浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 9:32 AM  Comments (2)

鍋の洗い方

 このブログの4/7の号で、「ちんや」には「お客様に聞かれて困った質問」収集委員という委員がいると書きました。この委員は何をする委員か、と申しますと、お客様から聞かれて、答えられずに困った質問をメモしておき、週に1回月曜日に提出するのが仕事です。その委員の連中が収集した「困った質問」はブログネタの宝庫でして、今日は、その第3弾です。

  「すき焼き鍋を使った後の、取り扱いはどうしたら良いんですか?」というご質問があったようです。ご家庭で、すき焼きをした後、鍋の後始末でお困りの方は多いかもしれません。鉄は重いし、管理が悪いと錆が出てしまうので、敬遠されがちのようですが、やはり、すき焼きには鉄鍋です。このブログを借りて、扱い方法をお教えしましょう。

 ①まず脂はなるべく溶かしましょう。牛脂の融点はさほど高くないので、お湯で、ある程度は溶けます。

②脂が溶けたら、洗剤で落とします。普通の中性洗剤でOKです。

③すき焼きをしている最中に、固形化してしまったものは、洗剤で落ちない場合がありますので、実力で落とす他ありません。クレンザーをつけて、ナイロンたわしで、こすります。それでも落ちない場合は「焦げ落とし」(スクレイパー)も使います。

④水分を良く切り、さらにペーパータオルなどで完全に拭き取ります。

⑤鍋に食用油を塗りつけ、なじませます。保管中に塗りつけるのには牛脂は使いません。すぐに油を塗らないと、鍋が酸化し、変色が始まりますので注意しましょう。

⑥保管する時は、油が流れ出ないよう、上向きにします。

<鍋の裏や側面に、焦げがこびりついてしまった時は、>

・鍋をそのまま、直に火にかけ、焦げを焼き落とすことができます。ただし、その後は油を塗りつけても、鍋になじみにくい状態になりますので、塗りつけ作業を、時間を置いて2〜3回繰り返します。

  牛鍋屋、桜鍋屋、どぜう鍋屋などは、上記のような作業を日々繰り返しています。このブログの4/22号にも書きましたが、鍋屋は鍋を「動態保存」しているのです。この作業をキッチリできる「洗い場さん」がいないと、成立しないのが鍋屋です。お客様がお帰りになった後の深夜に、とっとと家に帰りたい気分の中で、この作業をキッチリできる「洗い場さん」がいないと、成立しないわけです。

  ですから、ご家庭で、すき焼きをする場合は、是非とも旦那様が、この「洗い場さん」を買って出るのが良いでしょう。簡単に奥様に感謝され、さらに、ここに書いてあることを受け売りで語りながら作業すれば、チョッと見直されちゃう可能性すらあります。おススメしておきます。

  「ふーん、そうかい、ということは、住吉家でも、洗い物はダンナがするわけ?」

  そりゃしてますよ。鮮明な意識が、その時点であれば、ですけどね。

 良く言われてるのは、「アナタは、もう寝ていいから! ヨッパライは邪魔だし!」ですけどね。

  ところで、この原稿がUPされる頃=5/14は、浅草神社例大祭(=三社祭)の初日です。

 例年、祭礼期間3日間(5/14〜5/16)の内、1日は必ず雨が降りますが、今年はどうでしょう。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

津軽びいどろ

 このブログの4/7の号で、「ちんや」には「お客様に聞かれて困った質問」収集委員という委員がいると書きました。この委員は何をする委員か、と申しますと、お客様から聞かれて、答えられずに困った質問をメモしておき、週に1回月曜日に提出するのが仕事です。今日は、その委員の連中が収集した「困った質問」の第2弾です。

  さて、「ちんや」さんで使っている、冷酒グラス(ぐい呑み)は、どこで造っているグラスですか?」というご質問があったようです。お答えは、「津軽びいどろ」です。

  「津軽びいどろ」は、古くから受け継がれてきた「宙吹き」の技法で作られているのが特徴です。熟練した職人たちが、硝子を灼熱の、どろどろに溶けた状態で吹き竿にすばやく巻き取り、息で膨らませます。そうして硝子のカタチを整えるのが、「宙吹き」の技法です。

