逆精進料理

仲居さん:アワビの揚げ物でございます。

ん? 椎茸じゃないですか、これ? 椎茸の味がしましたよ。

いえいえ、アワビの揚げ物でございます。

あ、良く噛むと、たしかにアワビだ。でも、たしかに椎茸の味がしましたよ・・・

よく精進料理で、アワビに見立てた椎茸(「もどき料理」)が出てくることがありますが、これはさしずめ「逆精進」ですね。

それに、実に旨いですねえ・・・

さて、私がこの「逆精進」アワビをいただいたのは、京都の名店

「木乃婦」さん。

理論派の料理人として有名な若旦那が頑張っておられます。

この話しを理屈で説明しますと、たしかにアワビと椎茸は共に核酸系の旨味に特徴があります。

核酸というと???かもしれませんが、DNAとRNAのことです。

中畑監督の野球チームじゃないですよ。遺伝情報を保存している、あれです。

これらの細胞の中にある核酸が、生体の死後に小さく分解されますと、

アデニル酸や

グアニル酸に成るわけです。

アデニル酸がアワビの旨味、

グアニル酸が椎茸の旨味です。この二つは構造が似ています。

これが「核酸系の旨味」の正体です。

聞けば、若旦那、最近は精進料理の研究が面白くて仕方ないとか。

もちろん、ただアワビを揚げただけではなく、旨味を引き出すために手の込んだ処理を施しています。

素晴らしいです。

その内、逆すき焼きも出来るのかな。

追伸

日本橋三越本店の催事「お江戸日本橋 EDO style展」で精肉の販売を致します。

どうぞ、お出かけ下さい。

会期:5月20日(水)~25日(月)

会場:本館7階催物会場

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.911日連続更新を達成しました。

Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)