 ただ、「宙吹き」自体は、「津軽びいどろ」オリジナルというわけではないので、「津軽びいどろ」を名乗るメーカーは複数あるようです。

  「ちんや」では、「津軽びいどろ」の冷酒グラスを、色違いで用意していて、季節によって、使いわけています。

  初夏は緑

 真夏は青

 秋・冬は茶色

 春はピンク 

 年末・年始は冬ですが、慶祝ムードでピンクにします。

 逆に、ご法事の場合は、春でもピンク以外にします。

  すき焼き自体が1年中ほぼ同じなので、少しでも季節感が出るよう、こういう所で工夫をしています。

  ここで面白くないのは、そもそも日本酒をご注文いただかないと、このグラスを出せないところです。ところが実際は、「とりあえずビール」派の方が圧倒的に多く、「最後までビール」派の方も少なくありません。

  日本酒の売れ行きがショボいのは「日本酒は悪酔いする」という巷説が信じられているせいなのかなあ? 

 チェイサーを注文して、水をしっかりお飲みになればいいんですよ!そうすれば、そんなに悪酔いしないと思いますけど。

  「え? 住吉、アンタにそういうこと言われたくないよ。」

 「アンタが、水をしっかり飲めば、日本酒さんざん呑んでも、悪酔いしないって、言いながら呑んで、結局泥酔してたの見たことあるぞ、観音裏で。」

  おっと、困るなあ。 そういう浅草のインサイダー情報を、勝手に書いてもらっちゃあ。 

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「ちんや」で使っている、「津軽びいどろ」については、こちらです。

* 「困った質問」の第1弾は、こちらです。

Filed under: すき焼きフル・トーク,困った質問 — F.Sumiyoshi 9:55 AM  Comments (0)

ヤバイすき焼き後日譚

 このブログの4/29号「ヤバイすき焼き」の、登場人物ご本人様から、ご投稿をいただきました。

 「住吉さん、本当にすき焼き美味しかったです。ただ美味しいだけじゃ無くて、なんだかとてもリアリティのある美味しさ。あれは何だろう…と考えていたのですが、昨日の母からの電話で判明しました。

「ちんや」さんでお肉買ったから、取りにいらっしゃい。

あ、成程そうか実家に居た頃偶にちんやさんのお肉食べていたからだ!と。美味しく楽しい一時を本当にありがとうございました。」という御投稿でした。

 浅草の地に、店を代々続けてさせていただいていて、こういう話しを聞かせていただけるのは、何より有り難いことです。味覚が継承されていることほど、我々にとって、有り難いことはありません。同時に、安易に味を変えてはいけないなあ、と思う瞬間でもあります。ご投稿ありがとうございました。

 ところで、この時の、ご自宅での召し上がり方ですが、

 「ブログで見た様に、味噌を少し隠し味で入れてみました。美味しかったです;-)」という方法だったとか。

 そうです! 鍋に味噌を入れるのも「有り」なのです。というか、明治初期には、味噌を入れる店の方が多かったと思われます。このブログの3/3に書きました通り、今でも横浜末吉町の「太田なわのれん」さんは入れていますし、牛鍋ではありませんが、日本堤の桜鍋の「中江」さんも入れてます。両国の猪鍋の「ももんじや」さんもです。味噌入りも旨いものですよね。

 また、4/11号に書きました通り、神田仏蘭西料理「聖橋亭」さんでは、ビーフシチューのソースに、隣の、神田明神の参道にある甘酒屋さんから、糀をもらって入れているそうですが、これも、すき焼きの鍋に、やはり発酵食品である味噌を入れるのと、同じ作戦です。ハッキリ言って、大スキです、そういう傾向の味。

 「すきや連」の事務局をしているせいか、最近、こうした御料理を出している御店のご主人さん達と、いろいろお話しする機会が増えました。そういう会話の中で聞いた情報を是非皆さんにご紹介したい、というのも、このブログを始めた動機の一つであります。ご愛読いただければ、と存じます。

 どの御店も、「ヤバい」ですよ!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。